東芝子会社の東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS、川崎市)や中部電力などは、天然の岩石に熱エネルギーを蓄えて必要時に取り出す「岩石蓄熱」と呼ぶ技術の商用化を目指す方針を明らかにした。熱しやすく冷めにくい特徴を持つ岩石を「自然の蓄電池」として使う。一体どんな技術なのか。基本的な仕組みはこうだ。一時的に余剰になった再生可能エネルギーの電力などを熱エネルギーに変えて岩石に蓄える。これは電力を使って岩
風力や太陽光で発電された電力を大型蓄電池(メガパック)にためて、必要な際に分配するリチウムイオン電池貯蔵システム(BESS)の建設に地元住民が反対する動きが米国で広がっている。火災が起きた場合、長く燃え続け、地域環境へのダメージが大きいとの不安からで、反対運動で建設が見送られたケースもある。貯蔵システムは再生可能エネルギーの普及のための基礎的な施設であり、住民の反対で建設が進まないと脱炭素の目標達成にも影響を及ぼす。米国の蓄電業界は、火災発生リスクを減らすことが業界全体の最重要課題だととらえている。 カリフォルニア州サンディエゴにあるオタイーメサ・リチウムイオン電池貯蔵システム施設で今年5月に発生した火災は、地域住民のみならず業界関係者にも大きな衝撃を与えた。 火災は5月15日午後に発生し、リチウムイオン電池のメガパックや建物などが焼失した。火災によって発生した水素ガスや有毒な煙が周辺に広
5月28日、米国カリフォルニア州のゲイタウェイエネルギー貯蔵発電所の火災事故がようやく終息し、カリフォルニア州消防局は警報の解除を発表した。ゲイタウェイエネルギー貯蔵発電所の火災は5月15日に発生し、カリフォルニア州消防局は消防士40名と消防車5台を派遣して消火に当たった。ゲイタウェイエネルギー貯蔵発電所は断続的に再燃し、警報がようやく解除されるまでの約2週間にわたって燃え続けた。 ゲイタウェイエネルギー貯蔵発電所は、250MW/250MWhの設備容量を持ち、2020年8月19日に送電網に接続されました。かつては世界最大のバッテリーエネルギー貯蔵プロジェクトでした。 現在、新エネルギー貯蔵は世界中で急速に成長しており、中国は世界最大のエネルギー貯蔵市場となっている。中関村エネルギー貯蔵産業技術連盟のデータによると、2023年に中国が新たに追加する新エネルギー貯蔵設備容量は21.5GW/46
<カーボンニュートラル実現に欠かせない「グリーン水素」を使い、100%再エネで使用電力のすべてを賄うソリューションを、パナソニックが英国の自社工場に導入> 世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。 「3電池連携」で施設の稼働に必要な電力を100%再エネで賄う 150を超える国と地域が2050年という目線で表明しているカーボンニュートラル(脱炭素化)。その一翼を担うものとして期待されている動力源の一つが、燃焼時に二酸化炭素など温室効果ガス
各地の系統蓄電池の写真またはイメージ。主な事業者はそれぞれ、ユーラスエナジーホールディングスなど(a)、住友商事(b)、東北電力など(c)、サーラエナジー(d)、出光興産やレノバなど(e)、東京ガス(f)(出所:(b)、(d)、(f)は各事業者、(a)は豊田通商、(c)はサンヴィレッジ、(e)はレノバ) こうした動きはまずオーストラリア、米国、そして中国などで先に顕在化し、特に2022年から2023年にかけては出力ベースでの伸び率が50%を超えた(図2)。日本でも電池の価格が下がり、電力市場の環境整備が進んだ。具体的には、2024年4月から蓄電池が得意とする応動時間†が短い「二次調整力(2)」「二次調整力(1)」「一次調整力」といった市場取引の商品区分における調整力としての電力の調達が始まった(図3)ことである。これにより、電力系統における余剰電力が増えて市場価格が下がった時に電力を蓄電(
