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2005年04月29日

Firefoxをさらに軽快に FireTune、Preloader、Google

軽快なWebブラウザーFirefoxをさらに軽快にするツールを発見。

・FireTune
http://www.totalidea.com/freestuff4.htm
firetune2_01.gif

FireTunesはFirefoxの内部設定を自動的に最適化するソフト。使い方は簡単で、CPUが1.5Gヘルツ以上の人はFastComputer、それ以下の人はSlow Computerを選ぶ。回線がADSL以上の人はFast Cnnection、それ以下の人はSlow Connectionを選ぶ。そしてTune it!ボタンを押せば、最適化が行われる。

・Firefox Preloader
https://sourceforge.net/projects/ffpreloader/

Firefox PreloaderはFirefoxを常駐させることで高速起動を実現するソフト。Firefoxも初回の起動には時間がかかるが、このソフトを使えば2つ目のウィンドウを起動する速度で、タスクトレイから呼び出せるようになる。

二つの組み合わせで私の環境ではかなり高速化された気がする。さらにGoogleはFirefoxで使うとさらに速くなるという情報も発見。

・米Google,検索結果へのアクセスを高速化する「Firefox」「Mozilla」専用機能を実装 : IT Pro US News Flash
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20050401/158296/

Firefox/Mozillaユーザーが同社のサイトで検索を行うと,検索エンジンはFirefox/Mozillaに対して“検索結果のトップにあるWebページをキャッシュに先読みする”よう命令する。その結果,ユーザーは1番目のWebページを素早く表示できるという。

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2005年04月28日

あらゆる手段で携帯を充電可能な最強電説ゼウス

先日の渡米の往路で成田に到着したとき、

「あ、しまった、携帯の充電器を家に忘れた!」

現地でも、携帯電話をカメラとして使いたかったのだ。帰国時に電源が切れているのもまずい。

慌てて空港のショッピングエリアの電器屋をのぞく。

うってつけのものがあったので即購入。

それが

・最強電説ゼウス
http://www.century.co.jp/products_dg/zeus.html
zeus_photo01.jpg

1 幅広い機種対応

PDC機種のみならず、付属アダプターの装着によりau機種・FOMA機種・W-CDMA機種の全ての携帯電話で利用可能!

2 4種類の電源に対応
国産の12V/24V乗用車・トラックのシガーソケットからの充電のみならず、家庭用AC100Vコンセント,アルカリ9V角形電池,パソコンUSBなど、4種類の電源が使える!

3 フェイルセーフ機構
「リセットヒューズ」(自己復帰型)を搭載。もしもの時にも携帯電話本体にはダメージを与えすに、安心・安全にご使用いただけます。

という特徴がある。

特にパソコンUSB端子で充電できるのは、ホテルのコンセントの数を考えると、ありがたかった。パソコンにつなげておけば最終日に充電器を片付け忘れることもない。ヒューズがついているのも、電圧のよくわからない状況下では安心だ。旅行で重宝し、今ではカバンに持ち歩いて、会社や出先で利用している。

今のところ私の行き先ではこれで間に合うのだが、太陽充電というのも空港で見かけて気になっている。これがあれば、プールサイドや浜辺、芝生の上でも携帯が充電できそうだ。

・太陽充電 RINA(ブルー)
B0006B093Q.09.LZZZZZZZ.jpg

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2005年04月27日

デジハリ大学「リサーチ&プランニング」 第一回講義録

今春新設認可されたばかりの、デジタルハリウッド大学で私の講義「リサーチ&プランニング」が今週から開始、教員生活がスタート。このブログでも毎週、講義内容を一部公開していこうと考えています。

冒頭から機材トラブルに見舞われ、その煽りで、終了時間を間違えそうになったり、初回から波乱含みでしたが、終了後のアンケートを読むと、好評。前半、プロジェクターが使えなかったことで、アドリブ感が高くなったのが怪我の功名か。親しみやすい先生と書いてくれた人が多くて、初回の狙いのお互いのウォーミングアップを達成できたので一安心。機材問題は次回以降は改善されるでしょう。受講生の皆さん、これから毎週水曜6限はよろしく。

