この春、インターネット上のある学術出版社のサイトが「怪しすぎる」と研究者の間で話題になった。本拠地を「北海道」と称し、日本の研究者に論文投稿を呼びかけているのだが、論文は一本も掲載されていない。 記者(鳥井)は長年、「ハゲタカジャーナル」と呼ばれる粗悪な学術誌の横行を取材してきた。査読(論文の内容チェック)もそこそこに、研究者から受け取る掲載料を目当てにした悪質なビジネスだ。 ピンときた。このサイトはもしや、これから羽ばたかんとするハゲタカ誌の「卵」なのでは――。サイト運営者は「私たちは学術誌の出版社です。原稿投稿をご招待いたします」と、おそらくは機械翻訳であろう日本語を使っていた。調べてみると、海外のある人物にたどり着いた。 函館、新宿、ラスベガス。運営元を探し、たどり着いた先のてん末は記事後半で 「科学的および研究情報の発展に焦点を置く、先駆的な拠点です。私たちと一緒に発見の航海に乗り