年末の日経新聞で「平成の30年」が特集された。さまざまなエピソードを交えて平成を回顧したものだが、その中に「日本銀行」が見当たらなかったので、ここで補足的に取り上げたい。日銀はひたすらバブル崩壊に追いまくられた印象が強いだろうが、実際には栄光をつかみかけた瞬間もあった。残念ながら栄光は失われ、不運続きの末に金融政策運営はインパールと化したのだが…。 金融危機が起きる直前、日銀はわが世の春を謳歌する方向 平成元年はバブルのピークだった。そこから崩壊過程となったが、当初の数年間は景気過熱の調整期間と受け止められた。不良債権問題は水面下で深刻化していたが、大規模な金融危機に発展したのは1997年11月だった。その直前までは、意外に思うかもしれないが、景気は消費増税の影響を乗り越えて回復し、銀行界では利上げを見込む向きが多かったのだ。 当時の日銀内では、もちろん不良債権問題を憂慮する向きはいたが、