街が生み出す汚れを集める下水道。汚泥の中に含まれる金などの鉱物、そして生物に必須の元素、リンの回収に各地の自治体が力を入れている。天然資源の高騰や環境意識の高まりの中、下水道を流れる“富”がひそかに注目を集めている。 ◆塊1トンに金6〜22キロ ワカサギ釣りで有名な長野県・諏訪湖の湖畔には、白い建物と卵形のタンクがずらりと並ぶ。諏訪市と周辺5市町村に住む18万8000人の生活排水を処理する豊田終末処理場だ。 「この煙突にこびり付く灰に、金が大量に含まれているんです」。施設内は曲がりくねったパイプで埋め尽くされ、さながら工場。長野県諏訪建設事務所の小松英雄さん(40)が指さしたのは、汚泥を焼却、さらに高温で溶かす際に出る灰を通す直径数十センチの配管だ。灰には1トン当たり1890グラムの金が含まれ、灰を処理する配管にこびり付いた塊には1トン当たり6〜22キロもの金が含まれる。長野県は20