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ちょっとお高くとまった教養人とディナーなんかするときは、文学や哲学などの教養があるとなかなか会話がはずみます。 しかし、文学作品って、だいたい長いし、時代背景が昔過ぎて、今読んでもあんまり面白くないんですよね。 それに文学の研究者が訳していることが多くて、これが原著に忠実であろうとするがためになかなか読むのが大変なんです。 カラマーゾフの兄弟なんてドミートリイとかイヴァンとかロシア語の長い名前の登場人物がたくさんでてきて、さらにみんなあだ名とか、違う名前とか持ってて、もうめちゃくちゃではっきりいって暇人しか読めません。 それでも、文学作品とか、有名な哲学書とか、昔の心理学の大御所なんていうのは、知っているとものすごく教養の高い人、頭のイイ人、上流の人に「みられる」ので何かと得します。 ワインなんか飲みながら「それってディケンズの小説みたいだね」とかいって淑女と会話をはずませるもよし。 経営
「講座」もの、と呼ばれるシリーズ物の出版物がある。 シリーズ名に「○○講座」とか「講座××」と付いているのがそれだ。そう名乗らないものもある。 出版社によって、いくらか違いはあるが、ある時点での当該分野の研究成果を整理して示すことを目指した企画ものと考えてよい。 読み手の立場に立てば次のようになる。 「講座」ものとは、その分野で何が問題であり、何が分かっていて、どんな未解決の課題があるのか、その学問のコンテンツとコンテキストを、第一人者たちがざっくりと、しかし紙面の制限をあまり受けずに、紹介してくれている出版物だ。 はじめての分野に挑むなら、その分野について「講座」ものがないか、チェックすることをお勧めする。 以下の記事で紹介したself-containedな(必要なものはその中に全部書いてある)教科書は日本ではあまり出版されないが、その欠けているところを実質的にカバーしているのが「講座」
Code Complete 2 [ Code Complete第2版―完全なプログラミングを目指して (上・下) ] スティーブ・マコネルのCode Completeはソフトウェア開発者のための「楽しい料理」本だ。この本を読むということは、自分の仕事を楽しんでいるということであり、自分のすることに真剣であるということであり、もっと向上したいと思っているということなのだ。Code Completeの中で、スティーブは平均的なプログラマが読む 技術書は年に1冊に満たないと指摘している。この本を読んでいるという時点で、あなたはおそらく周りにいる開発者たちの90%と違う行動を取っていることになる。それもいい方向にだ。 私はこの本がすごく好きで、ここから自分のWebサイトの名前(Coding Horror)を取ったくらいだ。この本ではやるべきでない悪い例には"coding horror"アイコンで印
仕事で文書を書く必要がある人は「理科系の作文技術」(ISBN:9784121006240)を読むべきだ。 ここでいう仕事で書く文書というのは他人に読んでもらう文書をさす。他人に読んでもらうことを前提としないメモの類や狭義の日記などはこれにあたらないので、どう書こうが構わない。他人に読んでもらうことを前提とした文書は、相手に内容が伝わらなければ意味がないのだから、間違いなく相手に通じるように表現しなければならない。 小説、詩などの文学作品は、ここでいう「仕事で書く文書」に含めないことにする。文学作品と対比して、仕事で書く文書の特徴はどこにあるのか。それは、読者に伝えるべき内容が事実と意見にかぎられていて、心情的要素を含まないことである。 仕事の文書を書くときの第一の原則は、「必要なことは洩れなく記述し、必要でないことは一つも書かない」ことである。何が必要かは目的により、また相手の要求や予備知
ロボット工学を「究極の人間学」として問い直し、最前線の研究者6人にインタビューした書籍「人とロボットの秘密」(堀田純司著、講談社)を、連載形式で全文掲載します。 人間の振る舞いを、機械でシミュレートする。人型の機械、ヒューマノイドの実現は、現代科学のロマンのひとつであり、前世紀より数多くの優れた才能が、このロマンに挑戦してきた。しかしその営みは、ほどなく壁にぶつかることになる。 考えてみれば、人間をシミュレートするためには「そもそも人間がどのように動いているか」を理解している必要があった。その知識がないままに人間を再現しようとしても、できるはずがなかったのである。 本書は日本が世界に先駆けてユニークな成果をあげている分野、ロボット工学を取り上げるルポルタージュだが、「科学の最先端をレポートする」といったテーマではない。そうではなく、最先端のロボット工学がつきつける「人間観」を主題にしている
