状況が裂いた部屋

旅行と読書と生活

2024年よかったもの

オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム
2月、オンライン中継で観た。一組の芸人が東京ドームでライブをやるのは1989年のとんねるず以来とのこと。絶対やるだろうな、と思ってた『フィールドオブドリームズ』のパロディから若林の登場、花道に迫り上がってきたラスタカラー色のロードバイクに跨り場内を走り回るシーンはめちゃくちゃ格好良かった。ラジオ風のコーナーでは若林はウーバーイーツの話、春日は日大二高前の中華屋のポークライスの話(実食あり)。春日のゲレンデヴァーゲンをパイまみれにしたり、プロレスをやったり、若林が星野源とラップやったり、全部最高のエンタメだった。最高に面白かった。深夜ラジオって本来は冴えない大学生が部屋で孤独に聴くものだと思ってたけど、売れるとこんな規模の祭りになるんだと胸が熱くなった。
あと、公式アニメーションロゴが現れるときの演出が良かった。シンエヴァでもやっていた、手書きで書き上がっていくエフェクトのやつ。「100カメ」で見た番組の裏側では、制作陣の活躍と苦闘か知れて見応えがあった。


箱根旅行
2020年以来の大学同期旅行。30歳になっても、顔を合わせて喋るだけで楽しい。でもそれだけでは物足りないのでちょっと観光もしたい、という時に箱根はちょうど良かった。思ってたより観るところがあった。温泉と芦ノ湖しかないと思ってた。登山鉄道も乗れたし。みんな人生を着実に進めていて、置いていかないでくれよと少し寂しくなる。東京へ戻ってから最後に上野で食べた牡蠣も美味かった。


家主のライブ
6月に大好きなロックバンド、家主のライブを初めて観た。最高だった。普通に生活していると、ドラマチックな出来事が起こることはなかなか無いが、ロックバンドのライブではこういう瞬間が時々起こる。3曲目でいきなりやった「家主のテーマ」のクライマックスで、あまりに突き抜けたエモーショナルさに自分は泣いた。


星野源×ARuFa×恐山の鼎談
面白かった…。まず星野源が「ARuFaの日記」や恐山のnoteを読んでいることが意外だった。星野源がふたりの本物のファンであることが記事からよく伝わってくる。
一番良かったくだりは、ARuFaが使っている謎の無料動画編集ソフト「AviUtl」(めちゃくちゃ操作性に問題があるらしい)の話題になったところだ。
ARuFa「その面倒臭さが有料ソフトに出せない『温かみ』を生むからなぁ」
恐山「自分で自分の葬式を開きなさい。」
星野源「その『温かみ』はちょっとわかるな……。(中略)こだわってるの伝わってくるし、あの動画の感覚って他のアプリケーションだと出しにくいと思うので、ぜひAviUtlを使い続けてほしいですよ」
ARuFa「……これからはその言葉を宝物にして生きていきます」
あとは恐山が毎日noteを更新する理由として「Twitterだと"濁って"しまう」ことに5年も前から気づき、クローズドな場所に文章を書くように切り替えていた点はさすがの慧眼だと感じた。今のXは治安が悪過ぎる。もう卒業した。


出会って4光年で合体
にゃるら氏が「作家性の爆発」と表現していたが、まさにそれだった。途方もないスケールの話で描かれるエロ漫画。全382ページ。「セックスしないと出られない部屋」のシチュエーションに必然性を持たせるために、弘法大師の民話やSF、謎掛けや青春ラブコメそしてポルノ論まで、膨大な要素を積み上げた大傑作。
作中にはモノローグが多く、かなりの量の小ネタと会話が描かれる。徹底的にディテールを語ることが、強力な物語と終盤のカタルシスを生むのだと知った。あまりに壮大で、あまりにロマンチックな物語だ。インターネットの片隅に時々現れる、野良の傑作。これくらいぶっ飛んだ作品にはそう巡り会えない。2024年に触れたあらゆる作品の中で一番感動した。本当に読めてよかった。

 

climb the mind「近影」


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個人的ベストトラック。最初の5秒聴いただけで「climb the mindだ」とわかる音。特に細かくて立体的なベースのフレーズ。やっぱりずっと好きなバンドだ。bedのアルバムも良かったし、前作から何年も間隔が空いても、いまだに活動してくれていて嬉しい。

