祖父から突然の遺産相続だった。せっかくの資産を使って社会貢献もしたい。夢は気宇壮大で、その意気やよし。だがカネのあるところに有象無象が集まるのは世の常だ。任天堂の創業家・山内家の御曹司のひとりが万丈氏(30)。氏は任天堂株約400万株を相続し、億万長者となった。彼が描くビジョンとは――本人の意見を聞いた。 中堅企業から「世界の任天堂」へ 世界的に大ヒットしている映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のキャラクター「マリオ」を生んだ任天堂は、1889(明治22)年、山内房治郎が京都市下京区正面通大橋西入ルに小さな店を構え、花札の製造をしたのがその始まりである。 房治郎がかるた、トランプと商材を広げ、二代目を受け継いだのが女婿の積良(せきりょう)で、1933(昭和8)年、創業地の隣に当時としては珍しい鉄筋コンクリート4階建ての社屋を建て、合名会社「山内任天堂」の本社とした。 積良は'4