小説を書く基本技術がひととおり。 新米作家の教則本として読んでもいいし、深い読書への手引書として扱ってもいい。「小説は、Why? とBecauseで推進される」とか、「読書の快楽は予定調和とドンデン返し」といった基礎だけでなく、「同じ村上でも、春樹は回想、龍は実況」や、「谷崎は変態、三島は売れない俳優」といった、著者の文学観をも垣間見ることができる。 なかなか実践的なのは、各章のおしまいに「練習問題」がついているところ。たとえば、既読の小説のあらすじを100字にまとめろという。要約することで、いわゆる「読ませどころ」へ向かわせる物語の軌跡が見えてくるんだと。さらに、要約した小説の帯コピーを50字でまとめろという。キャッチコピーを考えることで、その小説の「最大の売りどころ」を見抜けという。要は「目玉」やね。おもしろそうだとそのとき感じた作品を漫然と読んできたわたしにとって、いい刺激になる。
・脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ 人間の脳はその場しのぎの改変を重ねてたまたま今の形になったという脳科学+進化心理学の書。原題は"KLUGE"。クルージ(kluge)とは「エレガントにはほど遠く無様であるにもかかわらず、驚くほど効果的な問題解決法」という意味。 ヒトの身体は明らかに最適化されていない。たとえば四足動物の脊椎を二足歩行に転用したため、速くは移動できず、多くの人が腰痛に悩まされている。呼吸と食事のために使う器官を発声に転用したので人間の言語は混乱している。目は受光部が後ろ向きのため盲点が存在してしまう。そして脳には反射や衝動を司る古い部分にのっかって思考を司る新しい部分が加わっているから、純粋な推論が下手だ。 進化の歴史の上でいきあたりばったりに、古い技術の上に新しい技術をぬり重ねたのが、ヒトの身体なのだ。この姿からだけでも全能の
「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)」は、色んなPM本の中でもベスト3に入ると思っている。 全て目を通したけれど、全て理解できてない。 自分が理解できた文章を中心にメモ書き。 【1】私の一番好きな単語は「How」(どのように)です 「はじめに」の冒頭にこの文章がある。 僕はこのフレーズが好きだ。 IT技術者は、システム化がお仕事であって、コンサルタントでもないし、営業でもないし、経営者でもない。 きちんとした要件定義書があったとしても、それをシステム化するには、設計もプログラミングもサーバー運用技術も必要とする。 それらは、全て「どのように実現するか?」という問題そのもの。 プログラムに落とせない仕様は、Howが突き詰め切れていないだけ。 【2】スケジュールとは確率なり 「アジャイルな見積もりと計画づくり」に
■ アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~(Mike Cohn) 翻訳者の角谷さんから送っていただいた。いつもありがとうございます。読むのに丸々一ヶ月かかるとか、どうかしてる。 ちょっと日記を遡ってみると、約5年前のXP祭り2004で、咳さんが「XPで一番面白いのは計画ゲーム」という発言をしていて、当時XP聞きかじり組だったおれは「ほうほう、そういうものか」と感心したものだった。なにしろXPといえばペアプログラミングやTDDばかりが取りざたされていて、計画ゲームやメタファーなんてプラクティスは、なんとなく「手の届かないもの」っぽい感じがあったものだ。 その後もしばらくは、計画ゲームはマジシャンの扱う道具で、その種明かしはベールの向こうという状況が続いていたと思う。で、計画ゲーム抜きで導入された「なんちゃってXP」が、失敗の山を築いていたわけだ。 本書は、
