今年度の最低賃金の引き上げ幅について、全国平均で時給を前年度比7円増の744円を目安とすることが決まった。 最低賃金をめぐり、生活保護の支給水準を下回る「逆転現象」が問題視されている。最低賃金で働くよりも生活保護を受けた方が収入が多ければ労働意欲を失う人も出てこよう。生活保護の不正受給も相次ぎ、逆転の解消が急務であるのは確かだ。 逆転現象がなお続く11都道府県では、全国平均より高めの最低賃金引き上げの目安が示されているが、一気に解消するのは難しい。ただ、リーマン・ショック後、平均賃金が下がり、デフレが続く経済状況を考えれば、「7円上げ」を少なすぎるとはいえまい。 むしろ、生活保護支給額との逆転を最低賃金引き上げだけで解消するのは、もはや現実的でないことを認識しなければならない。不正受給は論外だが、支給水準や支給方法など制度全体の問題としてメスを入れるときがきている。 民主党政権誕生後に労使