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エンゲル係数が上昇しているという動きが注目されている(図録2355参照)。 日本において経済成長とともに戦後を通じ長らく低下し続けていたエンゲル係数が、2005年頃を境に、反転上昇していることが明らかになった時、日本のメディアや有識者は、政府が改善に向け真剣に取り組まないため顕在化した格差拡大のせいだと何の疑問もなく報じたり論じたりした。 私は、日本の動きだけが取り上げられ、エンゲル係数の動きについて国際比較したデータが何故、参照されないのかが不思議でならなかった。世界共通の現象なら、わが国の局所的な社会現象の観点からではなく、もっと広い視野からそれが示す課題を明らかにできるはずだからである。そこでここでは主要国のエンゲル係数の動きを比較した。 わが国以外では家計調査は本格的・継続的に行われてはおらず、行われているとしても基準が同一だとは限らないので、諸外国の家計調査を使うわけには行かない
人為的に健康な子孫を優先して残そうという優生政策は、日本において、戦中の「国民優生法」と「旧優生保護法」(旧法)で50年以上続いた。 図には旧法の下で1949~92年に行われた強制的な不妊手術の人数を旧厚生省の統計により都道府県別に掲げた。 北海道が2,600人近くと最も多く、宮城の1,400人余、岡山の845人が続いている。人口の多い東京や大阪が特に多くはない。手術数が多かった時期に施政権が返還されていなかった沖縄を除くと鳥取が11人と最も少ない。全体的に地域差がかなり大きいといえよう。 国民優生法下で、精神障害などを理由に不妊手術を受けた人は1941年~45年に約500人。それが旧法下でハンセン病患者らまで対象者を広げ不妊手術が増えたという(愛知県立大橋本明教授による-東京新聞2018.4.20)。 毎年の強制不妊の手術人数は下図の通りである。 北海道の人数が最も多い理由としては、道が
日本学術会議の任命拒否問題などで「お答えは差し控える」というフレーズを菅義偉首相らが繰り返しているが、このところこのセリフを聞くことが多くなったと感じている人は多かろう。 同じことを感じた立命館大の桜井准教授が国会会議録から回答拒否発言の回数を調べた結果を上に掲げた。 図を見ると、2012年12月に発足し翌年1月から本格稼働した第2次安倍政権以降に回答拒否の件数が格段に増加していることが分かる。 桜井氏によれば、以前は、回答拒否発言は、外交や安全保障関連で使うぐらいで、ロッキード事件や東京佐川急便事件など「政治とカネ」問題が起きた年以外はそう多くなかったという(東京新聞、2020年11月21日)。 第2次安倍政権下で多かった政治家の「回答控え」発言は以下の通りである。 安倍前首相 165件 「モリカケ問題」や桜を見る会などの疑惑 森雅子法相(当時) 94件 検察官の定年を引き上げる検察庁法
(これは2014年10月19日に更新する前の旧図録である。更新後は図録2772) 男女計の自殺率の国際比較、あるいは自殺率の高低の要因については、図録2770でふれたが、ここでは男女別の状況について概観する。 図には、x軸方向に男性、Y軸方向に女性の値をプロットした。男女同一線より左では女性が男性を上回り、右では男性が女性を上回っていることを示している。 ほとんどの国で男性が女性を上回っているが、特に、自殺率の高い旧ソ連・旧共産圏諸国では大幅に男性の自殺率が女性を上回っていることが目立っている。同じように自殺率が高い国の中でも、日本、韓国、スリランカとは男の自殺者の高さで別のグループに分けられるといえよう。 世界の中で女性の自殺率が男性より高い唯一ともいえる国は中国である(特に農村部)。理由を外婚制に求める説については図録2424参照。この他、女性が男性と比べてそう低くない国としては、イン
日本では「権威や権力がより尊重される」将来が来ること(Greater respect for authority)を「良いこと」と考える者は4.7%と世界60か国の中で最も少ないことが2010年期の世界価値観調査で明らかになっている。逆に「悪いこと」と考える比率は76.1%とこちらは世界一高い。 「良いこと」と考える比率の高い国は政情が必ずしも良くない途上国が中心である。高い方から カタール 97.9% ガーナ 94.5% ウズベキスタン 93.9% トリニダードトバゴ 87.4% エジプト 86.3% などが目立っている。こうした国では、為政者が安定せず、権力の空白が生まれると、如何に一般庶民まで大きな被害を被るかを実感しているのであろう。 欧米主要先進国の同じ値は、 スウェーデン 22.5% 米国 55.2% ドイツ 58.7% オーストラリア 61.7% オランダ 72.6% であり
