「アダルト作品取り扱い」でカード決済停止 企業の自由か表現規制か

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後藤遼太 山田暢史
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 成人向けの漫画やイラストなどを扱う大手通販サイトで、クレジットカードが使えなくなる事態が次々と起きた。ネット上の性的コンテンツを厳しく監視すべきだという国際的な潮流が背景にありそうだが、流通を断たれた形の事業者側からは「事実上の表現規制だ」との声も上がる。

 漫画をウェブ配信するサイト「マンガ図書館Z」が昨年11月、閉鎖した。絶版作品をデジタル化して配信し、利益を作者に還元してきた。取り扱い作品には成人向けも2割ほどあったという。

 運営会社代表の乙川庸之さんによると、カード会社との仲介を行う決済代行会社から5月、「レイプ」「拷問」など約50の語句リストが届き、取り扱う商品の中から当該語句や「連想させるもの」を含む商品を削除しないと「3日以内に取引停止がなされる」と伝えられた。

 「中には『犯』1文字もあった。一般作品まで削除すべきか迷った」。該当しそうなアダルト作品を削除してこの時点では対応したが、10月に「アダルト作品の取り扱い」を理由に取引停止を言い渡された。決済の9割はカードだったため、運営が困難になったという。

 アダルト作品を見るには年齢認証を設け、一部の作品は児童を性的に描く作品にならないように修正をして配信していた。「停止の基準があいまいに感じた」と乙川さんは言う。

成人作品扱う大手サイト「軒並み停止」

 同様のカード決済停止は相次いでいる。

 イラストなどを販売する大手…

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この記事を書いた人
後藤遼太
東京社会部|メディア・平和担当
専門・関心分野
日本近現代史、平和、戦争、憲法
山田暢史
東京社会部|メディア担当
専門・関心分野
農林水産業、食、武道、災害
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    古谷経衡
    (作家・評論家)
    2025年2月21日23時41分 投稿
    【視点】

     私も、記事中にあるダウンロードサイトや同人サイトの会員であり、その決済手段は主に、日常的に使用しているビザカードであったため、早い段階で運営会社から「日系資本のクレジットカードか、銀行振り込み等への変更をお願いします」という旨の通知が来て

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  • commentatorHeader
    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2025年2月22日8時46分 投稿
    【視点】

    カード会社の対応は、企業活動も「人権」を重視すべきだという流れの上にあるものかと思いますが、非常に懸念を覚えます。 伝統的には書店や取次、現在ではデジタルプラットフォームなど、情報流通に関わる事業者は多々ありますが、これらは多かれ少なかれ表

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