科目名は「リサーチ&プランニング」。大学に登録した講義内容は以下のとおり。


現代はインターネットとPCの普及により膨大な情報に誰でも自由にアクセスできるようになった。だが、ネットワークから自在にデータ、情報、知識、知恵を引き出す情報処理能力を持つ人材はまだ少ない。本講義では、デジタルデータとネットワークを活用し、リサーチ及びプランニングプロセスの知的生産性と創造性を高める方法論を講義する。個人、組織の情報処理プロセスに関する大学や研究機関の理論、企業ケースを参考にしながら、実際にビジネスの現場で実用的な情報収集、整理、活用の体系化されたメソッド、ツールの利用ノウハウを教える。主題となるテーマは、オンラインマーケティング、ナレッジマネジメント、知識インタラクション、検索技術など。

なんとも硬いが、要約すると「インターネットを使いこなす情報通、事情通」養成講座。そのための理論、ツール、ノウハウが内容です。リサーチやコンサルティング、起業の実務を通して、蓄積してきたノウハウを、体系的に講義しようと考えました。

第一回の内容は科目名と同じ「リサーチ&プランニング」。


「デジタルとネットワークを使ったリサーチ&プランニングの考え方を俯瞰する。知識とは何かの研究理論の紹介。情報処理のフローを大きく4つのプロセスにわけ(情報収集、情報整理、情報分析、情報発信)効果的に”使える”を作り出すアプローチを説明する。」」

アツメル、ナラベル、ヒキダス、カキダスです。

今後の講義内容の予告と「情報とは」ワーキンググループ、その総括。後半では「情報とは〜である」の〜を40字で埋めよという問題を、個人とグループで発想してもらいました。想像以上に考えられた答えが発表されて驚きでした。「想定の範囲外」。この問題に正解はありませんが、このセッションは最終回近くでもう一度行い、答えの変化を比較してみたいと思います。最後に古今東西の情報の研究者の意見を解説しました。

「情報とは」はこのブログのテーマでもあります。受講生の方は過去の書評記事も参考にしてください。書評一覧は次のページがみやすいです。

・このサイトの過去記事一覧
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives.html

今日取り上げた書籍の評は以下。この講義では敢えて教科書を指定しませんでした。その代わり、毎回、関連する名著を紹介するので、各自で気になる本を購入して読んでください。

・ユーザーイリュージョン―意識という幻想
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001933.html

・それは「情報」ではない
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000510.html

今日、使ったプレゼン資料を公開します。




この資料はパワーポイントを「いきなりPDF FlashPaperでFlashに変換しています。PDF版はこちら

さて、第一回は予告編でした。トラブルのおかげで、いきなり打ち解けたムードになって、私も調子がでてきました。次回から本番です。GW明けにまた会いましょう。

Mixiにも講義コミュニティができます。まだ入会していない人は、知り合いをたどるか、私にメールで入会依頼を要請してください。

なお、私はこの講義録15回分をまとめ、書き足して、出版したいと考えています。ご興味をもってくださる出版社の方、いらっしゃったらご連絡ください。よろしくお願いします。

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2005年04月26日

メディア裏支配―語られざる巨大マスコミの暗闘史

・メディア裏支配―語られざる巨大マスコミの暗闘史
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著者は元TBS記者で政治や番組「報道特集」を担当した後、独立。国会をありのままに中継する専門チャンネル国会TVの創業し、苦戦を強いられながらも、インターネット放送を続ける。

・国会TV
http://kokkai.jctv.ne.jp/
国会TVは2001年12月に放送電波を停止され、現在はWebで有料配信中。

この本では記者時代の生々しい経験をベースに政治とメディアの抜き差しならぬ癒着関係が語られる。田中角栄、中曽根、金丸、竹下と歴代総理のメディア裏支配から、郵政族のドン野中広務の暗躍から引退、そして小泉政権の巧妙なメディア戦略や最近のNHK問題まで。

■1千万人が見ないと打ち切りに、視聴率の弊害

おおざっぱに計算すると地上派テレビの視聴率1%とは100万人の意味だが、視聴率1%の番組というのは現在のCMベースのモデルでは継続することはできない。合格点をもらうには、およそ10%程度は必要になる。

