自分じゃ絶対に行けないような高級な寿司に、偶然と偶然と偶然が重なって呼ばれることになった。 親が旅行好きだったこともあって、北陸も北海道も何なら愛媛も博多も長崎も連れて行ってもらって、そこでうまい刺身はいくらでも食べてきたつもりだった。 結局は現地で食べる新鮮な魚に勝るものを都内なんかで食べられるわけがないっていうのがそれまでの自分の常識。 でも、それは間違い。本当にうまい寿司を食べたことのないただの独りよがりだと知った。 まず、鮮度は美味しさの一つでしかないということ。 その寿司屋はまるでライブパフォーマンスのように板前さんが寿司の説明を添えて提供してくれる店で、どこのどんな魚か、どんな調理をしたものかを毎回、それでいてしつこくないように教えてくれる店だった。 寿司というと何故か新鮮さが正義みたいな風潮があるが、当たり前だけど、新鮮よりも寝かしたり熟成したほうがうまい魚もあるわけで、そう