超高層ビルの上層まで重りを持ち上げてエネルギーを貯蔵し、落下させて発電する。超高層を「電池」に変身させるアイデアが実現に向けて動き出す。米大手設計事務所が貯蔵技術を持つ企業と独占契約を結んだ。 米大手設計事務所のスキッドモア・オウイングス・アンド・メリル(SOM)は2024年5月30日、重力蓄電システム(GESS)を手掛けるスイスのエナジー・ボールト・ホールディングスと戦略的パートナーシップを結んだと発表した。 エナジー・ボールトが進める次世代版GESSの構造物について、SOMが独占的な意匠・構造設計者となる。設計だけでなく、製品企画にもSOMが関わることになるという。 GESSとは、物の重さを利用してエネルギーを貯蔵・放出する技術を指す。余剰電力などでブロックなどを持ち上げて位置エネルギーとして蓄え、落下する際のエネルギーでタービンを回して発電する。 協業は既に始まっており、パートナーシ
前にもここにぽちぽちと書いたりしたけれど、1年とすこし前。こどもたちが大きくなって手狭になったのをきっかけにマンションからいまの家に住み替えたのです。で、住み替えたのはいいけれど、あたらしい家はともかく広く、そして築古の家だったので、断熱性能も高くない。つまり、マンション時代とくらべて、光熱費がドカンと上がったんですね。おりしも世界はエネルギー価格高騰の時代。出てきた電気代にほんと目ん玉飛び出るかとおもったんですよ…。 冷暖房効率がもともと悪いうえに、暖房としてエアコンをつかっていたのでなおさらです。毎月これではやってられん、なんとかせんといかん、ということで、あわてて家庭用太陽光発電の導入を決めました。せっかくじぶんで持ってる建物だし、ね。 家庭用太陽光発電。まあ賛否両論というかえらく嫌われているというか、人によっては本当にボロクソ言われていて。でもまあそんななかいろいろ調べてみると、少
震災で意識高まる「家庭内蓄電」 太陽光の“卒FIT”にポータブルバッテリーメーカーが注目する理由:小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ) 1月1日に発生した能登半島地震により、全国的に防災意識が高まっている。特に太平洋側は、次は南海トラフだということで、じわじわと警戒感が強まっているように思う。 地震や津波による倒壊を免れた地域でも、ライフラインの崩壊は深刻だ。水やプロパンガスは運べても、大量の電気は運べないという問題がある。だからEVだHEVだ、という文脈も理解できるところだ。 一方で、太陽光発電設備の設置を義務付ける自治体が出てきた。京都府と群馬県では延べ床面積2000平米以上が対象なので、主に工場や事業所などになるだろう。東京都と神奈川県川崎市は、一般新築住宅にも設置を求めている点で根本的に異なる。 東日本大震災直後には電力不安があったことや、原発に変わる再エネ導入ブームに乗って、ソ
再生可能エネルギーの大量導入時代の到来で、世界ではその出力変動を平準化したり、需要を超えた余剰電力を貯蔵したりするための蓄電システムの技術革新が相次いでいる。その中で、シャープが新型の亜鉛空気電池システムの開発開始を発表した。材料が非常に安く、蓄電容量を増やせば増やすほど、蓄電コストが下がるという既存の蓄電システムにはない著しい特長を備える。 シャープは2022年8月、「カーボンニュートラルの実現に向けた『亜鉛による蓄エネルギー技術』の開発を開始した」と発表した。電解液と電極の活物質が一体となった、いわゆるレドックスフロー電池(RFB)の一種といえ、「フロー型亜鉛空気電池」(同社)とも呼ぶ。2025年度以降の実用化を目指すという。 既存のRFBとは構造が逆 もっとも、このフロー型亜鉛空気電池は、RFBの代表格であるバナジウム(V)RFB(VRFB)と比べると、電解液をためるタンクと充放電を
巨大な蓄電池ともいえる蓄電所は、電力が安い時間帯に市場で買って充電し、電力不足の時に販売することなどで差額を利益にする事業モデルで、太陽光発電など、発電量の調整力が従来の火力発電などに比べて弱い再生可能エネルギーとの相性が良い。例えば、日差しの強い昼間に電力を安く仕入れ、不足する早朝や夕方に販売することで需給のバランスをある程度調整することができるからだ。 これまでも国内で大型の蓄電池は稼働していた。基本的には発電所の敷地内や商業ビルなどに併設され、施設内の需給安定化を図っていた。 これに対し、蓄電所は特定の施設ではなく、送配電網そのものに接続して電力システム全体の安定化に一役買う新しい事業だ。今年5月の電気事業法の改正で、蓄電所が発電事業として明確に位置付けられ、電力会社は事業者から要請されたら接続できる環境を整えることとされた。 オリックス環境エネルギー本部の新規ビジネスチームでチーム