読了エントリを書くペース上がってきたかも。やっぱ興味がある分野だと、読むペースも早くなりますね。まぁ、興味あるから本を買うんでしょうが…w そういえばこの本、帯のキャッチフレーズがいいですよね♪ 根性だけでバグはなくならない デスマーチが始まる前に 絶望を希望に変える管理術 全体的な感想は、(どなたかも書いてたかもしれませんが)ちょっと前書きに当たる章が長い気がします。「第2章:バグ管理の流れ」はもっと思いっきり削ってもよかったのかも。中核となる第3章・第4章に行くまでに、ちょっと読み疲れました。この本は「システム開発に初めて携わるような人」も読むことを念頭に置いているので、この部分を説明せざるを得ないのもしょうがないのかもしれませんが… あと、所々に小ネタがしこんでありますね。アドホックテストの説明で「自動販売機のテストなら、コインを入れてから蹴りを数発入れてみる」とか。Head Fir
本連載では、「1枚企画書」に続いて竹島愼一郎氏が提唱する「5枚プレゼン」をPowerPointで実践する手順を全5回で紹介します。即断即決を可能にするのが先週までに紹介した「1枚企画書」ですが、プランニングの王道はやはり複数枚の企画書です。ただし枚数は5枚に限定するというのが秘中の秘策です。 初回は、5枚プレゼンのコンセプトと複数枚の企画書特有のレイアウトについてレクチャーします。 ※本記事は「ビジネス極意シリーズ パワポで極める5枚プレゼン」から一部抜粋し、編集・再構成したものです。 「企画書の枚数が増えて困る」という意見をよく聞きます。 たしかに企画で考えたことを網羅すると、際限なく長いものになってしまいます。なかには大企画だと主張したいがために数十枚もの企画書を上げてくる人もいます。 このページに掲載したのは「ビジネス極意シリーズ パワポで極める5枚プレゼン」の事例のひとつですが、5
【本の概要】◆今日お送りするのは、「パソコン」で言うと、「ショートカットキー」(?)のようなご本。 著者のオダギリ展子さんは「事務効率化コンサルタント」という肩書きのお方です。 そして本書内でも「ファイリング」や「書類整理」のハックがわんさか。 ◆本書の帯にはこうあります。100時間の残業をゼロにした68のお仕事ワザを大公開!新入社員、派遣社員のお助け本。 えーっと、新入社員でもないのに知らないものが多かった私はどうなんですか、と小一時間(汗)。 一つ一つは「ちょっとしたこと」なんですが、知ってるのと知らないのとでは大違いかもしれませぬ(汗)。 いつも応援ありがとうございます! 【目次】序章 仕事の環境づくり―デスク周り、机の上の環境づくりから仕事の基本まで 「デスク周り」を自分の「アシスタント・パートナー」にする! 仕事に取りかかりやすくなる!デスク周りの3原則 さらに仕事がしやすい環境
古典というより教典。小説、シナリオなど、創作にかかわる人は必読。 著者アリストテレスは、悲劇や叙事詩を念頭においているが、わたしはフィクション全般に読み替えた。フィクションを創造するにあたり、観客(読み手)に最も強力なインパクトを与え、感情を呼び起こすにはどうすればよいか?構成は?尺は?キャラクターは?描写は?「解」そのものがある。 これは、「現代にも通ずる古典」というのではない。二千年以上も前に答えは書かれていて、今に至るまでめんめんとコピーされてきたことに驚いた。本書が古びていないのではなく、新しいものが創られていないんだね。 著者に言わせると、わたしたちヒトは、「再現」を好むのだという。この概念はミーメーシスといい、模倣とも再生とも翻訳される。現実そのものを見るのは不快で、その現実を模倣したもの――演劇だったり彫刻、絵画だったりする――を見るのを喜ぶのだという。彫刻や舞台を用いること
大学1年から生物学部とか経済学部に在籍している人なんかは、「統計学」の体系的なトレーニング受けざるを得ないと思うので問題はないのですが、問題はそういうトレーニングをすっ飛ばしたまま、統計解析が必要になる人の場合。例えば、学部時代は英米文学専攻で統計に無縁だったけれど、大学院で英語教育系に転向した人。あるいは、教育方法論系の研究室にいてフィールドワークばっかりやっていたけれど、統計系の分析も必要になった場合。 1. 先輩から教えてもらわない まず、一番やってはいけないのが、先輩の院生に教えてもらうということ。「あの先輩に、色々教えてもらいたい(ハート)」など下心がある場合はまた別ですが、純粋に統計学“だけ”を学びたいなら先輩に教えてもらうのは危険です。 あなたは統計学初心者ならば、その先輩が「きちんと統計解析を理解している」かどうかを知る術はありません。周囲の評判というのもありますが、そもそ
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