困窮層はどんな肉に食べ、どんな魚を食べているかを厚生労働省「国民健康・栄養調査」によって図録0228で明らかにしたが、ここでは同じ調査の結果から肉や魚に限らず全般的に困窮層(貧乏人)は何を食べているか(および何を食べていないか)にふれよう。 「貧乏人は麦を食え」という言葉が有名であるが、これは後に首相となる池田勇人蔵相の1950年の国会答弁だとされる。これは、米の配給制による統制経済から脱し、価格差に応じ「所得の少い人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副つたほうへ持つて行きたい」という趣旨の発言だったのが、池田蔵相の日頃の尊大な態度に不快感を抱いていた野党、マスコミによってそう伝えられたものである。 それでは、現代では、いったい貧乏人は何を食べているのであろうか。この点に関する統計データはありそうでなかなか得られない。厚生労働省の国民健康・栄養調査は、旧来の国
天皇譲位によって平成が2019年4月一杯で終わることになったので、平成期に起ったことを振り返る記事や調査がさかんである。ここでは、毎日新聞と埼玉大学社会調査研究センターが行った世論調査から「平成に起った印象的な出来事」を聞く設問の回答結果を取り上げた。 類似の調査で図録2640に「戦後、日本の社会に大きな影響を与えた出来事」を掲げた。 回答率の高さから判断すると、最大の出来事は「東日本大震災・福島第1原発事故('11)」であり、これに「地下鉄サリン事件」('95)、「米国同時多発テロ」('01)、「阪神大震災」('95)が続いている。 この4つの出来事は、5位の「JR福知山線脱線事故」以下と比較して、回答率が格段に高く、まさに「平成の4大事件」といってもよいだろう。 金融危機の象徴として選択肢に取り上げられた「山一證券破綻」は回答率が14%とさほど高くない(なお、「アイフォーン日本販売開始
20世紀は歴史上もっとも血なまぐさい世紀だったという決まり文句になっている理解は、本当なのだろうか。こうした事実については2つの錯覚が伴いがちである。すなわち、世界の人口規模との対比が評価から抜け落ちる。また、目立った事柄ほど起きる頻度が高いと思ってしまう錯覚(ノーベル賞受賞心理学者カーネマンらによって想起ヒューリスティックと名づけられたもの)である。この2点を修正しながら、実際のところを評価するため、スティーブン・ピンカーは、ここで図録化したデータを掲げている(「暴力の人類史」上巻、p.357)。 実数では、第2次世界大戦と中国における毛沢東時代の飢饉が、それぞれ、5500万人、4000万人の死者を出し、世界史上の2大災厄となっている。 このデータでは毛沢東の政策が原因となって発生した人災として中国の1959~61年の飢饉による死者数が4000万人となっているが、一般にはこの飢饉による餓
米国大統領選におけるハリス、トランプ両候補については支持層の違いが余りに対照的な点が注目される。男女の違いが最も大きいが、白人vs非白人、富裕層vs貧困層、退役軍人vs労働組合員なども目立っている。
(資料)Yinon M. Bar-On, Rob Phillips, and Ron Miloa(2018), The biomass distribution on Earth, appendix イスラエルのワイツマン科学研究所の研究者Bar-Onらが、2018年5月に、地球上の生命体(バイオマス)の炭素量に関する包括的な推計を発表した。その結果概要を図録として収録した。データは2桁以下で丸めた数字なので合計が必ずしも一致しない。 バイオマスの炭素総量は550ギガトン(5,500億トン)である。そのうち、最大なのは植物であり、450ギガトンと82%を占めている。次に多いのは細菌(バクテリア)であり、70ギガトンと13%を占めている。 これほど多い細菌のバイオマスは、少しイメージしにくいが、ほとんど(67ギガトン)が陸海の深部地下に賦存しているようだ(表参照)。 動物のバイオマス量は全部
