今回のクレモナ旅行で訪れた工房は9、お話ができた製作者は30人ほどになりました。多くの製作者が、試奏を真剣に聞いていただいて、意見を交換することができました。しかし、クレモナにある工房は120。まだまだ多くの知らない工房がたくさんあります。もう一度訪れて、もっとたくさんの製作者とお話をしたいと思っています。どの工房も、見るだけで楽しくなりました。楽器の「型」や作りかけの白木、たくさんの刃物やニスなどを見ると、「どんな楽器ができるのかなぁ」と、想像が広がります。 楽器の「作り方」には、いくつかの手法があります。木を切って形を作って組み立てる、という作業にも、それぞれのこだわりや特徴があるのです。見ていてはっきりわかるのは、楽器の形を作る時に「外側に型を置いて内側に楽器を作る」のか、「内側に型を置いてその外側に合わせて楽器を作る」のか、という違いです。クレモナに行く前には、クレモナの製作者はみ
この前、カセットデッキの修理に出した時にふと思ったのですが、ほとんどの高額商品って、意外と短い期間しか使っていない物が多いです。最先端のデジタル機器なんて、2年で買い替えることなんてざらだし、比較的長く使えるオーディオ機器だって、10年~30年です(マニアックなオールド機器ファンは別ですが)。使い続けたいと思っても、再生メディアが変わったり、メーカーが修理を受け付けてくれなかったりして、結局2次的な原因で寿命となることも多いのです。自動車だって10年がいいところでしょう。家だって通常のは30年か。 そういった意味で弦楽器は、自分の親が使っていた楽器を引き継いで使っている人なんてざらですし、それどころか100年以上前の楽器だって珍しくはありません。そうして考えると、とても安いと思うのです。 逆に、安物の楽器を「初級者だから、とりあえず」と言って買ってしまう人が多いのですが、これは勿体ないです
チェロ用のベンディングアイロン(側板曲げヒーター)の天板が壊れてきた(下写真の赤丸部分)ので修理しました。今回、ヒビが入ってしまった緑色した天板の鉄板の厚みはたったの1mmなのですが、その上にとても重い真鍮塊を固定しているので、強度不足になって当然と言えば当然です。 そこで下写真のように1.6mm厚の鉄板で補強しました。 完成です。筐体の強度がしっかりしました。 自分の道具って、こうして修理するだけでなく、手をかけてさらに良くするものなのです。 関連記事: 特に女性に多い、ニスの汚れ 林さんの修理したヴァイオリンの音 調整って、こういうちょっとした事の積み重ねです 3本預かっていたチェロの修理、調整が一段落 毎回思うのだけれど、とても贅沢なプチ修理
よく、「***製作者の弓はどうですか?」とか訊かれることが多いのですが、同じ製作者の同じランクの弓でも、性能は全く違うのです(まして国だけによる明確な性能差なんてあるわけがありません)。弓の性能は「誰が製作したか?」ももちろん重要ではあるのですが、それ以上に重要なのは「誰が(どのような適格な根拠をもって)仕入れたか?」なのです。 私が「良い弓ありますよ」と自信を持って言えるのは、その「根拠」を説明できることです。例えば先日仕入れた弓でも、前回業者が持ってきたときには私が納得できる弓は0本でしたし、今回も一本だけでした。そのくらい、性能の良い弓ってどこにでも転がっているものではないのです。 そして何より重要なのは、そのような根拠の元で、理にかなった性能の道具(弓)で、理にかなった運動(演奏)を行うと、確実に音の劇的な変化が生まれるということなのです。感覚的なものではなく、実際の変化が生まれま
あくまでも私がテレビのコンサート映像を見ての感想ですが、テレビで放送されるような一流のヴァイオリン奏者でも、まともな性能の弓を使っている人は半数くらいに感じます。 なぜそう感じるかというと、「弓の毛の張り方」と、それ以上に「弓が安定して運動していないで、はねているから」なのです。この現象はボウイングの映像を冷静に観察すると誰にでも判ることだと思います。もちろん優秀な演奏者なので、テクニックでそれらをカバーしているのですが、私の感想は「その才能が、もったいないなあ」というものです。本当は、彼ら(彼女ら)はもっと凄い演奏者なのに�����・・・。 優秀な演奏者が良い楽器や良い弓を持っているとは限らないのです(商品の値段は高いものでしょうが)。 なぜこんな状況なのかというと、怪しいショップやディーラーが蔓延していることと、それ以上に演奏者が音楽を芸術と勘違いして、自分自身の音の価値観に自信を持ち
