論文 小原秀雄監修『環境思想の系譜・3』東海大学出版会 (1995年5月) 152-162頁 エコロジーと女性-エコフェミニズム 森岡正博 一九六〇年代から七〇年代にかけて、先進諸国でフェミニズムの運動が同時多発的に起きた。これを第二派フェミニズムと呼ぶが、そこではラディカル・フェミニズム、マルクス主義フェミニズムなどが新たな展開をとげた。一九七〇年代は、フェミニズムの歴史の中でも、とくに大きな達成がなされた時代であった。女性たちによって担われた七〇年代フェミニズムは、八〇年代に入って、科学史、心理学、文化人類学などの様々な領域に決定的な影響を与えはじめる。私の身近な領域で言えば、生命倫理学の分野にもその影響は及び、最近ではフェミニズム生命倫理学という潮流が登場してきている。 さて、そのようなフェミニズムの影響力は、当然、エコロジー・自然保護にも及んだ。エコフェミニズム、あるいはエコ