スマホの普及を受けて、企業内の少人数チームや個人起業家同士などの業務効率化を目指して提供されるクラウドサービスが増えている。そうした話題のクラウドサービスは本当に仕事の効率化につながるのか? 使ってみて分かった便利な使い方を交えて、クラウドサービスの使いこなしノウハウを紹介する。

 スマートフォン(以下「スマホ」と略)の普及により、ちょっとした写真はスマホのカメラ機能で撮るようになった。一方、商品撮影や現場写真など、きちんと写真を撮りたいときや、旅行などで写真をたくさん撮りたいときは、デジタル一眼レフやコンパクトデジカメなどの「カメラ」を使う場合もある。こうした撮ったデジカメ写真は、たいてい、パソコンに転送して保存することだろう。

 スマホで撮った写真をスマホで管理するのは普通のことだが、スマホとデジカメなど複数端末で撮った写真をスマホで一括管理できればとても便利だ。

「Googleフォト」より快適な操作感

 これらの複数端末で撮った写真を管理するには、データをインターネット上のサーバーに保存するクラウドサービスが適している。一般的に写真管理に使われるサービスの代表が、Googleの提供する「Googleフォト」だ。スマホやパソコンで撮った写真をクラウドに自動同期。スマホアプリなどから写真の閲覧、共有が思いのまま、というフレコミだ。

 ところがこのGoogleフォトを使ってみると、サービスとアプリの動作が重めで、写真一覧画面のスクロールにもたつき、目的の写真をなかなか探せない。また、機能やメニューが豊富すぎて分かりづらい。アルバムへの整理などの簡単な作業でも、いくつもの画面を経なければならず使い方が複雑、などで閉口してしまった。

 そんなときに見つけたのが、今回紹介する「Scene」である。使ってみたところ、動きが軽く、アルバムへの整理などが一画面でできるなど、操作が分かりやすくなるように工夫されていて、多くの人にお勧めしたいと思った。

Sceneの公式ページ。「スマホではじめるカンタン写真整理」「みんなで作る思い出のカタチ」「スマホではじめるデジカメの写真整理」という3つのメリットが紹介されている。
Sceneの公式ページ。「スマホではじめるカンタン写真整理」「みんなで作る思い出のカタチ」「スマホではじめるデジカメの写真整理」という3つのメリットが紹介されている。

Scene

ホームページ:http://www.scn.jp/ja/

提供:Ripplex

価格:無料(有料プランあり)

サービス、アプリの入手先:
Android版
iOS版
パソコン用「Scene Connect」(デジカメ写真読み込みアプリ)

 Sceneの特徴は、スマホ内の写真とともに、パソコン内にあるデジカメ写真も管理できること。パソコン内の写真は、専用アプリをインストールしてデジカメ写真の入ったフォルダーを指定すれば取り込める。

 Googleフォトなどの写真アプリは一覧画面でサムネイルが並ぶだけ、というパターンが多いが、Sceneでは一覧画面にある写真の日付インデックス機能が有り難い。カレンダー表示された日付から写真を選べたり、一覧画面をスクロールする際にはスライダーに日付が表示されたりするので、日付を頼りに目的の写真へ速やかにたどり着ける。

 特定の写真をまとめてアルバムにする操作も簡単だ。一覧画面の左側にアルバムを表示し、一覧から写真を選択してアルバムにドラッグする操作だけで整理できる。

 仕事やプライベートの仲間と、作ったアルバムを共有することもできる。個々の写真にコメントを付けられ、仲間うちでディスカッションする際などに便利だ。

 さらに、アルバムの「印刷」ボタンから、フォトブック(有料)を注文することもできる。写真をプロ仕様の本にして配れるので、社員やクライアントへのプレゼントなどに活用できる。

Sceneのイチオシ・ポイント

・スマホに加え、デジカメで撮った写真も管理できる

・日付インデックス付きのサムネイル、日付が表示されるスライダー、カレンダーから日付を選べるなど、日付から目的の写真を探しやすい工夫がうれしい

・写真の整理は、左にアルバム、右に写真一覧、という一画面のインターフェースが分かりやい。アルバム作成、写真の選択、振り分けも素早くできる

・仲間と写真アルバムを共有できる。写真ごとにコメントを付けられる。

・見栄えの良いプロ仕様の「フォトブック」が注文できる

アプリの初期設定は手間いらず

 まずは、スマホとパソコンでアプリを使えるようにしよう。スマホアプリの使い方は、iOS版をメインに解説する。Appストア(AndroidではPlayストア)から、Sceneをダウンロード。起動したらアカウント登録を済ませると、写真がクラウドに保存されるようになる。

インストール直後のSceneの起動画面。アカウント登録は、「設定」→「新規アカウント登録」から行う。
インストール直後のSceneの起動画面。アカウント登録は、「設定」→「新規アカウント登録」から行う。
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 アプリの初回起動時に、スマホ内の写真がクラウドに転送され、以後は写真の撮影、編集のたびに自動で同期が行われる。写真の同期にかかる通信料が気になる場合は、「その他」→「Wi-Fi接続時のみ同期」をオンに設定するとよい。