 

電球『4番線』MV


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今年知った中ではベストMV。プールを浮き輪で漂っているような心地良さ。不安定なカメラ、街を歩く謎の綿頭の男、それに一切触れない周りの人間、無機質な街、海に浸かるスーツの男、都会/自然、朝/夕暮れ、存在/不在。薄っすらと流れる壊れた雰囲気。
一番すごいのは、このMV全体を貫いている独特のトーンだ。若干の不気味さ、違和感がありながらどこか美しい画の連続で、見飽きることがない。画面の薄暗さと映る雑踏の冷たさに対して、ノイズが多い曲からはほんの少し暖かい質感を感じる。男が浸かる海が心地良い温度なのが伝わってくるようだ。この雰囲気はなかなか狙って撮れるものでないと思うが、映像全体のトーンが統一されていることから狙い通りの仕上がりなのだろう。凄すぎる。
これほどの完成度の高いMVなのに、再生回数が少なすぎると思う。まだ世に見つかっていない、とんでもない天才がここにいる。


文学フリマ東京39

3年連続3回目の出展。ZINEを作り続けてわかった。ZINE作りの面白さとは、企画、執筆、校正、編集、入稿、販売まで全てを個人でコントロールできることだ。そして自分の場合、編集のパートが一番好きだ。あとは企画を構想する段階。書くことをもっと楽しみたい。当日、そこそこ売れて良かった。会期が終わった時間に会場を出たらマジックアワーだった。みんながデッキに出て沈む夕陽の写真を撮っていて、なんか良い雰囲気だった。

 

観た映画(37本)
サ道 ~2022年冬小さな幸せを胸にととのう~
ロストイントランスレーション
レザボア・ドッグス
HASAMI groupの歴史
千年女優
ペルシャン・レッスン
一秒先の彼
ゴールデンカムイ
ナイト・オン・ザ・プラネット
美女缶
PERFECT DAYS
ファンタスティック・プラネット
デューン PART2
フォロウィング
オッペンハイマー
アット・ザ・ベンチ
悪は存在しない
青春18×2 君へと続く道
農家に嫁いだ女
アメリカン・ユートピア
ルックバック
イージー⭐︎ライダー
黄龍の村
青の帰り道
サマーウォーズ
滲み
ナミビアの砂漠
Civil War アメリカ最後の日
リバー、流れないでよ
ハヌ・マン
ザ・メニュー
ショーン・オブ・ザ・デッド
STOP MAKING SENCE
グラディエーター
十二人の怒れる男
ビリーバーズ
正体

一番面白かったのは「デューンPART2」。前作のこともあり何も期待しないで観に行ったら、想像を絶する面白さだった。「PERFECT DAYS」も良かった。これから先に何度も見返すことになりそう。アニャ・テイラー=ジョイ目当てで観た「ザ・メニュー」は変な映画すぎてとても良かった。たまにはこういった狂った映画を見たい。

 

一年を振り返って
文章を書く量がようやく少し増えた。これは良いことだ。気付けばこのブログにも20本の記事を書いていた。10年近く続いているこのブログだけれど、総計150本以上の記事があるのを見ると結構達成感がある。創作に関してもそうだけれど、時期によって書いたり書かなかったりするムラっ気をなくして、安定して書けるようにしたい。机に向かって10分間キーボードを触れば、あとはなんとか文章が出てくるものだ。ただキーボードまでが遠い。漫画アプリとSNSを消して、自分のやるべきことに向かわなくてはならない。きっかけも理屈も要らない、ただ毎日書くのが大事なのだと思う。
2025年の目標は「読んで読みまくり、書いて書きまくる」だ。インプットもアウトプットも増やしたい。長い文章を書くための体力が不足しているのを痛感するため、基礎を養いたい。具体的には本を50冊以上読み、映画を50本以上観る。本当はこの倍は読みたいが、仕事との両立ができる限界がこのあたりだと思う。あとは理論を学ぶために講座を受講することも考えたい。タイムリミットは近い。色々となんとかしたい。