マイクチェック・ワン・ツー。ワンツー。 グッド。 昼下がりの食堂で年下の先輩の女の子に、「ところで先輩のベストは何ですか」と聞いた。「ベスト?」「ベストです」「うーん。なんだろうなあ。タイに旅行に行ったことかなあ」と彼女は言っていた。そういえばフェイスブックかなにかで、細長い船の上にいる彼女の写真を見たことがある。 僕は仕出し弁当の冷たくなったご飯をもそもそ食べた。タイ料理はおいしいらしい。彼女は歯を磨いていた。お昼の下らない番組をパートのおばさんが横目で見ながら、くすくす笑っていた。彼女は鏡に写る自分の前歯や奥歯を注意深く点検し終わると僕の方までやってきた。「やっぱり訂正するね、一年半喧嘩していたお姉ちゃんと仲直りしたこと」と言った。 年下の先輩の女の子は三つ子のいずれかのポジションにいる。順序はなんだか何かを決定しすぎる。彼女はオフィスでいつも怒られているが、よくも悪くもそのことを気に