母親から土地を相続した市川さん。使い道がなく、夏場には毎週末、伸びた雑草の処理に追われている=昨年9月、長野市篠ノ井塩崎 ■制度開始1年半 長野県内の申請承認は3割弱 相続したものの使い道に困る土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月に創設されてからの1年半余で、県内で国有化された土地は申請の3割弱にとどまることが8日、分かった。法務局の審査を通れば一定の負担金を納めることで国に引き渡せるが、更地でなければならないなど多岐にわたる要件を満たせず、申請そのものを断念する例も多いのが実態だ。 長野地方法務局(長野市)によると、県内では制度が始まった23年4月から24年11月までに61件の申請があったが、うち国有化されたのは17件(27・9%)。内訳は宅地が4件、農用地が2件、森林が3件、その他(雑種地や原野など)が8件だった。法務省によると、全国でも同期間の申請300