著者はこういう。


考えてみれば、百万人が見た番組を「低視聴率」という理由で切り捨ててしまう世界とは一体何なのであろうか。書物もCDも映画も百万人に支持されれば大ヒットである。もちろんわざわざ出かけていって金を払って手に入れるものと、家にいてチャンネルを回すだけで見ることのできるテレビとでは、数のスケールに違いが出てくるのは当然である。しかしそれでも一千万人が見ないと評価されない世界というのが果たして正常な世界なのだろうか。

10%の視聴率を求めれば、自然と番組内容は娯楽的、ゴシップ的なものになる。バラエティ番組や、過度に単純化した内容を伝える短絡的ニュース番組などが高視聴率をあげて幅を利かせる。それ以外の、1%向けの番組は、いくら高品質でも経済的に淘汰されてしまう。

■揃って間違えるマスメディア

複雑怪奇な記者クラブ制度がこの国の報道の元凶のひとつとして批判されている。

特ダネを一社だけが落とすことを特オチといって、放送局、新聞社にとっては最悪の避けねばならない事態ということになっているらしい。一方で各局揃って誤報を流すことは、問題視されない。著者は一社が特ダネを落とすより、全局が誤報を流すことのほうが遥かに視聴者にとって悪影響を及ぼす大問題ではないかと、問題提起する。

馴れ合いは記者同士だけでなく、著者が所属していた政治部では根が深い。記者は情報を得るためには、政治家や官僚に取り入って子飼いになることが求められている。この本ではそうした癒着の現場が政治家やメディアの実名で、生々しく紹介されている。政治家の思うように操られる記者、逆にマスコミ上層部の思惑に操られる政治家。

メディアは現代政治の基本であり、政治報道は政治そのものと化している。中立で公平で、不偏不党の報道などどこにもないことが良くわかる。いや、そもそもその中立公平な報道という理想が誤っていることもはっきりしてきた。

■成立しなかった日本の多彩な多チャンネルモデル

日本にはいまだに放送法に不偏不党の原則がある。米国では1980年代に連邦法で、マスメディアに「公平の原則(フェアネスドクトリン)」を課すことは憲法に違反しているという判決が出ている。特に民放の役割は、画一的な見方を広めることではなく、多彩な見方を提示することにあるのだから、公平中立な画一報道の仕組みは、一見、正しそうで間違っているのだ。

結局、記者は神様でもない。どんなにがんばっても、すべての報道が誰かの意見、偏った見方に過ぎない。むしろ、偏った見方がいっぱいあって、視聴者は比べながら判断するというのが、これからのメディアと視聴者のあるべき姿なのだろう。インターネットではそうした関係は一部で成立し始めている。

こうした多彩な内容を成立させるのが、多チャンネルのモデルである。米国の多チャンネルが成功したのは、視聴者全員が有料で加入する数十の基本チャンネルセット「ベーシックサービス」の存在が大きいと、著者は述べている。ベーシックパックに含まれた多彩なチャンネルは、視聴者の払う料金を分配して利益とできる。だから小資本でも、1%の層にとって質の高い番組を作れれば、運営を続けられる。

日本の多チャンネル(CSなど)では、オプションで申し込む「ベーシックパック」はあったが、米国流ベーシックサービスは存在しなかった。だから、小資本のニッチなチャンネルは有料読者獲得が不可能で、9割が赤字という状況になってしまった。残ったのは既存のマスメディアや大企業の資本が入った系列会社ばかり。これでは多チャンネルの意味がない。地上波の2軍に成り下がっている。

■高画質よりも多彩な情報を提供するテレビが求められている

先日、参加した放送業界最大のカンファレンスNAB2005で、おそらく最も使われたキーワードはHDだった。HighDifinitionの略で、新しい高画質規格を意味する。この傾向は日本も変わらない。だが、日本の場合、多彩な多チャンネルがないので、結局は現在の地上波系の番組が高画質になるだけだ。メディアと視聴者の関係を何も変えないように思える。
著者は、国民に利益をもたらすのは高画質のテレビより、多彩な情報を提供する多チャンネルだと結論している。CNN、アルジャジーラのような独立系のメディアが、日本でも生まれてくるようになれば、やがては政治も変わってくる。この本のテーマであるメディアの裏支配も難しくなるだろう。

