【レビュー】『テクノス ザ・ワールド くにおくん&アーケードコレクション』くにおくんとテクノスジャパンの歴史がたっぷり収録された一作。日本未発売の『くにおの熱血闘球伝説』がおもしろ過ぎる

byQマイン

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【レビュー】『テクノス ザ・ワールド くにおくん&アーケードコレクション』くにおくんとテクノスジャパンの歴史がたっぷり収録された一作。日本未発売の『くにおの熱血闘球伝説』がおもしろ過ぎる
 アークシステムワークスより2025年4月24日に発売予定の『テクノス ザ・ワールド くにおくん&アーケードコレクション』。Nintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)でのリリースが予定されている。
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本記事はアークシステムワークスの提供でお送りしております。
 テクノスジャパンが過去にリリースした12種類のタイトルを収録した作品集。家庭用やアーケード用のタイトルとして人気の高かったものから、日本国内では発売されなかった幻のものまで、幅広いタイトルを収録している。

 そんな本作をひと足早くプレイする機会を得たので、記事担当ライター・Qマインによるプレイレビューをお届けする。収録タイトルが多いため、今回は5つの作品をピックアップして手触りや魅力を紹介したいと思う。なお、プレイしたバージョンはNintendo Switch版かつ開発中のものである。

収録タイトルはバラエティ豊かで遊び応え満点、そして変わらない楽しさ

 まずは気になる収録タイトルの確認から。各タイトルの概要についてはコチラの記事を参考にしてほしい。

収録タイトル

  • 『くにおの熱血闘球伝説』(日本未発売/アーケード/海外版NEOGEO限定)
  • 『くにおくんのドッジボールだよ全員集合!』(1993年発売/スーパーファミコン)
  • 『初代熱血硬派くにおくん』(1992年発売/スーパーファミコン)
  • 『ダウンタウン熱血べーすぼーる物語』(1993年発売/スーパーファミコン)
  • 『くにおのおでん』(1994年発売/スーパーファミコン)
  • 『ザインドスリーナ』(1986年稼働/アーケード)
  • 『西遊降魔録 流棒妖技ノ章』(1988年稼働/アーケード)
  • 『コンバットライブス』(1990年稼働/アーケード)
  • 『コンバットライブス』(1992年発売/スーパーファミコン)
  • 『シャドウフォース 変身忍者』(1993年稼働/アーケード)
  • 『すごろクエスト++ダイスニクス』(1994年発売/スーパーファミコン)
  • 『ダンクエスト魔神封印の伝説』(1995年発売/スーパーファミコン)

 正義の不良・くにおが主人公を務める『くにおくん』シリーズを始め、アクションとシューティング、ふたつのパートで構成される『ザインドスリーナ』や個性豊かな4人のキャラクターを駆使して戦うベルトスクロールアクション『シャドウフォース 変身忍者』など、バラエティに富んだタイトルを収録。
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『ザインドスリーナ』
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『シャドウフォース 変身忍者』
 最大の見どころは何と言っても、『くにおの熱血闘球伝説』の存在だ。この作品はくにおたちが3人1組のチームに分かれて戦うドッジボールゲームで、1996年に海外で先行発売(NEOGEO)された。その後、テクノスジャパンが解散したため、日本で発売されることがなかった幻のタイトルである。
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『くにおの熱血闘球伝説』
 そんなレアタイトルまでもが収録されているファン感涙の本作。もうひとつの魅力はユーザーファーストを徹底したゲームシステムだ。プレイ途中でのセーブ&ロードはもちろんのこと、発売・稼働当時にあった不具合を修正してあったり、オンラインで遠くの友人と協力・対戦ができたり、画面サイズを変更できたりと、利便性を重視した作りになっている。
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タイトルごとに4つのセーブスロットが用意されている。
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画面サイズは標準、標準拡大、4:3、4:3拡大、フル画面の5つ。また画面に水平方向線“スキャンライン”を追加してレトロ感を演出することも。
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日本語と英語の切り換えにも対応。
 アーケードタイトルはプレイ中に、クレジットを自由に増やせるようになっているため、残機がゼロになってもやられた場所から即座にリトライできるのもありがたい。子どものころにはできなかった、100円玉大量投入の快感を本作で味わえるとは思わなかった。
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『西遊降魔録 流棒妖技ノ章』
 これにより、当時クリアーできなかった人やレトロゲームに初めて触れる人でも快適に楽しく遊べる。とくに当時のアーケードタイトルは難度が高く、本作に収録されているものも例に漏れず、結構難しかった。そのため、筆者はセーブ&ロードとクレジット追加の機能にかなり助けられた。