Sceneの写真一覧画面。
Sceneの写真一覧画面。
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 パソコン用アプリ「Scene Connect」は、パソコンに慣れない人でもラクに行える工夫がうれしい。アプリをインストールして起動し、表示されたQRコードをSceneのQRコードリーダーで読み込むと、自動的に自分のアカウントにログインされる。続いて、同期したい写真が保存されたフォルダーを、アプリの画面にドラッグ&ドロップする。これだけの操作で、写真のクラウドへの転送が始まる。

<a href="http://www.scn.jp/ja/scene-connect.html" target="_blank">Scene Connectのページ</a>からパソコン用アプリをインストールしよう。写真はファイルサイズを最適化してアップロードされる。パソコンとの同期は3000枚まで。足りない場合は無制限に使える有料のプレミアム・プランを契約するとよい。
Scene Connectのページからパソコン用アプリをインストールしよう。写真はファイルサイズを最適化してアップロードされる。パソコンとの同期は3000枚まで。足りない場合は無制限に使える有料のプレミアム・プランを契約するとよい。
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 同期の経過がグラフで表示され、終わると「完了」と表示される。以後は、パソコン上のフォルダーに画像が追加されると、その分が自動で同期される。パソコンと初回の同期を終えると、スマホアプリにお知らせが表示されるので、それをタップして、表示するフォルダを選択する。これでパソコンの写真も一覧に現れる。

Scene Connectでパソコン内のデジカメ・フォルダーの同期中の画面。下に転送数が表示されるのが目安となる。
Scene Connectでパソコン内のデジカメ・フォルダーの同期中の画面。下に転送数が表示されるのが目安となる。
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 なお、複数のスマホやタブレットがある場合は、それぞれのカメラで撮った写真が端末内に保存されているが、それぞれの端末にSceneを入れて同一IDでログインすると、「それぞれの端末内の写真+パソコンの写真」の一括管理ができる。ただし、例えばタブレットで撮った写真すべてをスマホに同期させることはできず、スマホ/タブレット間はアルバムのみの同期となる。

スマホでの写真スクロールがとても軽快

 冒頭で紹介したように、Sceneは写真の一覧画面(「写真」)で、サムネイルに付いている日付インデックスから写真を探しやすい。通常のドラッグ操作によるスクロールでは、日付インデックスとサムネイルの絵柄が写真を探す頼りになる。

 さらに、ドラッグでスクロールする際には右上に「日付スライダー」が表示され、スライダーを上下に動かすことで、高速なスクロールが可能となる。日付の下には「4カ月前」などと表示されるので、筆者の場合は前の季節の記憶などを頼りに写真を探したりしている。

日付が出て見やすく、動きも素早い「日付スライダー」。「○カ月前」という表示も分かりやすい。
日付が出て見やすく、動きも素早い「日付スライダー」。「○カ月前」という表示も分かりやすい。
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 この日付スライダーの動作は非常に軽快だ。Googleフォトは似たインターフェースではあるものの、高速スクロール時にサムネイルがしばらく真っ白になるが、Sceneは大丈夫。日付やサムネイルを頼りに、スライダーを動かしたり止めたりしながら目的の写真を探そう。

 一覧画面で日付インデックスをタップすると、カレンダー画面に切り替わる。仕事の写真は、日報や予定表などで撮影した日付が分かる場合が多いので、カレンダー画面からスクロール要らずで探すほうが早いだろう。

カレンダー画面は写真のある日付のみにサムネイルがあるので、間違って写真のない日付を選ぶこともなく快適だ(写真はAndroidの画面)。
カレンダー画面は写真のある日付のみにサムネイルがあるので、間違って写真のない日付を選ぶこともなく快適だ(写真はAndroidの画面)。
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直感的な操作で写真アルバムを作成

 仕事で撮った写真をイベント、プロジェクト、展示会、商品別などでアルバムにまとめておくと、記憶をたどったり報告書などの書類をまとめたりする際に役立つ。そのアルバムを仲間と共有することで、写真の配布、共同利用、ディスカッションなど、あらゆる仕事のシーンで活用できるだろう。

 一覧画面を右にスワイプすると、左がアルバム、右に写真一覧が表示される「整理モード」に切り替わる。このように一画面で完結しているのが特徴だ。写真を選んでメニューや別画面からアルバムを選ぶ、ほかのアプリと違って格段に使いやすい。

整理モードは、一画面に表示されているうえ、直感的な操作で完結できるのが魅力。写真をアルバムに整理しても、写真一覧に変化はない。アルバムは、写真のグルーピングと考えれば捉えやすい。
整理モードは、一画面に表示されているうえ、直感的な操作で完結できるのが魅力。写真をアルバムに整理しても、写真一覧に変化はない。アルバムは、写真のグルーピングと考えれば捉えやすい。
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 アルバムは「+」をタップし、名前を入力して作成する。アルバムに加えたい写真を一覧画面で長押しして、写真が持ち上がったら、アルバムにドラッグする。複数の写真を加えたい場合は、タップ操作でチェックを付け、あとは同様にドラッグする。なお、日付のインデックスをタップすると、その日の写真をまるごと選択できて効率的。これもほかのアプリにない便利機能だ。