米国が世界の中でも小火器保有率の格段に高い銃社会となっている点については図録9365でふれた。米国人の銃保有率の推移と属性別の差異については図録8811dに示した。銃社会の米国では自殺も銃によるものが半数を占めている(自殺手段に関する図録2747)。 ここでは、米国の州ごとの銃保有率と自殺率との相関図を掲げた。これは、自殺率の国際比較に関する図録2770の中で米国の自殺事情にふれた際にも参照したものである。 図には、銃の保有率の高い州ほど自殺率が高くなっている状況が明確に示されている。 この図から、米国の中でも地域によって銃保有率がかなり異なることも分かる。モンタナ、アラスカ、ワイオミングといった州では自殺率が非常に高いが、銃保有率も60%以上と非常に高くなっている。これに対して、ハワイ州や首都ワシントンDCでは10%未満とかなり低くなっている。 こうした地域分布は、地域の政治的な状況とも
1.古代・中世 飛鳥・奈良時代以降の唐・新羅・渤海との頻繁な国際交流によって未知の病原体が待ち込まれた影響で平安中期にかけては人口が減少している。 「その後、東アジアの交流が疎になったことに加え、荘園制の拡大と土地開発の進行があって、人口規模は以前の水準へ回復をした。この背景には武士団の存在があった。所領を複数の子女に分割して譲与するという惣領制は、分割譲与された土地に未墾地が含まれ、その未墾地が子供世代によってさらに開発されたという意味で、開発の時代においては「合理的な」制度であり、かつ人口増加に好都合な仕組みだったからである」(斎藤修・高島正憲(2017)「岩波講座日本経済の歴史1中世第1章」、p.61)。 しかし、この1150年にかけての人口増加期に農業の生産性はむしろ低下し、1人当りGDPは低下している。 12~13世紀には再度人口が停滞あるいは減少する。13世紀の2度にわたる宋銭
日本人はギャンブルをよくしている国民である。それは、パチンコが普及しているからである(図録2681参照)。 一方、図録5670で見たようにパチンコの売り上げは減少傾向にある。その一因はパチンコ人口が減っているからである。 推移を見る前に、まず、年齢別のパチンコ人口とその比率を確認しておこう。 最初の図のように、パチンコ人口(過去一年間にパチンコを行った者)は40代前半と60代後半で多い。これはこれらの世代が、それぞれ、団塊ジュニアの世代と団塊の世代に当っているからである。このことはパチンコ人口比率を見てみるとこれらの世代が特に突出しているわけではないことで確認することができる。 年齢別のパチンコ人口比率を見ると20代から60代まではほぼ10%前後であり、70歳以上になると大きく減ることが分かる。 パチンコ人口のうち週1回以上パチンコを行った者は250万人、人口比2.2%に達している。人数的
日本人のノーベル賞受賞者(国籍が海外を含む)の出身高校と出身大学を一覧表にした。 2021年真鍋氏受賞の際の同様のネット記事はこちら(AERA dot.)。ド田舎だからこそ画期的な研究者が生まれるというネット記事はこちら(現代ビジネス)。こちらでは循環器医師の職を大きく失わせたとも言われるペニシリン並みの画期的コレステロール低減薬スタチンを微生物から発見した、ノーベル賞候補の1人遠藤章氏のことも紹介されている。 出身高校を見ると、ほとんどが、地方の県立高校である。私立は江崎玲於奈(敬称略、以下同様)の私立同志社高校と野依良治の私立灘高校のみであり、東京は、驚いたことに、利根川進の都立日比谷高校のみである。 しかも、早い時期には、東京でないまでも、大阪や京都も多かったが、近年では、それ以外が多くなっている。 近年では、東大合格者ランキングの上位に顔を出すような高校出身者はまったくいない。 都
西日本(九州あるいは九州の一部を除く)とその他の地域とが異なる分布を示す地域分布図の例を上にいくつか掲げた。 最初は、化石でなく生体の頭長幅指数分布の分布図である。頭長幅指数とは上から見た頭骨について長さに対する幅の百分比であり、値が大きいほど短頭である(丸い頭である)ことを示す。この場合、朝鮮半島と同様に九州から中四国、近畿そして関東にかけて、短頭の地域が分布している。 日本学術会議の研究班は1949年から4年をかけ全国5万6千人を対象に日本人の生体を計測した。小浜基次はこの結果の地方差から東北・裏日本型と畿内型に分類し、「その2つの型の分布状況を歴史的に解釈すると、まず、アイヌ系の東北型が広く日本に分布していた。その後、朝鮮半島から朝鮮系が渡来し、畿内、瀬戸内に本拠をしめ、一部は東進して南関東に達した。この畿内型の周縁や西日本の離島に東北型がのこっているのも、先住民であったからであろう