シャープは、大規模な電力貯蔵に適した「フロー型亜鉛空気電池」を用いた蓄エネルギー技術の開発をスタートした。2024年度に開発を完了し、2025年度以降の事業化を目指す。開発を目指す蓄電池は、大容量化に最適している一方で、設置する面積が大きくなることから、メガソーラーや風力発電のような再生可能エネルギーの蓄電などを主な用途に想定している。今後は、他社との協力も視野に入れて開発や事業化を進めることになる。 シャープでは、「長年培ってきた亜鉛空気二次電池の技術をベースにして、新たにフロー型方式を採用することで、低コストで、大容量の蓄エネルギー技術の確立を目指していく」と述べている。 オフィスや工場での自家消費用途や、発電所やマイクログリッドでの分散型電力貯蓄用途などに展開することで、再生可能エネルギーの普及促進とともに、カーボンニュートラルの実現に向けて貢献できるとしている。 なお、今回の取り組
福岡県豊前市で2016年から稼働している九州電力送配電の豊前蓄電池変電所は、太陽光の発電量が増加する日中などに電気を蓄え、発電量が低下した時に放出する。一般家庭約3万戸の1日分の電力使用量に相当する30万キロワット時の容量があり、蓄電池変電所としては世界最大級の施設だ。周防灘に面した火力発電所の一画にある敷地には、重さ21トンのコンテナ252台が整然と並ぶ。コンテナ1台には192本の単電池が入
オーストリアの研究機関International Institute for Applied Systems Analysis(IIASA)は、高層ビルのエレベーターを蓄電システムとして活用する技術「Lift Energy Storage Technology(LEST)」を考案した。使用していない状態のエレベーターをビルの上部へ移動させることで、電気エネルギーを位置エネルギーに変換して蓄える仕組みだ。 世界中で1800万基以上のエレベーターが使われているものの、その多くに相当量の空き時間があるという。そこで、エレベーターを揚水発電ダムのように使い、電力が余っている時に蓄電、足りない時に放電しようというアイデアが、LESTである。 バッテリーとして使うエレベーターの“かご”には、質量を増やすための重りを載せておく。そして、蓄電するには、かごを上層階へ移動させることで、位置エネルギーを増やす
車のおもちゃで「手で勢いを付けると、手を離しても走り続ける」仕組みがありましたよね。あれです。 けっこう無駄になっていた電力を救済 JR中央本線で使われる211系電車(画像:写真AC)。 JR東日本は2022年6月7日(火)、鉄道車両のブレーキ時の余剰電力を貯めておくため、沿線蓄電システムに、「超電導フライホイール蓄電システム」を導入する実証実験を行うと発表しました。 電車のブレーキは、物理的に車輪を抑えてつけて止めるブレーキのほかに、車輪の回転力を発電機に伝えて電力に変える「回生ブレーキ」を一般的に備えています。 回生ブレーキによって生まれた電力は、架線を通して、近くの別の電車へ回されることが一般的ですが、近くに電車がいない場合は、その電力は無駄になってしまいます。そこで、その電力を貯めておく蓄電装置を沿線に設置するのが、今回の取り組みです。 さらに今回は、電気の貯め方として、バッテリー
古河電気工業と古河電池は、佐賀県上峰町に整備される九州最大規模の電気自動車(EV)充電施設向けにバイポーラ型鉛蓄電池を供給する。太陽光発電などでつくった電力をためて、EVを充電したり、災害時に避難所に供給したりする。再生エネルギーは天候などで出力が大きく左右されやすいのが課題だが、蓄電地の活用で需給の調整を図る。 脱炭素に向けて上峰町と九州電力が結んだ連携協定に古河電工らが賛同した。中心部の商業施設跡地にバイポーラ型鉛蓄電池を設置。これを活用して約100台のEVを同時に充電できる、九州で最大規模の施設を整備する。災害の際には避難所に電力を供給することも想定する。 現地での太陽光発電を電源とし、余った分は蓄電池に送る。蓄電池の容量は、一般家庭400軒以上が1日に使用する電力に相当するメガワットクラス(メガは100万)になる可能性がある。 バイポーラ型鉛蓄電池は古河電工と古河電池の共同開発品。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く