多彩な多チャンネルの実現にはおそらくインターネットが深く関わってくるはずだ。ライブドアを超えて次にメディアでなにが起きるか、何をすべきかを考えるのに良い本。

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2005年04月25日

知の編集術

・知の編集術
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編集工学の大家、松岡正剛著。

入門書の体裁をとる割に懇切丁寧な説明は少ない。だが編集とは何かについて考えたことのある人なら、深めるヒント、素材に満ち溢れている本だと思う。

■遊び、編集

編集について冒頭でこんな定義をしている。

編集は遊びから生まれる
編集は対話から生まれる
編集は不足から生まれる。

と生まれる場所をまず並べ、その特徴として

(1)編集は「文化」と「文脈」をたいせつにする
(2)編集はつねに「情報の様子」に目をつける
(3)編集は日々の会話のように「相互共振」をする

を挙げる。

編集とは照合であり、連想であり、冒険である。

という。

この本のいう編集とは編集者の仕事だけではなく、旅行の計画を立てることや、デザインをすることや、対話をすること、あるいは生きることそのものを含めた大きな意味での編集行為である。

短い言葉だが深さを感じる要約だ。

著者によれば、生まれる場所として最初に出てきた「遊び」こそ編集の本質である。遊びには「自己編集性」と「相互編集性」があるからだ。非常に興味深いカイヨワの4分類が紹介されている。世界中の遊びの要素を4つに分類したもの。

・カイヨワの遊びの4分類

(1)アゴーン  競争
(2)アレア   運と戯れる
(3)ミミクリー ごっこ遊び
(4)イリンクス 眩暈、痙攣、トランス状態

こうしたやり方で、自分や他社と戯れることに編集の基本があるのだと説明されている。
■編集の極意のリスト

この本の面白さは箇条書きになっているこうしたリストにあると思う。

たとえば、情報を要約編集するモードには以下の6つがある。

エディティングモード

重点化モード ダイジェスト
輪郭化モード アウトライン
図解化モード 2,3枚の図
構造化モード 考え方の関係
脚本化モード 別のメディアに変換
報道化モード ニュースとして伝える

「らしさ」を伝える略図的原型には

ステレオタイプ(典型性)
プロトタイプ(類型性)
アーキタイプ(原型性)

の3タイプがある。(これも深い)

プレゼンのスタイルには、

言明型のプレゼンテーション・スタイル
暗示型のプレゼンテーション・スタイル

という2種類があるし、

ジョージ・ルーカスの定番プロットは結局、

原郷からの旅立ち
困難との遭遇
目的の察知
彼方での闘争
彼方からの帰還

なのだと看過する。

圧巻は、「編集8段錦」、「12の編集用法」に続く「64の編集技法の作法」。この64項目に及ぶ編集技法はおよそ情報に対して人間が行える操作のすべてを網羅していると思った。ちょっと感動して長時間眺めていた。こうしたリストもつまりは遊びなのかもしれないが、何かを生み出すための知識として貴重だと思う。

この本はあまりに多い情報量を新書の紙幅で提示したため、編集の神様の仕事とはいえ、理解しやすい教科書としては完璧とは言いがたい気はする。だが、懇切丁寧に教わるより、ヒント、素材を受け取って、あとは自分で考える方が実りが多いということ、なのかもしれない。

そうか、これは問題集なのだと途中で気がついた。課題提示も多い。

各章で気づきがあり、結局30枚以上のポストイットでマーキングだらけにしてしまった。編集や企画で悩んだことのある人ならば、ピンとくる内容が散りばめられていると思う。
緻密で大きな編集工学の体系をそのまま受け取るのではなく、自分なりに編集して学ぶことができるように著者が深い配慮で編集した、なんていうのは、ちょっと傾倒、深読みしすぎであろうか(笑)。

・ 書評「千夜千冊」、新書マップ、Amazon Search
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001824.html

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2005年04月24日

続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法

・続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法
zokuchoseiriho.jpg

この本の続編。

・「超」整理法―情報検索と発想の新システム
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003283.html