(注)「全く間違っている」から「全く正しい」までの10段階評価の平均点を算出して各国比較。 (資料)世界価値観調査(World Value Survey)サイト これに見るとおり、同性愛は最大国と最小国の許容度の幅が7.41と離婚や妊娠中絶を上回って大きい。同性愛ほど国によって見方が別れている倫理事項はないと言っても良いであろう。 日本の位置を見てみると、どの国でも当然よくないと思われているA~Dについては、間違っていると答える人が多くなっているのがまず最初に目立っている特徴である。日本人は世界の中でもルールを守る遵法精神の高い国民だといえる。 次に目立つのは世界的に許容すべきかどうか意見が別れるE~Kの項目については、F売春、K家庭内暴力を除いて、A~Dと異なり、日本人は全体としてどちらかというと許容度の高い部類に属する。先進国の国民ならではの寛容精神が見られるといってもよい。 項目を比
一人一日当たりの供給カロリー量を地図にあらわした。主要国のカロリー推移については図録0200参照。 栄養不足にならない必要な一人一日当たりの栄養量は、平均的な体格や子どもや高齢者の比率などによって、国ごとに異なり、だいたい一人一日2000~2700キロカロリーと言われている。 何カロリー以上、以下が栄養過多、栄養不足と一律には決められないが、図に示しているように、欧米のように3400キロカロリー以上の国には食べ過ぎの人も多く、サハラ以南アフリカのように2400キロカロリー以下の国では栄養不足人口が多いことは容易に想像がつく。 アジアの中では、3400キロカロリー以上の国は韓国だけであり(トルコをアジアに入れるとすればトルコも)、中国は3000キロカロリー超、その他多くは2400キロカロリー超である。 アジアの中で供給カロリーが2400キロカロリー未満と少ないのは、アフガニスタン、北朝鮮、パ
2016年6月の国民投票で多数とはいえ51.9%という僅差で英国がEU離脱を選択した。背景として挙げられるのは英国における移民問題の深刻さであった。意識調査では英国民が移民に仕事を奪われていると感じている割合は51.3%とフランスの27.8%などと比べて高いことを図録1174aで見た。ここでは、実際に移民が多いかどうかを見てみよう。OECDの報告書におけるデータはすでに図録1171などで示しているが、年次がやや古い。ここではEUの統計機関(EUROSTAT)が公表しているヨーロッパ諸国の新しい年次の移民人口データを整理した。 国の並びは移民人口(外国生まれの人口)の規模の大きさによっている。移民人口規模による移民大国はヨーロッパではドイツ、英国、フランスの順であり、それぞれ、1千万人、840万人、790万人となっている。これにスペイン、イタリアの500万人台が続いている。 移民人口の総人口
神の存在について「分からない」と回答するものの多さで日本人は世界一である点を図録9520で示したが、ここでは別の国際調査で、やはり日本人の神観は特異である点を示そう。この図録の結果をグラフ形式を変えてダイヤモンド・オンラインの連載コラム(第6回)でも取り上げたので参照されたい。 宗教をテーマにした2018年のISSP調査では、33カ国の国民を対象に、神についての日ごろの考えについて、以下の6つの選択肢から1つを選ぶ設問を設けている。 ① 神の存在を信じない ② 神が存在するかどうかわからないし、存在するかどうかを明らかにする方法もないと思う ③ 神がいるとは思わないが、何か超自然的な力はあると思う ④ 神の存在を信じる時もあるし、信じない時もある ⑤ 神の存在に疑問を感じることもあるが、神は存在すると信じている ⑥ 私は、実際に神が存在することを知っており、神の存在に何の疑いも持っていない
年末恒例のNHK紅白歌合戦の平均視聴率の推移を示した。1989年以降は紅白歌合戦自体2番組に分かれたので2部の方の平均視聴率で判断した。 (2023年) 海外メディアの報道で明るみとなった創始者による性加害問題により旧ジャニーズ事務所勢の出場がなかったことで視聴率が注目されていた2023年大みそかの「第74回NHK紅白歌合戦」は、第2部(午後9時)の平均世帯視聴率が、関東地区で31.9%(関西地区32.5%)と、過去最低だった21年の34.3%から2.4ポイント下げ、過去ワーストを更新した。 今回のテーマは「ボーダレス」。総合司会はタレントの有吉弘行と女優の橋本環奈、浜辺美波、同局の高瀬耕造アナウンサーが務めた。音楽ユニット「YOASOBI」が昨年最大のヒット曲「アイドル」を国内の音楽番組で初歌唱。また、素顔を見せないパフォーマンスが話題の「歌い手」Adoは、京都・東本願寺の能舞台からサプ
