庁内業務の多くを「Excel」と「紙」に頼っていた自治体が、「kintone」を導入したことで起こした“変化”とは――? サイボウズが主催する「Cybozu Days 2024」より、山梨県・富士吉田市のDX担当者による講演。後編となる本記事では、1年間無料でkintoneを使える『自治体まるごとDXボックス』に参加するまでの経緯や、総務・庶務システム実装までの流れを詳細に解説。行政職員限定の公式ユーザーコミュニティ「カブキン」への参加メリットなども紹介します。
全職員アカウントを目指して
小俣貴司氏(以下、小俣):さっそく(kintoneの全職員アカウントを取得する)1回目のチャンスが2023年度にありました。庁内で職員アンケートが行われまして、これが本当に事務改善も含めてなんでもOKというアンケートだったんです。
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そこで、「全職員アカウントで、1年間無料で使える
『自治体まるごとDXボックス』に参加して実証実験しましょうよ」という話をしたんですけども、諸々の事情により却下されました。ただ、自分の中でモヤモヤがずっとたまっていて、諦め切れなかった。そこで何をしたかというと、今度は「自主研究グループ」を立ち上げました。
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kintoneの試用期間がありますよね。それとアールスリーさんのgusuku Customineの検証プランを使いました。これが2ヶ月間、Customineの機能を1回だけフルで使えるものになるんですけども。
こちらを組み合わせて活用をすることによって、短期間で、全職員が活用できるアプリを何個か作りました。これが、今市役所では何もない出退勤管理だったり、時間外の申請だったり、人事評価だったり。あと、ここには書いてないんですけども、休暇申請などの庶務システムを構築しました。
構築したアプリの説明と費用対効果まで出して、自主研究グループで総務課や情シス担当を対象にプレゼンを行いました。それで、けっこう好意的な意見や賛成を多くいただけたので、2024年度に「自治体まるごとDXボックス」への参加が認められたという経緯になっています。
毎月約40時間かかっていた時間外申請の転記・集計
小俣:その中でも、ここに書いてある出退勤管理や時間外などの総務的な業務をメインに改善していきたい思いがやはりあったので、総務課との連携体制も「外部機関との連絡調整は基本的にはDX担当がやる。アプリ開発とマニュアル作成についてもDX担当でやるけども、操作研修については総務課の職員も出てね」というふうに定めております。
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あとは「効果検証もDX担当でやるけども、それに伴う資料などは総務課から提供してください。庁内に対するアナウンスは、総務課でしっかりとアナウンスしてください」ということで、一応役割を分けています。
総務課と連携をしてここから何をしたかというと、時間外申請の自動集計です。今まで総務課が時間外の集計をどうやっていたかというと、職員個人がExcelで入力して、それを印刷して、課長の決裁をもらって、紙で総務課に提出します。総務課の職員は、その紙を計算用のExcelにひたすら転記する、という作業を本当にやっていました。
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この転記・集計作業に毎月約40時間かかっておりました。これを本当にシンプルに、「じゃあkintoneに変えればいいじゃん」という話だけですね。総務課は終わったところでCustomineで自動集計させます。
となったら、もう転記作業は不要になったので、毎月約1.5時間の作業だけで済みます。40時間だったのが1.5時間、年間で言うと462時間の削減につながりました。これ以外にも、休暇の申請などいろいろとあるんですけれども、まだそこまでいけていないので、これからどんどん進めていこうと考えております。
自治体がkintoneを利用するメリット
小俣:僕は、自治体でkintoneを利用するメリットが2つあると思っています。一番のメリットは、kintone自体がさまざまな業務に活用できるというポイントが大きいと思っております。自治体の業務って、やはり幅広いです。ただ、それに合わせて自分たちでトライアンドエラーを繰り返しながらでも、業務に合わせてシステムを構築できると思っております。
あと、コミュニティ活用の部分では、サイボウズさんで運営している
「ガブキン」で、僕も最新の情報を情報収集しています。同じような業務をやっている他の自治体の事例をそのまま横展開できるというケースで、ガブキンなどは使えると思っております。
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今後の展望として、2つ挙げさせていただきます。やはりまず、「全職員で活用するキラーアプリの作成」を考えております。
先ほどの時間外申請の他に、休暇の申請、人事評価システムなど、庶務システムのキラーアプリを作成することによって、kintoneを毎日使うような状況を作っていきたいと思っております。そこからさらに、kintoneアプリを作っていく人が、1人でも2人でも現れてくればいいと思っています。
もう1つは、「kintone人材の育成」です。連携サービスも含めた、ちょっと難しいkintoneアプリを作成できる人材が、やはり今少ないです。そこもハンズオン研修などを通して、どんどん増やしていければ。今日のような「Cybozu Days」などのイベントに連れ出して、最新の情報に触れてもらうことで、ちょっとでも刺激をもらってくれればいいかなと思っております。
