とにかく「すごい」としか形容の仕様がない。一種のモンスターである。それもとびきりかわいい、少女っぽいモンスターだ。 この9月のオックスフォード大での発表はマンガのNANA についてである。それも主人公二人の「同性愛」についてのもので、サイコアナリシスを援用し、やや手あかのついた感もある「トランスヴェスタイト」(変装、異装)を中心にすえるつもりにしている。 日本マンガにはれっきとした「百合」というジャンルがあるのは知ってはいたのだが、この作品を分析・批評するにあたって、本腰をいれて「研究」しようと考えた。で、アマゾンでこのジャンルの70年代から最近までの代表的マンガを収集した。読み始めたのだけれど、どうもいけない。入り込めない。物語展開がワンパターン、稚拙である。それらに比べると、NANAは桁違いにすぐれものである。NANAがここまでの人気を、それも幅広い層から博している理由がようやく分った