■スケジュール一覧と文書連絡

超整理法的タイムマネジメントとは、以下の2つのノウハウに要約できる。

1 スケジュール表を一覧性のあるものとし、数週間から数ヶ月にわたる時間を目で把握すること

2 連絡を文書で行うこと

人間は7つくらいの要素しか記憶できないので1週間以上のスケジュールはスケジュール表やメモのような外部記憶を使った工夫が必要だという。そこで編み出されたノウハウから作られたのが超整理法手帳である。逆に分刻みで動く大統領でもない限りは時間区切りの1日のスケジュール表は不要とも言う。

1では、長期の時間管理ツールとして超整理手帳、中期の管理ツールとして「To-Doボード」、短期の管理ツールとして「すぐやるメモ」が紹介されている。超整理法の一冊目で紹介された「押し出しファイリング」と同様、どれも机の上ではなく、時間軸を整理することで、仕事の効率を高めようとするノウハウである。

2では「文書を作るには時間がかかるから、時間節約のために口頭で連絡する」というのはウソで、「時間がないから文書で連絡する」が正しいのだというノウハウ。FAXのススメが主な内容だった。ただし、この本が書かれたのは10年前であるので、今なら電子メールということになるかもしれない。

■仕事の進め方5原則と限界効用均等化の定理

スケジューリングの技術として次の5原則が示されていた。

1 中断しない時間を確保する
2 現場主義と応急措置(その場ですぐやる)
3 拙速を旨とせよ
4 ときには寝かす
5 不確実なことを先にやる

とにかく仕事が発生したら現場で手をつけよ、そして8割を完成させたら、他の仕事に回れ。

これはたくさんの異なる仕事を同時進行で進めるタイプの忙しい人向けのノウハウとして、まさにそのとおりだと思った。8割終わっていれば、完成は容易だし、状況報告しやすい。仕上げを他人に頼むこともできる。

そして、最も参考になったのが、限界効用均等化の定理。「一般に、いくつかの対象の限界効用が等しくない場合には、限界効用の高い対象に資源を振り替えることによって、全体の効用を高めることができる」という経済学的な考え方。

例えばAとBという2つのゲラ刷りをチェックする場合、ゲラAだけを2時間読むと120字の誤字を発見できるとする。誤字の分布が同じなら、ゲラAを1時間、ゲラBを1時間読めば総計で200字を発見できる。ゲラチェックというのが、そういう性質の仕事だからである。

ゲラAだけを2時間読むと、Aは完璧かもしれないがBは手がつけられない。大抵はAもBも8割できている状況の方が好ましい。

■拡散と収束のタイムマネジメント

タイムマネジメントで個人的に考えたこと。

私は以前、あるシンクタンクの依頼で、半年に一回、50社の有望な海外IT先端技術企業を見つけては各企業のプロフィールと特徴について、レポートを提出する仕事をしていた。この仕事は数年間に及んだ。毎回、提出時期が近づくと有望企業のリスト作成と個別の分析記事を書くことになる。

この仕事で学んだのは、

「拡散系の思考と収束系の思考を交互に繰り返すと効率が悪い」

という法則。

この仕事をするには、以下の2種類の作業が必要だった。

(1) 拡散の作業

まず50社を絞り込む作業は拡散思考から始まる。ある企業に注目したら、競合や類似した事業内容の企業を探す。最初に見つかった企業が必ずしも最有力ではないことが多いからだ。似た内容の企業が10社〜20社程度集まるまで候補リストアップを続ける。まったく同じ内容の企業はないので、ある程度テーマを広げて探索することになる。これを50社分、行う。

(2) 収束の作業

そして、その中で最も有望な企業を50社の最終候補に絞り込み、各企業の分析記事を書く。今度は収束系の思考である。この段階で新たな情報を広げて探索してしまうと、作業が終わらなくなることが多い。

この仕事を引き受けた頃は、私は50社のレポートを書くのに、(1)と(2)を50回繰り返していた。これには大変な時間と労力がかかっていた。拡散と収束が混在してしまって、個別記事を書いているうちに、新しい情報が出てきてしまい、まとめがつかなくなるのだ。拡散思考の直後に収束思考モードに移れないので頭が混乱する。

