南ア大統領が英連邦サミットを切り上げ 暴動受け

South Africa's President Cyril Ramaphosa arrives at the Commonwealth Business Forum Banquet at the Guildhall in London, 17 April 2018

画像提供, Reuters

画像説明, シリル・ラマポーザ大統領

南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は19日、北西州マフィケングで発生した暴動に対応するため、英ロンドンで開催されている英連邦首脳会議を切り上げて緊急帰国した。

抗議行動は18日に発生。抗議者たちは雇用や住宅事情の改善、汚職撲滅を求め、店舗での強奪や道路の封鎖、車両への放火などを行った。また、与党・アフリカ民族会議(ANC)所属のスプラ・マフマペロ州知事の更迭を求めている。

ラマポーザ氏は今年2月に大統領に就任したばかり。今回の訪英では、南アへの投資促進を模索しようとしていた。

同大統領は声明で「大統領は北西州での状況に注目するため、政府代表団を率いて参加しているロンドンでの英連邦首脳会議への参加を切り上げると決めた」と説明。20日にも、マフィケングでANCのトップらと会談を開く予定だ。

また、市民には沈静化を求めると共に、警察には行動を控えるよう命じた。

南アでは行政に対する不満から「サービス・デリバリー・プロテスト」と呼ばれるデモや暴動が頻繁に起きており、マフィケングは現在その中心地となっている。

19日には、略奪や警察との衝突の影響で、街が荒廃していると報じられた。

地元メディアは、バスへの放火や車両への投石に加え、火をつけたタイヤで道路封鎖しようとした抗議者に対し、警察が催涙ガスを使用したと報じている。

南アのニュースサイト、タイムズライブは警察のアデル・マイバーグ報道官の話として、18日の暴動発生から9人が逮捕されたと伝えた。

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画像説明, マフィケングは南アの首都プレトリアの西方に位置する

マフマペロ州知事の事務所は暴動に対し、マフマペロ氏をおとしめようとする動きだと非難した。

州政府の広報官は、「(今回の抗議活動は)反スプラ・マフマペロ氏の政治キャンペーンで、マフィケング住民を脅迫しようとしている」とコメントしている。

隣国のボツワナ政府は、北西州と接している国境の検問所を閉鎖したと発表した。

南アでは、ズマ前大統領時代の長年にわたる汚職体質の結果、経済成長は弱く、失業率も非常に高かった。ラマポーザ大統領にとっては、経済が最優先事項となっている。

先にブルームバーグが行った取材でラマポーザ氏は、経済復興に弾みをつけるために1000億ドル(10兆8000億円)規模の投資が必要だと述べた。また、現政権は強い意思で汚職撲滅に当たるとしている。