失踪の香港書店関係者、中国テレビで過去の犯罪「自白」

1月17日に中国中央テレビに登場した桂民海氏
画像説明, 1月17日に中国中央テレビ(CCTV)に登場した桂民海氏(51)。昨年10月、タイで行方不明になっていた。

香港で中国政府に批判的な本を扱う「銅鑼湾書店」の店長など関係者5人が昨年10月以降、相次ぎ失踪している事件で、関係者の一人が中国のテレビに登場し、12年前の飲酒死亡事故の罪を償うために中国当局に出頭したと「自白」した。

書店親会社「マイティ・カレント・メディア」オーナーで作家の桂民海氏(本名・桂敏海)は17日、中国中央電視台の番組に登場した。スウェーデン国籍の桂氏は、昨年10月に休暇でタイ旅行中に行方が分からなくなっていた。

中国の国営新華社通信は、桂氏が東部・寧波市で女子学生が死亡した飲酒運転事故で有罪となり、執行猶予付きの懲役2年判決を受けたものの、猶予期間中に逃亡したと伝えた。報道によると桂氏は中央電視台に対して、「法的責任をとる。いかなる処罰も受ける」と述べたと言う。

録画されたインタビューで桂氏は「自分はスウェーデン国籍を持つが、自分はまだ中国人だし自分のルーツはあくまでも中国だと感じる。なのでスウェーデン当局には私の個人的な選択や権利、プライバシーを尊重してもらいたいし、自分の問題は自分で解決させてもらいたい」と、スウェーデン政府の介入を拒否する発言をしている。

香港の人権活動家たちは、習近平国家主席の私生活について出版を予定していた本が理由で、中国まで拉致されたのではないかとみている。

書店関係者5人の失踪について香港では、中国共産党に批判的な本を出版・販売していたからだという見方が強まり、10日の抗議集会には数千人が参加した。

「一国二制度」の原則のもとで、香港は中国政府からの自治権を認められることになっている。

香港の急進民主派政党・人民力量(ピープルパワー)に所属するアルバート・チャン氏はBBCに対して、書店関係者の失踪について「香港の法律がこれほどはっきりと(中国に)侵害されたのは初めてだ」と述べた。

書店関係者5人の失踪に抗議する集会が香港で相次いでいる

画像提供, AFP

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失踪した香港の書店関係者

(51)。タイ滞在中の2015年10月に失踪。中国生まれのスウェーデン国籍。「マイティ・カレント・メディア」オーナー。

呂波。2015年10月に香港北郊の中国本土側で所在確認後、行方不明に。「マイティ・カレント・メディア」ゼネラル・マネージャー。

張志平(32)。2015年10月に中国本土側で所在確認後、行方不明に。「マイティ・カレント・メディア」ビジネス・マネージャー。

林栄基(60)。2015年10月に香港で所在確認後、行方不明に。「銅鑼湾書店」店長。

李波(65)。「ポール・リー」としても知られる。2015年12月に香港で失踪。「銅鑼湾書店」株主で英国籍。警察に捜索願を出していた妻は今年初め、中国本土から連絡があったとして捜索願を撤回。