注目タイトルレビュー1 『初代熱血硬派くにおくん』 ケンカっ早過ぎる通行人を殴り倒して成長していく乱闘アクション

 ここからは収録タイトルの中からピックアップした5つのタイトルのレビューをお届け。ひとつ目は『くにおくん』シリーズ初のスーパーファミコンタイトル『初代熱血硬派くにおくん』。本作は修学旅行で大阪へとやってきたくにお一行が、最凶不良軍団“大阪連合”に苦しむ現地の学生たちを救うべく、大阪中を駆け回るアクションRPG。
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 プレイヤーは梅田や心斎橋など、複数のマップで構成された大阪を自由に移動しながら、敵と戦って経験値を獲得しレベルを上げたり、イベントをこなしてアイテムをゲットしたりしながら物語を進めていく。
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 注目してもらいたいのは、エンカウントの方法だ。街中には多くの通行人が往来しているのだが、彼らは唐突にケンカを仕掛けてくる。ランダムエンカウントとシンボルエンカウントの中間のようなシステムで、しかもケンカを仕掛けてくるのは不良だけではない。サラリーマンやOL、女子高生、主婦、おじさん、はてはナニワ野球チームのファンなど、さまざまな通行人が敵として立ちはだかり、大阪のあちこちで乱闘バトルをくり広げることに。
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  くにおはレベル1の状態だと、パンチやキック、羽交い締めといった簡単な攻撃しかくり出せない。しかし、レベルが上がると決めパンチ(強烈なストレート)やジャンプキック、延髄切りなど、強力な攻撃方法を習得する。また、くにおは気力(MPのようなもの)を消費して自身の体力を回復したり、能力を一時的に高めたりするコマンド“気力技”を使うことができ、こちらもレベルアップで技を習得できる仕組みだ。
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コマンド画面を開くとポーズ状態になる。この画面は戦闘中でも開ける。
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 力や素早さ、防御といったステータスがあり、またくにおのステータスを高める装備アイテムも用意されている。装備できるアイテムはひとつだけなので、何を選ぶかも重要に。

 最初は攻撃手段が少なく、やきもきさせられるが、レベルアップによって攻撃手段や気力技が増えることで戦闘時の選択肢が広がり、敵と戦うのが一気に楽しくなっていく。アクションとRPG、両方のおもしろさがしっかりと表現されている作品だ。
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各地でイベントやストーリーが発生。現地の人たちとのやり取りも見どころのひとつだ。

注目タイトルレビュー2 『くにおのおでん』 お助けからしで一発逆転を狙える爽快感がイイ!

 『くにおのおでん』は画面の上部から落下してくる同じおでんの具(こんにゃく、ちくわ、昆布、大根、卵)を複数つなげて消していく落ち物パズルゲーム。
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 おでんの具の消えかたにはふたつのルールがある。ひとつは同じおでんの具を縦横に隣接させて、4個以上くっつくように並べると消える“くっつき”、もうひとつは同じおでんの具を3個以上縦、横、斜めに並べると消える“ちょくれつ”だ。消えかたのルールは敵と戦う際に選び直しができるので、相手に応じて戦いかたを変えられる。

 またおでんの具を複数個一気に消す、または連鎖消しすると相手の場におじゃま串が出現しパズルの妨害が可能。
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 画面右にある細長い棒がおじゃま串。おでんの具に刺さった場合はそのおでんの具を消せば串も消える。串単体の場合は後述するからしが必要になる。

 そして、おでんと言えば欠かせないのがからし。画面の中央には徐々に増える“からしゲージ”というものがある。これは時間の経過や素早くおでんの具を積み重ねることで溜まっていき、満タンになると自身の場に“お助けからし”を発射する。