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ちなみに今日、富士吉田市の職員も何人か来ているんですけども、手を挙げられますか? もしよろしければ、みなさん名刺交換をしていただければありがたいです。富士吉田市の発表は以上になります。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
瀬戸口紳悟氏(以下、瀬戸口):小俣さん、発表いただきましてありがとうございました。
小俣:ありがとうございました。
kintoneを1年間無償で使える「まるごとDXボックス」
瀬戸口:では、ここから「Q&Aセッション」で何問か、小俣さんに私から質問させていただきたいと思います。最初に、話の中で出てきました「まるごとDXボックス」というサイボウズが主導しているキャンペーンについてです。
こちらはパートナーと連携して、kintoneを1年間無償で使える枠組みです。こちらに2024年に参加されているということで、感じたメリットなどを、お話ししていただければうれしいです。
小俣:そうですね、やはり一番のメリットは、全職員でkintoneを活用できるところかなと思っていて。今までは少数のアカウントで行っていて、「全職員がアカウントを持ったら、〇〇の業務ができるな。〇〇ができそうだな」と頭の中ではイメージはできていたんですけども。
やはりそれを実装するとなると、どうしてもつまずく部分が出てきてしまうと思うんですね。なので、それをこういったキャンペーンで、実際に実装までできるのが一番のメリットじゃないかなと思っております。
瀬戸口:ありがとうございます。そうですね。やはり自治体ですと、予算という枠組みがある中で、今すぐにkintoneのようなツールを使って実証していくことって、なかなかハードルが高いとおうかがいしています。
そんな中で、この枠組みなどをうまく利用して、最初にどれくらい……お話の中にもあったと思うんですけれども、費用対効果だとか、実際に活用してみる実績を作っていくことで、スムーズに進みやすくなる状況もあるかなと思います。ありがとうございます。
kintoneを通じて自治体や官民の垣根を越えていく
瀬戸口:では続いて、小俣さんの最初の自己紹介の中にも出てきました、「ガブキン」というサイボウズの自治体コミュニティがあります。
自治体の職員さんとしてはけっこう珍しい特徴として、(小俣さんは)自治体だけというところを飛び越えて、さまざまな民間企業などを含めたコミュニティにいろいろ顔を出していたり、SNSなどを通じて情報交換をされていたりするイメージなんですけれども。その中で、小俣さんがkintoneコミュニティのどのような点に魅力を感じるかについて、おうかがいしたいと考えております。
小俣:そうですね。やはり「kintone」という共通のワードで盛り上がれるのが、個人的にも一番楽しいです。今、「kintone Cafe 山梨」の下部組織じゃないですけども、山梨県内のユーザーが集まる「よっちゃばれっ kintone 無尽!」が定期的に開催されているんですけども。
そこに集まる方々とは本当に仲良くさせていただいているので、kintoneに関する情報交換もけっこうしています。最新の情報に触れられていて、自治体目線でない民間視点からの意見もいただけるので、自分にとっても刺激になりますし、新たな発見があるのが、コミュニティのいいところなのかなと思っております。
瀬戸口:ありがとうございます。やはり自治体って地域に根ざしている分、なかなか外に出にくい職員さんもいらっしゃると思うんですけれども。その点、小俣さんはいろいろなところに実際に足を運んで情報収集などもされていて、すばらしいなと感じております。今日も実際に、富士吉田市の職員さまもいらしていただいているということで。
ガブキンというコミュニティはあるんですけれども、自治体がそこを飛び越えて、いろいろな情報交換をしていく文化を、ぜひ我々としても支援していければと思います。その先導者として、ぜひ小俣さんには今後もSNSでの情報発信などをしていただきたいと思っております。
小俣:がんばります。
小さな成功体験を積み重ねる大切さ
瀬戸口:では、少し早いですが、最後の質問になりますね。今日は、自治体の職員さまや、自治体にご提案をされているパートナーさまもいらしているかなと思うんですけれども。
特に自治体の職員で、今後業務改善を進めたいと考えていて、情報収集に来ている方もおられるんじゃないかと思いますので、ぜひこういった方々に小俣さんからのアドバイスをいただければと思います。
小俣:そうですね。本当にとてもアドバイスをできるような立場ではないんですけども、自分がやっていて思ったのは、いきなり大きな改善をしようとすると、必ず壁にぶち当たってしまうことがあるので。
やはり小さい成功を、ステップアップして積み重ねたほうが、業務改善を進めていったり、最終的に大きなものを改善する上ではやりやすいと思いますし、周りにも波及をさせやすいのかなと思います。まずは小さな成功体験を積んでいただきたいなと思っております。
瀬戸口:ありがとうございます。自治体ですと、成功体験を積むというか、やはり小さいところからチャレンジして、駄目だったらやめる判断もそうですし、どこが悪かったかを分析するのが仕組み上なかなか難しいのかなとは思うんですけれども。
kintoneはそれができるツールの1つかなと思っておりまして、今いただいたアドバイスは、自治体職員さまにも参考になったかなと思います。ありがとうございます。
小俣:ありがとうございます。
瀬戸口:では、こちらのセッションは以上になります。kintoneは今後も自治体でより広がっていくと思いますので、何かありましたら、小俣さんももちろんですし、我々サイボウズのほうにもぜひお問い合わせいただければ、いろいろご支援できる部分があるかと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
小俣:よろしくお願いします。
瀬戸口:最後にすみません、ちょっと自分のあいさつになっちゃったんですけども(笑)。
小俣:いえいえ。
瀬戸口:本日は小俣さんに発表いただきました。誠にありがとうございました。
小俣:ありがとうございました。
(会場拍手)