2013年度の導入を目指す幼稚園と保育所の一体化施設「こども園」(仮称)について政府の議論が迷走する中、国の枠組みに入らず、独自に一体化施設を展開する東京・渋谷区が関係者の注目を集めている。 待機児童対策に追われる現場では、親子のニーズに応じた取り組みが早急に求められていることが背景にあり、具体策を打ち出せない政府へのいらだちは高まる一方だ。 「こうやって丸めるんだよ」。渋谷区立「山谷かきのみ園」では、5歳の男の子が3歳の女の子にパン生地のこね方を教えていた。同園は昨年度まで4、5歳児対象の幼稚園。区が条例を制定し、今年4月から保育所機能を加えて1〜3歳児を受け入れ、幼保一体化施設として再出発した。 昨年度の園児数は22人と定員の4割だったが、現在は1〜3歳が28人で入園は順番待ち。4、5歳児も午後7時半までの保育が可能となって申し込みが急増、来年度はほぼ満員の見通しだ。施設長の中村リヨさ