 からしは落下中に色を切り換えることができ、積み上がっているおでんの具に接触することで効果が発動。命中したおでんの具と同じ種類の具をすべて消したり、相手のからしゲージのスピードを遅らせたりなど、一発逆転を狙える強力な効果が多い。

■からしの効果
  • 黄からし:おでんの具に当てると同じ種類の具をすべて消せる
  • 赤からし:消した具の数に応じておじゃま串を相手の鍋に降らせる
  • 緑からし:相手のからしゲージのスピードを遅らせる
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黄からしがちくわに触れたことで、自身の画面内にあるちくわがすべて消えた。こすことも可能だ。からしを使って連鎖を引き起せる。

 本作のルールはシンプルだが、ふたつの消しかたとからしの存在によって、対戦者どうしの読み合いによる駆け引きが生まれて戦略の幅が広がり、戦いに深みも生まれる。何よりもルールがわかりやすい分、プレイするのはもちろんのこと、見ているだけでも楽しい。友だちと対戦すれば盛り上がること請け合いだ。

注目タイトルレビュー3 『西遊降魔録 流棒妖技ノ章』 爽快感抜群のアクションと高難度のゲーム性が魅力の一作

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 プレイアブルキャラクターは孫悟空、猪八戒、沙悟浄の3体。ゴールを目指すのではなく、ステージ内のザコ敵を一定数倒すとボスが出現し、それを撃破することでつぎのステージへと進めるという仕組み。
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孫悟空、猪八戒、沙悟浄は味方キャラクターなのに、かなりの悪人顔。
 キャラクターたちは武器による攻撃、掴み投げ、ジャンプといった基本攻撃に加え、“術出し”と呼ばれるキャラクター固有の必殺技をくり出せる。これは敵が落とす特定のアイテムを拾うことで使用可能となる。
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 そんな本作はとにかく難度が高い。体力を回復するアイテムはなく、ボスがくり出す大技は一撃でライフの半分を奪い取る。キャラクターや敵ボスはグラフィックが大きく描かれている分、攻撃をかわしづらく、ボスに接触してダメージを受けることもしばしば。また制限時間にも注意を払わなければならない。筆者はプレイ中、やられっぱなしで何度もクレジット機能を使ってリトライした。当時のユーザーたちは一体いくら注ぎ込んでこのゲームをクリアーしたのだろうか……。
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筆者が苦手なボス。身体が大きい上に、本体にも当たり判定があるため、ダメージを受けやすい。
 かなり歯応えのある難度ではあるものの、操作性に複雑さはなく、ザコ敵を吹き飛ばしたり、ステージ上を縦横無尽に駆け回ったり、術出しで敵に大ダメージを与えたりと、爽快感を色濃く感じられるゲーム性に仕上がっている。

注目タイトルレビュー4 『コンバットライブス』 技の派生が多くてボタンを連打しているだけで楽しい!

 4つ目は元アメリカ陸軍出身のキャラクターたちを操作し、アメリカにはびこる悪の組織の壊滅を目指すベルトスクロールアクション『コンバットライブス』(アーケード版)。
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 プレイアブルキャラクターはバーサーカー(万能型)、ブローヴァ(パワー型)、ブリッツ(スピード型)の3人。万能型やパワー型という言葉の通り、キャラクターごとに性能が大きく異なる。個人的にはスピードの速いブリッツが使いやすかった。
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見た目は皆、筋肉モリモリのマッチョ。しかも全員元アメリカ陸軍出身。頼もしすぎる。
 ステージは『西遊降魔録 流棒妖技ノ章』といっしょで、ザコ敵一掃後に出現するボスを倒すことでクリアーとなる。ザコ敵の数が多いため、つねに大量の敵に囲まれることになるのだが、本作はある特徴のおかげで不利な状況でもつねに戦いを楽しめるようになっている。
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 その特徴というのが、豊富な派生攻撃の存在である。本作の操作ボタンはパンチ、キック、移動(ダッシュ)の3つだけだが、敵との距離間や敵の体勢によって、攻撃が自動的に派生する仕組み。

 たとえば、ダウン中の相手の足下でパンチボタンを押すと“ジャイアントスイング”が発生。敵をぶん回しながら周囲の敵を一掃できる。また、相手キャラクターに挟まれた状態でパンチかキックのボタンを押すと、相手の顔どうしをぶつけ合う“がちんこ”が発生し、ピンチをチャンスに変えられる。
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  このように少ないボタン操作にも関わらず、敵の状況に応じて多彩な攻撃をくり出すことができるので、ボタンを連打しているだけで楽しいし、ザコ敵の数が多いほど爽快感も増す。なかなかに痛快なタイトルだった。

注目タイトルレビュー5 『くにおの熱血闘球伝説』 必殺シュートで相手チームを一掃する快感がたまらない!

