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(行政刷新会議HPより)
iPS細胞研究、がんの最先端治療、はやぶさ・・・みんなカットって!?
今年のノーベル化学賞を受賞した鈴木章北大名誉教授は「教育もサイエンスも、国は長い目で見てほしい」と要望した。数ヵ月先すら見えない民主党政権にとって、それは土台無理な注文だったのか。
「はやぶさ」より子ども手当?
「スクラップ&ビルドという言葉がありますが、民主党がやっているのはスクラップだけです。事業仕分けで科学技術関連予算をどんどん削って、浮かせたカネは子ども手当でバラ撒く。子ども手当の今年度予算2兆2500億円に対して、『はやぶさ』の製造費は127億円。
どちらが日本という国を元気づけ、子どもたちに希望を与えたか一目瞭然でしょう。仕分けを担当した蓮舫行政刷新担当大臣や枝野幸男幹事長代理は勉強もしていないし、民主党自体にも『これからの日本をこうしていく』というビジョンがない。非常に絶望的な思いです」
『メタルカラーの時代』など、科学技術分野で活躍するノンフィクション作家の山根一眞氏は、現在の民主党の「理系軽視」の姿勢をそう嘆いた。
昨年11月に行われた第1回事業仕分けで、蓮舫氏の「1番じゃなきゃダメなんですか。2位じゃダメなんですか」という発言が科学者たちの猛反発を受けたのを記憶している人は多いだろう。あれから1年、民主党政権への期待は完全にしぼみ、菅・仙谷両氏を筆頭に迷走を繰り返す姿には「自分たちこそ仕分けたらどうか」という溜息が出ようというもの。
だが、冗談を言っている場合ではない。民主党が政権にいるかぎり、日本の科学技術はどんどん世界から取り残されていく。今この瞬間にも、新技術開発とその特許を巡る国家間の競争が行われているのである。
本誌は今回、現場の第一線で活躍する科学者や医師の声を聞いたが、それを紹介する前に、現在の日本で科学技術分野がどんな扱いを受けているか、世界との比較を簡単に示しておく。
今年4月に文科省がまとめた「科学技術・学術政策について」という資料がある。この資料の「我が国の研究活動の現状 主要国等の科学技術関係予算の推移」という項目には、こんな警句が踊る。
「主要国に比べ、我が国の科学技術関係予算の伸びは低調であり、極めて憂慮すべき状況」
さらに、'00年度の科学技術関係予算を100とし、それぞれの国の伸び率を表したグラフも掲載されている。それによると、日本108('09年度)に対し、中国436('07年度)、韓国245('08年度)、EU15ヵ国211('07年度)、アメリカ163('08年度)。つまり、この10年近くの間に、中国が科学技術関連予算を4倍以上に増やしたにもかかわらず、日本は1割弱しか増えていない。