海氷面積が過去最小に 北極と南極の両方で減少

ペンギンの親子の写真。成鳥の脚の間にひながいる

画像提供, Getty Images

マーク・ポインティング(BBC気候変動チーム)、アーウィン・リヴォールト(BBCヴェリファイ<検証>データ・ジャーナリズム・チーム)

地球を冷やす役割を担っている凍った海の氷が、観測史上、最も少なくなっていることが、最新の人工衛星データによって明らかになった。

北極と南極周辺の海氷は、太陽のエネルギーの大半を宇宙に反射する巨大な鏡のように機能している。

しかし気温の上昇により、この明るい層が小さくなると、その下の暗い海がより多くの熱を吸収し、地球をさらに温めることになる。

今回の海氷の減少は、暖かい空気、暖かい海、そして風が氷を砕くことが組み合わさって引き起こされたようだ。

BBCが米国立雪氷データセンター(NSIDC)のデータを分析したところ、今年2月9~13日の5日間における、北極と南極の海氷の合計面積は1576万平方キロメートルと、2023年1~2月の5日間での最低記録(1593万平方キロメートル)を下回った。

北極と南極の海氷の合計面積の推移を示した線グラフ。2023年から劇的に減っている

北極の海氷は現在、観測史上、年間で最も小さくなっている。南極の海氷も、1970年代後半に始まった人工衛星を使った計測で、最小記録の更新に近づいている。

地球温暖化に伴う北極の海氷の減少はよく知られている。夏の終わりの海氷範囲は、1980年代の平均700万平方キロメートルから、2010年代には450万平方キロメートルに減少した。

一方、南極の海氷は予測に反し、2010年代半ばまでは驚くほど耐えていた。

しかしそれ以降、南極の海氷も非常に低い水準を示している。ただ、依然として多くの自然変動が存在する。

NSIDCのウォルター・マイヤー上級研究員はBBCニュースに対し、「毎年得られるデータ一つ一つが、これが一時的な変化ではなく、北極で見られたような、より永続的なものだと示唆している」と述べた。

「これは、南極の海氷がより小さくなる時期に移行したことを示している」

南極の海氷は比較的薄く、移動しやすい。北極のように大陸に囲まれているわけではなく、海に囲まれているため、風による破壊も多く発生する。

しかし2025年の低水準は、南半球の夏の終わりに向けての、暖かい空気と暖かい海水が重要な役割を果たしたようだ。

特にこの夏は、南極の棚氷(海氷ではなく南極大陸から流れ出る氷)の高温による表面融解が極端だったようだ。

英南極観測局のトム・ブレイスガードル研究員は、「12月と1月の大気条件は、棚氷の表面融解を強く促進しているように見えた」と述べた。

「それが南極の海氷に見られる現象にも寄与している可能性がある。また、継続する海洋の温暖化が、これらすべての背景にある」

南極では2023年にも海氷が記録的な小ささとなったが、最近の研究では、これは気候変動がなければ2000年に一度の出来事だったことが示されている。しかし、2025年はそれを上回る可能性が十分ある。

北極と南極の日ごとの海氷面積の推移を示した線グラフ。2025年2月13日のデータでは、両方で海氷面積が過去最低水準となっている

地球の反対側では、北極が年間最大の氷の範囲に達する時期であり、寒い冬の気温が海を凍らせるのを助けている。

しかし、現在の海氷の範囲は、年間でこれまでに記録されたどの時期よりも約20万平方キロメートル少なく、2024年後半から非常に低い水準を維持している。

これは、ハドソン湾周辺の氷の凍結が遅れ、異常に暖かい海水が冷えるのに時間がかかったことが一因だ。

暖かい海に加えて、いくつかの嵐がバレンツ海やベーリング海周辺の氷を乱し、長期的に海氷の厚さが小さくなり、その影響が増幅された可能性がある。

英ユニバーシティ・コレッジ・ロンドン(UCL)のジュリアンヌ・ストローヴ教授(極地観測・モデリング)は、「氷が薄くなると天候に対して敏感に反応するようになり、以前よりも気象現象の影響が強くなる」と説明した。

ここ数週間、北極の海氷はさらに平均を下回っている。2月初めには北極周辺の気温が通常より約20度高く、ノルウェーのスヴァールバル諸島周辺などで氷の融解が進んだ。

英南極観測局のブレイスガードル博士によると、これは「この時期としては非常に驚くべきこと」だという。

2025年2月12日の南極と北極における海氷の凝縮度を示した地図。1981~2010年の2月12日の海氷範囲の中央値と比べて小さくなっている

冬の海氷範囲が非常に小さいからといって、必ずしも2025年を通じて北極が記録的な状態になるわけではない。極地の状況は急速に変化する可能性があるからだ。

しかし、北極は地球全体の平均の約4倍の速さで温暖化しており、今後数十年にわたる減少はほぼ避けられない。

国連の気候変動に関する政府間パネルによると、北極は2050年までに少なくとも一度は、夏の終わりに海氷がほぼなくなると予測されている。最近の研究は、それがもっと早く起こる可能性があることを示唆している。

両極の海氷の減少は、ホッキョクグマやペンギンなどの野生生物だけでなく、地球の気候にも影響を及ぼす。

昨年発表された研究によると、1980年代初頭から中頃にかけて、明るく反射性のある氷の面積が減少したため、極地の海氷はその自然な冷却効果の約14%を失っている。

英国立海洋学センターのサイモン・ジョージー教授は、「南極周辺の海氷分布が大きく変わると、気候変動との闘いに一役買っている地球の一部分が変わる」と述べた。

海氷は、地球全体の熱を分配し、イギリスや北西ヨーロッパなどを比較的温暖に保っている海洋大循環においても、重要な役割を果たしている。

ジョージー教授は、「南極の海氷が再び大きく減少するようなことがあれば、それが海洋大循環に与える影響について人々は心配し始めるだろう」と述べた。

追加取材:ベッキー・デイル