出生率の回復幅が都道府県別に見て西高東低の傾向を有している点については図録7255で示した。 東西日本、県別といった区分の中で、必ずしも、市町村自治体が同じ動きをたどっているとは限らない点には留意が必要である。この点が理解できるように、全国の人口30万人以上の72の都市自治体を例にあげて、2005年から2010年にかけての合計特殊出生率の上昇幅を図示した。これら72都市の2010年人口は合計で5600万人と総人口の44%を占めている。また、参考図として、両年の合計特殊出生率そのものを示した。 各都市は自治体コード順に東から西に並べられているが、自治体によって上下はあるものの概して「西高東低」の傾向があらわれていることがはっきり分ると思う。 しかし、同じ西日本でも福山市が回復幅が大きく、岡山市が小さいというように近くの都市でも大きな差があることも理解できる。 出生率の回復が遅い地域は、回復の
国際共同調査として毎年行われているISSP調査の2016年調査は「政府の役割」をテーマとしており、その中で、治安や防衛といった当然のように政府の責任が大きいと考えられる事項以外の経済社会関係の事項について、それらが政府の責任かどうかをきいている。 ここでは、日本人がそれらを政府の責任と考えている程度を項目間で比較し、また他国と比較したデータを掲げた。比較は評価点(政府の責任と考える程度が高いほど高い点数)と調査対象国35か国中の順位で行っている。 まず、項目の中で、「物価安定」と「対企業環境規制」の評価点がその他の項目比べて1以上と高く、また、海外と比べ、「物価安定」だけが調査国平均を上回っている点で目立っている。日本人は過去にインフレや公害問題において非常に痛い目にあったことがあるために、この2項目についてはこのように政府に期待するところが大になっているのだと考えられる。 このデータのも
図の通り、人口当たりの国会議員数は5.7人と主要先進国の中では米国に次いで少ない。右表のように、国会議員の定数は減少傾向となっており、2014年には衆議院の定数が475人に減っているので図と状況は変わっていないだろう。 データを引いた池上彰「ニッポン、ほんとに格差社会?」では、日本の国会議員は多くはないとした上で、「日本の国会議員の数は多いというイメージは、議員数が世界でも圧倒的に少ないアメリカと比較することで形成されているのではないでしょうか」(p.53)とされる。米国の場合、上院議員は国民の代表と言うより、各州の代表の性格が強く、各州から2人ずつ選ばれ、合計100人に過ぎない。米国の上院議員についての一票の格差があるとすれば人口3,700万人のロサンゼルス州と54万人のワイオミング州とでは69倍にのぼる(図録5230bコラム参照)。 国会議員(及び地方議員)の収入についての国際比較は図
経済発展の結果、国が豊かになると貧困率は低減するかを所得水準と貧困率(食べ物についての)の相関図で見てみよう。 食べ物や医療などがお金がなくて満足に入手できなかったかどうかという貧困の定義で貧困率を国際比較したピューリサーチセンター(Pew Research Center)の調査の結果を図録4653に示した。同センターの2013年調査は39か国と調査国数が多かったので国の所得水準との相関を取ることにより、国が豊かになると貧困が減る傾向があるかどうかを確かめる図が描けたのである。 結果はプラスの相関であることが確かめられる。図には対数近似線が書き込まれているが、R2値は0.55と直線近似の0.46より若干高くなっており、所得水準が最低水準から離脱すると貧困は急速に減るが、一方では、豊かな国でも貧困の改善は直線的には進まないことが分かる。 傾向線からの乖離状況によって、韓国や米国のように豊かに
