落語速記はいかに文学を変えたか櫻庭由紀子淡交社2024年3月31日 初版発行 本のプロの知り合いが、面白かったと言って貸してくださった。なんとなく記憶にあったので、確認してみると、日経新聞の書評でも4月に紹介されていた。 書評では、”音声や動画を残すことが容易でなく、ラジオ放送もなかった明治時代。庶民の娯楽だった落語をいつでもどこでも楽しむ方法、それが速記本だった。最初に速記本となったのは落語中興の祖といわれる三遊亭円朝の「怪談牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」。円朝が数多く生み出した創作の一つで、落語だけでなく歌舞伎演目の原典にもなった長編だ。続いて立志伝の「塩原多助」などの速記本もベストセラーと…