自然災害が多発する中で、豪雨被害が年々増加の一途をたどっている。2018年7月には、西日本を中心に、全国各地で集中豪雨が発生。河川の氾濫や土石流などにより、多くの人命が失われた。気象庁が「平成30年7月豪雨」と命名した記録的な水害、いわゆる「西日本豪雨」である。この豪雨で被災した広島県熊野町と岡山県矢掛町、そして、2020年8月に大規模土砂災害を経験した長崎県雲仙市は、地域を守るためにどのような取り組みを行ってきたのか。各自治体の、その後の歩みを追う。 避難所運営で露見したペット同伴世帯への配慮不足 広島県熊野町は、江戸時代後期に毛筆製造技術がもたらされた。現在では、国内随一の生産量を誇る毛筆、画筆、化粧筆の産地として「筆の都」と呼ばれ、毎年秋分の日には筆まつりが開催されている。サッカー日本女子代表「なでしこジャパン」の国民栄誉賞の副賞として、熊野町の化粧筆が贈られたこともある。 熊野町は