図録2758では自殺は本当に増えているのかについて見たが、この図録では、自殺者数の男女比の変化について取り上げることにする。 図録本体にふれる前に、日本の1900年以降の男女別自殺者数の推移を、まず、見てみよう。男は第二次世界大戦、高度成長期、バブル景気の時期に自殺が大きく減少したが全体的傾向としては大きな増加傾向が認められる。女の自殺は高度成長期までは男とパラレルに増減していたが、その後の動きは、男ほどの大きな振幅はなく、また全体として横ばいか減少傾向となっている。男と異なり過去最多の自殺は最近ではなく高度成長期が本格化する以前の1958年に記録されているのである。 何か女に比べ男は景気の好い時期に妙に浮かれて、それだけ不景気に転じると反動で自信を大いに無くすようになったかのようである。 ところがコロナ年の2020~21年には女性のみが増加するというこれまでにない状況となった。これはコロ
(注)建築・土木技術者、情報処理・通信技術者を除く分野の技術者を製造技術者とした。情報処理・通信技術者は2005年までは「情報処理技術者」とされていた。電気・電子技術者は2010年以降「電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)」と称されている。機械技術者には輸送用機器技術者を含めた。 (資料)国勢調査(職業小分類別集計) 技術者が技術立国日本の人的基盤であることは言うまでもないことである。ここでは、国勢調査の結果を使って、日本の技術者数がどう推移しているかを見てみよう。 国勢調査や労働力調査の職業分類(仕事の種類)の一項目である「技術者」は、大分類である「専門的・技術的職業従事者」の下位中分類に位置づけられている。技術者は、この大分類のうち研究者や医療、法務、教育、福祉、芸能・芸術などの専門家ではない生産・建設・情報関連のいわゆる技術者を指している。 技術者は具体的には、
厚生労働省は厚生行政と労働行政を所管しているが、このうち厚生行政の基礎データを得るために実施している国民生活基礎調査では、毎年の世帯票、所得票に加えて3年毎の大規模調査の時だけ使用する健康票において、「悩みやストレスの原因」を複数回答できいている。この項目の年齢別集計結果から日本人が人生をたどる各段階で経験する悩みやストレスの状況をうかがうことができる。 「悩みやストレスの原因」は「悩みやストレスがある」と答えた者の回答である。最初に、そもそも、「悩みやストレスがある」と答えた者がどのくらいの割合だったかを見ておこう。下図のように、10代から20代へと悩みやストレスが大きくなり、男女ともに30代~50代にピークとなる。その後、60代~70代前半にいったん低まった後、70代後半から再度高くなるという経過をたどる。働き盛りを過ぎ、年金暮らしになると、一時期、仕事や生活の悩み・ストレスから解放さ
人口1人当りのエネルギー消費量は図録4020で見ているが、これは産業用と家庭用のエネルギーを合わせた消費量である。産業用ではなく、家庭用のエネルギーは各国でどのくらい、また、どのように消費されているのであろうか。 世帯当たりのエネルギー消費量を調べると米国が99GJ(ギガジュール)で世界で最も多く、英国、フランス、ドイツなど欧州諸国がこれに次いでいる。日本は44GJと欧米主要国より少ない。中国、インド、タイ、ベトナムなどの途上国はさらに少なくなっている。 *日本の年間の世帯当たりエネルギー消費量の44GJは、灯油の一斗缶を5.5日に1缶消費する分量である(灯油は1リットル=36.7MJ、44GJ=1,199リットル=66.6缶/年=1缶/5.5日)。 日本の世帯当たりエネルギー消費量が欧米より少ないのは、暖房が比較的少ないエネルギーで済んでいるためである。暖房に要するエネルギーが少ないのは
図録7852には江戸の人口分布・商業分布を掲げたが、ここでは、商業分布をさらに業種別に分けて示した。資料は、同じく、山室恭子「大江戸商い白書――数量分析が解き明かす商人の真実」講談社メチエ(2015年)である。 業種は同業組合の地域割り組織(番組)の特徴などから全域型、都心型、特化型に分けられる。 全域型12業種(米穀問屋から銭屋まで)のうち店舗数が多いのは舂米屋(つきごめや)と薪炭仲買(すみたきぎなかがい)である。これらはまさに全域展開であり、武家地の番町と農地の向島という例外的地区を除いてすべての地区にまんべんなく店舗を展開している。米穀問屋や両替屋もほぼこれに準じている。 舂米屋は米穀問屋からコメを仕入れて精米して小売する現代の米屋のことであり、薪炭仲買は燃料屋であり、現代のLPガス屋やガソリンスタンドのような業態である。毎日消費する食品やエネルギーであり、重量物でもあるので現代と同
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