 作成したアルバムを閲覧するには、「アルバム」をタップ(Androidはメニューから「アルバム」を選択)して、見たいアルバムのサムネイルをタップする。

アルバムを開いたところ。アルバム内の写真には、コメントを付けられる。
アルバムを開いたところ。アルバム内の写真には、コメントを付けられる。
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アルバムのメニュー。「アルバムの設定」からは、アルバム名、カバー写真などが設定できる。「写真を送信」では、送信する写真を選択し、手段を選ぶ。
アルバムのメニュー。「アルバムの設定」からは、アルバム名、カバー写真などが設定できる。「写真を送信」では、送信する写真を選択し、手段を選ぶ。
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 さらに「印刷」からは、アルバムを印刷したフォトブック(16~48ページの簡易な写真集)を注文できる。見栄えがいいので、商品の簡易カタログとして利用したり、社員旅行の写真をフォトブックにして配ったりと、色々な活用が考えられる。

仕事、余暇の写真をみんなで共有

 こうして作成したアルバムは、仕事やプライベートの仲間と共有できる。方法は2つで、一つはURLを発行して広く公開する方法。もう一つは、Sceneのユーザー間に限定されるが、写真の追加や削除、新たな参加者の招待などが可能な共有だ。

・URLを発行しての共有

 URLを発行しての共有は、Sceneユーザーであるかどうかに関係なく、広く利用できる。現場、商品、宣材などの写真を共有したり、写真にコメントを付けてメンバーでディスカッションしたりできる。写真には閲覧するためのパスワードを設定できるので、セキュリティ面も安心だ。

 共有の設定も簡単。アルバムを開き、「アルバムを共有」→「ウェブで公開」を選び、「アルバムの共有」から手段を選んで、あとは画面の指示に従う。

「アルバムを共有」で手段を選ぶ。なお、URLは「アルバムの設定」の「アルバムURL」から参照できる。「アルバムURL」をオフにすると、公開を中止できる。
「アルバムを共有」で手段を選ぶ。なお、URLは「アルバムの設定」の「アルバムURL」から参照できる。「アルバムURL」をオフにすると、公開を中止できる。
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「メールで送信」を選ぶと、URLの記されたメールがメールアプリで開く。デフォルトで入力される内容はURLとパスワード。適宜メッセージを添えるとよい。
「メールで送信」を選ぶと、URLの記されたメールがメールアプリで開く。デフォルトで入力される内容はURLとパスワード。適宜メッセージを添えるとよい。
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・ユーザー同士の細かい権限設定が可能な共有

 Sceneユーザー同士での共有では、それぞれのメンバーが写真の追加、並べ替えもできるので、写真を持ち寄ってアルバムを作り上げることができる。イベント視察や情報収集などを、手分けして行ってきた場合などに有効だ。

 この共有機能を使うには、まず「フレンド」→「フレンドを追加」(Androidは「+」)、「フレンドIDの確認・入力」とタップ、入力欄に相手のIDを互いに入力して、フレンドになろう。

「フレンド」→「フレンドを追加」→「フレンドIDの確認・入力」で、互いのIDを入力してフレンド登録を行なう。
「フレンド」→「フレンドを追加」→「フレンドIDの確認・入力」で、互いのIDを入力してフレンド登録を行なう。
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「友達を招待」する方法もある「友達を招待」をタップして手段を選ぶと、SceneのURLと自分のフレンドIDが送られる。
「友達を招待」する方法もある「友達を招待」をタップして手段を選ぶと、SceneのURLと自分のフレンドIDが送られる。
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 アルバムを表示して「アルバムを共有」→「家族や友だちに共有」を選ぶ。「フレンドを選択」で共有するフレンドを選ぶ。

「家族や友達に公開」を選ぶ。
「家族や友達に公開」を選ぶ。
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 「アルバムの設定」→「参加者への許可」から写真の追加や削除、参加者の招待などの権限設定を行える。

「アルバムの設定」→「参加者への許可」で、参加者への権限を細かく設定できる。
「アルバムの設定」→「参加者への許可」で、参加者への権限を細かく設定できる。
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 Sceneは、スマホだけでなくデジカメで撮りためた写真もスマホアプリで一括管理できるのが特徴。アプリは、目的の写真や日付をすぐに探せて、分かりやすく工夫された操作体系でアルバムに整理できるのが、筆者が常々感じている大きなメリットだ。共有機能はコメントやパスワード、権限設定などが親切で、仲間うちでの写真の公開はもとより、写真をベースとしたディスカッションなどにも使える。仕事にプライベートに大いに活用しよう。

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