マウスの胚(はい)性幹(ES)細胞から神経細胞を作る際、すべて神経系の細胞に分化させる方法を京都大学ウイルス研究所の小林妙子助教、影山龍一郎教授らが見つけた。ES細胞から作った神経細胞を移植する場合、ES細胞が残っているとがんになるおそれがあり、今回の成果はその解決策になる可能性がある。15日付米専門誌に発表する。 影山教授らは、Hes1という遺伝子が神経系の細胞に分化させる遺伝子群の働きを抑えていることを突き止めた。ES細胞でHes1の働きが強くなったり弱くなったりするなど3〜5時間周期で振動しており、Hes1の働きが弱い時に神経系の細胞ができやすいことも明らかにした。 そこで、Hes1の働きを止めたES細胞に神経系の細胞に分化させる物質を加えたところ、6日目までにほぼ100%神経系の細胞に分化した。通常のES細胞は30%だった。「ヒトのES細胞、iPS細胞(人工多能性幹細胞)でも試
国の総合科学技術会議生命倫理専門調査会は18日、再生医療などの基礎研究のためにヒトクローン胚(はい)から胚性幹細胞(ES細胞)の作成と利用を認める指針改正案を了承した。来月にも開かれる同会議本会議で正式決定し、ヒトクローン胚研究が解禁される。 指針案によると、ヒトクローン胚作成に使われるのは、病気の治療で摘出した卵巣から採取したり不妊治療で余った卵子などに限定している。また、作成にかかわる細胞の提供は無償とした。 ヒトクローン胚は、人間の皮膚などの体細胞から核を取り出し、卵子の核と置き換えて作る。ヒトクローン胚から作ったES細胞は拒絶反応のない再生医療につながると考えられている。ただし、クローン人間誕生を防ぐため、国は法律でクローン胚を胎内に移植することを禁止している。【奥野敦史】
さまざまな組織や臓器になる万能細胞「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」で、実用化への課題だったがん化防止に、米ハーバード大研究員の八巻真理子・松本歯科大講師(幹細胞生物学)らがマウス実験で成功した。骨や皮膚に含まれるたんぱく質「コラーゲン」を使った。人工多能性幹細胞(iPS細胞)への適用も可能とみられ、再生医療実現に新たな道を開くと注目されそうだ。1日付の日本再生医療学会誌で発表する。 ES細胞やiPS細胞は、分化する過程で「テラトーマ」という腫瘍(しゅよう)を作ることがある。このため、ES細胞やiPS細胞を特定の組織や臓器にして患者に移植する場合、がん化させない手法の開発が重要になっている。 研究チームは、ES細胞から立体的な細胞や臓器を作るのに使われる牛のコラーゲン製の人工素材で実験を重ねた。素材は無数の小さな穴が開いたスポンジ状構造をしている。 その結果、マウスのES細胞を増殖さ
【ワシントン=勝田敏彦】米国のバイオベンチャー、ジェロン(本社・カリフォルニア州)が今夏、さまざまな組織の細胞になるヒト胚(はい)性幹(ES)細胞を使って脊髄(せきずい)損傷の患者の治療を行う臨床試験(治験)を行うことがわかった。AP通信が22日報じた。実施されれば、世界初のES細胞の医療応用になるとみられる。 報道によると、対象は脊髄に損傷を受けて歩けなくなった患者8〜10人。脳や脊髄の神経細胞を保護する役目を持つ細胞をヒトES細胞から育てて、損傷部分に注入する。今回は安全性の確認が目的だが、歩行能力や感覚が戻るかどうかも調べる予定だ。 ネズミを使った同様の実験を続けてきたジェロンは昨年、米食品医薬品局(FDA)に実際の患者に応用する治験実施を申請。FDAは実施の留保を同社に指示していたが、報道によるとFDAは今週、申請を認可した。 交通事故などで起きる脊髄損傷は、糖尿病やパーキン
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