 最後は日本未発売のスポーツゲーム『くにおの熱血闘球伝説』。3人1組のチームに分かれて、ドッジボールで競い合う作品。ジャンプダッシュ投げを駆使すれば相手のコートに侵入しつつボールを投げられたり、体力がゼロになると外野に移動したりと、一般的なドッジボールとはルールが大きく異なるのが特徴だ。
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くにお、リキ、みゆき、ケンジ、しんじ、みすず、サブの7人が各チームのリーダーを務める。
 プレイヤーは7つあるチームの中から好きなチームを選び、トーナメントに挑戦する。試合ではシュートやパス、キャッチ、回避、バックステップ、ダッシュ、ジャンプといった基本操作に加え、必殺シュートやカウンター、連携攻撃、合体攻撃などの強力な必殺技をくり出せる。必殺技は強力な分、格闘ゲームのようなコマンド入力が必要だ。
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 必殺技の中でもとくに強力なのが、チーム全員で力を合わせてくり出す合体攻撃。画面左下のパワーゲージが最大の状態でないと放てない代わりに、破壊力は抜群。ただしコマンドが複雑なため、コマンド入力に慣れていないと、なかなか発動させられない。筆者はくり出すのに5分以上もセーブ&ロードをくり返した。

 合体攻撃以外の必殺技はノーコスト(コマンド入力のみ)でくり出せるうえに、コマンドも複雑ではない。そのため、一度の試合で何発の必殺技を叩き込めるかが勝利のカギを握る。
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必殺技の演出や効果はキャラクターごとに異なる。自分のプレイスタイルに合ったキャラクターを捜すのも楽しみのひとつだ。
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合体攻撃のコマンドは移動ボタンを右、左、左下、下、右下、右と押してからシュートボタンを押す。必殺技と違い、チームリーダーしか発動できない。

 敵のチームに勝利すると、くにおやみゆき、ケンジなど、相手チームのリーダーを自チームに加入させられる。勝てば勝つほどチームメンバーが強化されていく点は本作の醍醐味と言える。
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 ドッジボールというゲームのおもしろさに、必殺技やメンバー入れ換えといった要素をプラスし、独自の魅力を確立させた本作。最初はコマンド入力に苦戦するかもしれないが、慣れてくると必殺技を頻繁にくり出せるようになり、気持ちよさが一気に感じられるようになる。一戦一戦が短いのも大きな魅力で、勝ち負け問わず、何度もプレイしたくなるリピート性があった。
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 個人的には収録されているタイトルの中でいちばんおもしろかったと思っている。アークシステムワークスさん、『くにおの熱血闘球伝説』を収録してくれて本当にありがとう!

 ほかの収録タイトルも、時間を忘れてドップリ楽しめる名作揃いとなっているので、この機会に本作でテクノスジャパンやレトロゲームの魅力をたっぷり体感してみてはいかがだろうか。
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 またゲーム途中でのセーブ&ロードや操作マニュアル、クレジットの追加、画面サイズの変更、オンライン対戦など、快適かつ楽しく遊べる機能が目白押しとなっている。レトロゲーマーやテクノスジャパンファンはもちろん、レトロゲームをプレイしたことがない人にもぜひ触ってもらいたい一作だ。

 日本未発売の『くにおの熱血闘球伝説』を含めた、12種の名作タイトルを収録した『テクノス ザ・ワールド くにおくん&アーケードコレクション』は2025年4月24日に、Nintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)にてリリース予定だ。

商品情報

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  • 価格:4620円[税込]
  • CERO B

初回特典

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 収録タイトルの音楽が楽しめるCD『テクノス ザ・ワールド ミュージックコレクション』がパッケージ版早期購入特典として手に入る。ふだんの生活の中でもゲームの雰囲気を満喫できる。
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