「申し訳ありません、ぼくの力不足です。 ぼくがこのままこの店のトップでいるならば、20人全員があがる(退職する)と言っています。 そうすると店が運営できなくなります、終わってしまう。 だから、ぼくが身を引こうと思います」。 そう告げてきた若きシェフに向かい、師匠である世界的グランシェフはこう答えた。 「いまキッチンに戻って、もう一度話をして来い。それで全員辞めるなら、それでいい。 お前ひとりで出来ることをやればいい。席を減らしたって良いんだ」 天才と呼ばれた若手シェフは、そのフランス人グランシェフの元で地獄のような下積みを経て東京にオープンする新店舗のシェフに抜擢された。 当時、若干25歳。 グランシェフは世界的に著名な歴史に名を残すほどのスーパースターで、彼の元には全世界に何百人の弟子がいる。 初進出の日本でシェフのポジションとなれば、そこに就きたいと願う料理人は本国フランスにもごまんと
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