石油は、数億年前の生物の遺骸がもとになり長い年月をかけて地中で生成された、というのが一般的な理解だと思いますが、「石油は生物起源ではない」という学説を聞いたことはないでしょうか。 この石油無機起源説については、1870年代に元素の周期律表で有名なロシアの化学者メンデレーエフが提唱したことが始まりで、旧東欧諸国では古くから定説とされていた学説です。 その後、東西の対立もあり、この学説はあまり顧みられることもなかったのですが、有名な米国の宇宙物理学者であるトーマス・ゴールド(Thomas Gold)が、2003年にScientific American誌に発表したことで、西側諸国でも注目を浴びることになりました。 彼の説く石油無機起源説は、地球が最初から貯蔵しているメタン(CH4)から地球内部の高温・高圧の環境下で放射線の作用(放射線分解や触媒として作用)等により石油が生成された、というもので