日本「スネ夫」論 〜スネ夫の家が貧乏になった時、ジャイアン(米国)とのび太(アジア諸国)はどうするだろう? 特別対談 島田雅彦×白井聡 新作長編小説『虚人の星』で日本政治の哀しい現状を鋭くえぐった作家・島田雅彦氏と、気鋭の政治学者・白井聡氏に、いま私たちが考えておかなければならない問題を縦横に語ってもらった。白井氏は「日本はスネ夫だ」と言う。その真意は? 日本の立ち位置は「スネ夫」? 島田 今回の小説(『虚人の星』)は、七つの人格を使い分けるスパイと、それから自身の中に交代人格を抱え込んでしまった総理大臣の一人称の交互の語りにしました。 総理大臣の方は、自分自身に近い「のび太」と、それに対して、右翼の政治家としては対米従属が一応原則だからアメリカの言いなりになっているんだけど、時にアメリカの注文よりも先走って追従しようとするキャラクターとしての「ドラえもん」と、二つの人格の間で悩んでいる設