武井壮が世間を賑わし始めた頃の俺はヒョロガリのもやしだった。
このままでは一生日の当たる事のない人生を送る事になると思い、
俺は日増しに進化を遂げる自らの圧倒的な肉体に酔いしれた。
破壊と再生を反芻する超回復のメカニズムはまさにその黄金比に達したかに見えた。
俺が真冬にもタンクトップ一枚で道行く人々の羨望を独占するようになったころ…
カオスの刻は突然やってきた。
瞬く間に旋毛、分け目へと飛び火し前線は為すすべもなく撤退した。
食事、運動、十分な休養…
当時ウィダートレーニングバイブルに心酔していた俺は大学の生理学でも優の評価を受けた。
ザバスから来た特別講師のお姉さんも俺の比類なき肉体と知識に唖然としたものだった。
歯車は確実に狂い始めていた。
それまでタンクトップの俺に注がれた人々の優しい微笑みはいつしか侮蔑のそれへと変わっていた。
一人、また一人、友人が離れていった。
ようやく雑用係として小さなサークルに籍をおくことが決まった。
真冬でもタンクトップで平気な俺に真夏の太陽は容赦なく照りつけた。
少し広くなったオデコは静かにその光を讃えていた。
幾つかツッコミたいんだけど 筋肉つけて、しかもカットも出るくらいまで追い込んでたんなら 冬なんて寒くて寒くてタンクトップなんてムリですよ。 当たり前ですよ、脂肪少ないんだ...
てか、筋トレのし過ぎで頭がハゲてきたなんていう面白キャラを自ら手放すような馬鹿なマネをサークルがするかよ。