で、このごろ、森岡正博の『生命学に何ができるか 脳死・フェミニズム・優生思想』という本を読んでいたら1970年代の日本における議論について詳しい話が載っていた。また、あらためて考えてみたいと思った。 そもそも「優生思想」とはなにか。森岡はこのように定義づける。 優生思想とは、生まれてきてほしい人間の生命と、そうでないものとを区別し、生まれてきてほしくない人間の生命は人工的に生まれなようにしてもかまわないとする考え方のことである。 『生命学に何ができるか』 ほかにも定義のしようはあるだろうが、核心部分はこれでいいと思う。 して、一般的に優生思想が人類文化の歴史で問題にされてきたのは、国家権力による避妊の強制、あるいは直接の殺人だ。避妊の強制について、日本国の責任を問う裁判は今現在でもニュースになっている。優生保護法は1996年まで存在した。 が、おれが気になるのは、そうではない優生思想につい