安い楽器の修理・調整依頼において、「う~ん、どうしましょう・・・・」と、方向性が決まらない事がよくあります。いわゆる「安物」なので、元々の作りがいい加減なので修理するのも手間がかかってしまいますし、料金的にも、「しかし、そこまでお金をかけても・・・」と、堂々巡りになってしまうのです。 そうして、「う~ん・・・」と迷っている間に、10~20年くらいが経ってしまうのです。 良い楽器の場合には、「お金がかかっても、絶対にやるべきです!」と、スパッと言えるのですが、安い楽器の場合にはそうも言えません。 楽器を始めるときには、「下手だし、いつまで続けるかわからないのだから最初はこのくらいで十分」と思って安い楽器を購入しがちです。しかし、弦楽器は面白く、またすぐに上達しますから、要求度はすぐに高まるのです。 最初はものすごく高いと思われるかもしれませんが、良いものは10年も使っていればすぐに元が取れま
楽器ジョーク Home>音楽ジョーク集>楽器ジョーク (管理者注:Jeff Bigler's "Instrument Jokes"(最終更新2002/07/05 22:51)の翻訳) 弦楽器 ヴァイオリンジョーク ヴィオラジョーク チェロジョーク コントラバスジョーク リュ−トジョーク ハープジョーク ピアノジョーク オルガンジョーク 木管楽器 フルート・ピッコロジョーク オーボエ・ファゴットジョーク クラリネットジョーク サクソフォンジョーク 金管楽器 トランペットジョーク トロンボーンジョーク ホルンジョーク チューバジョーク 打楽器 打楽器ジョーク ボウランジョーク 声楽家 声楽家ジョーク フォーク・ロック・ポピュラー音楽と楽器 バンジョージョーク ギタージョ−ク アコーディオンジョーク チャンジョーク その他ジャズ・フォーク・ロック・カントリー・ブルース・ポピュラー音楽ジョーク そ
きのう23日、オーストラリアのシドニーから飛行機に乗ったチェリストのチェロが壊されてしまう痛ましい事件があったよう[TheAge]。チェリストは、オーストラリアで弦楽四重奏でロックを演奏するFourPlayというグループ(リー・リトナーらのジャズグループとは別)のPeter Holloさん。Holloさんはすぐさまツイッターで裏板が完全に割れてしまった痛々しいチェロの写真をアップしていました。 どうやら状況からして、ハードケースに入れていたチェロを預け手荷物として預けていたところ、何らかの強い力で圧迫されてしまったよう。 ところが、この便を運行したカンタス航空のその後の対応が素晴らしく、空港のスタッフが心配して親切に対応しただけでなく、公式のツイッターで謝罪し弁償する意志を表明、チェリストが(本来なら怒りをぶつけてもおかしくないはずの)カンタス航空をほめたたえる、という美しい展開になってい
先日、中国製のチェロの修理・調整を行いました。安い楽器なのに(具体的な値段を聞いたわけではありませんが)見た感じはなかなか良く出来ている楽器でしたが、実際に手を加えだしたら、やることやること全て手こずりました。基本的に修理とか調整の事まで考えて作られていないのです。 なお、この楽器の名誉のために言っておきますが、このような「修理や調整の事まで考えて作られていない楽器」は他の量産楽器や、高価だけれど下手くそな手工楽器にも言えることで、この中国製楽器だけの話ではありません。 手こずった内容は多かったのでその全てをあげることは不可能ですが、その一例として、上写真ように指板削りをする時にはオーバーザッテル(上駒)を外すのです。上手な製作の楽器ならば、”剥がしベラ”を軽く差し込むだけで、僅か5~10秒で外すことが出来ます。そして、外したオーバーザッテルも、指板側も楽器側も何処も傷んではいません。これ
所有している弓の性能が悪いと、楽器自体をとんでもなく勘違いして、性能の悪い楽器や不健康な楽器を選んでしまうのです(実際にそのような人はとても多いのです)。 具体的には、弓の性能が低いと「理にかなった摩擦力」を原理的に発揮できません。するとどうしても表面的な薄っぺらな演奏しか出来ないのです(本人は微塵もそう思っていないところが、その特徴です)。すると、楽器も表面的な鳴りの(深い音に堪えきれない)楽器(多くは、薄っぺらな不健康な楽器だったり、製作自体が未熟だったり)を好んで選んでしまいます。 このような楽器と弓からは、次のような悪い結果が生まれます。 ・小さな部屋ではいい感じなのに、ホールとかでは音が小さい。 ・演奏の表現力が乏しい。訴えかけるものが小さい。 ・音が遠くまで届かない。音に芯が無い。 ・弓がプルプル震えてしまう。 ・楽器が不安定で、指板下がりなどが激しい。 ・駒寄りが弾けなく、ど
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