配偶者の暴力(DV)を受けている被害者を守るDV防止法が成立し、15年目に入りました。法は改正を重ね、救済の道は広がってきました。女性だけでなく、男性が被害を訴える事例も増えているようです。DVの現状と課題について、2回にわたって取りあげます。 ■「稼ぎが悪い」「バカがうつる」 東京都内に住む自営業の男性(45)が、2年余り受け続けた妻からの暴力を明かしたのは3年前の夏だった。妻から逃れて自宅を飛び出すと、警察官が立っていた。 「どうしました?」 男性は重い口を開いた。 前夜、酔って帰宅した妻の携帯電話にメールが着信した。差出人は知らない男の名前で、直前まで会っていたことがうかがえる内容だった。気配で目を覚ました妻が「携帯を返せ」と飛びかかってきた。服を引き裂かれながら近くの公園へ逃げ、一夜を明かして帰ると妻は再び逆上。その騒ぎを聞いた近所の人が110番通報をしたのだった。 1
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