2年目くらいからは要領が分かってきた。まず1週間はひたすら(1)に集中し、500社から1000社を最初にすべてリストアップしてしまう。拡散に集中することで、情報はどんどん見つかる。そして少し休んで(2)のフェイズに入る。今度は、もう新しい情報は探さない。十分な時間を使った(1)でレーダーに引っかからなかった情報は大して重要ではないと割り切って、手持ちの情報だけで50社に絞り込んで個別分析を書く。

この作業手順の変更だけで、初回は1社に1日かけて全部で50日以上かかっていた作業時間が10日程度に短縮された。精神的にも作業が楽になり、革命的な変化だった。広げて探すときは徹底的に広げる、絞るときは絞るに専念することで、精度も高まっていたと思う。
一見、一社一社、関連情報を調べてはレポートを書いていった方が丁寧に思えるが、実際はそうではなかった。

この本の仕事の進め方5原則に当てはめると、

1 中断しない時間を確保する
4 ときには寝かす
5 不確実なことを先にやる

という部分が新しいやり方で改善されたのだと思う。

情報を広げて探すというのは、いつ有力なネタが見つかるか分からないし、終わりも見えない不確実なことだった。だから先にまとめたのが正解。その後、分析を書くまで結果的に寝かせたことで考察を深められたし、各作業を中断せずに行うことで能率が上がったのだと思っている。

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2005年04月23日

CD・DVDドライブの性能評価 Nero CD-DVD Speed2000

CD・DVDドライブの性能を評価するベンチマーキングソフト。

・Nero CD-DVD Speed2000
http://www.cdspeed2000.com
MATSHITADVD-RAM_UJ-812_K101_22-April-2005_18_17.png

ハードウェアの4倍速や8倍速という性能表示が実際にどの程度発揮されているかを確認することができる。すべてテストの項目を実行すると、シーク速度や転送速度、n倍速時のCPU稼働率など多数の項目を順にチェックしてくれる。メニューは日本語化されているのでわかりやすい。

ディスクは内側から外側へデータを書き込んでいく。回転の関係で読み取りは内側の方が高速で、外側にいけば行くほど遅くなるわけだが、それが実際の数値で確認できたのが面白い。CD,DVDを挿入してから認識するまでのロード時間や、取り出しを行う際のイジェクト時間なども計測できる。

計測結果のセットはキャプチャ画像やHTML、CSVとして保存することが可能。企業のコンピュータの管理者がこれを使うシーンがあるかどうかは不明だが、自作マシンの部品のバランス評価には参考になるソフトウェアかもしれない。

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2005年04月22日

機内上映の映画ベスト5

今月は随分飛行機に乗ったので機内上映の映画をよく観た。面白かった順でレビュー。

・ウォルター少年と、夏の休日
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名子役ハーレイ・ジョエル・オスメントと、マイケル・ケイン、ロバート・デュバルという老名優が共演したハートウォーミングなドラマ。父のいない14歳のウォルターがひと夏の間、母の親類である老兄弟の家に預けられる。どうやら母は、兄弟が隠し持つ大金を狙っているらしい。傍若無人な兄弟の生活に戸惑っていたウォルターだが、彼らの過去の冒険談を聞き、大人へと成長していく。

機内の機器トラブルで上映予定変更で、予備として用意されていた作品だったが、大当たり。感動してしまった。何を信じたら良いかわからない人生だからこそ、何かを信じることに特別な価値があるというメッセージ。

・映画『レイクサイドマーダーケース』
http://www.lakeside-mc.com/index.html

「お受験合宿の夜、お父さんの愛人が殺されました。」。容疑者は妻(薬師丸ひろこ)。原作はベストセラー作家・東野圭吾が2002年に書き下ろしたミステリー小説「レイクサイド」。個性派俳優揃いで原作の面白さが万全に活きた。演劇的。

・THE AVIATOR - アビエイター
http://www.aviator-movie.jp/

映画界と航空業界で成功を収めた大富豪ハワードヒューズの生涯を描いた話題の作品。ラスベガスはヒューズが人生の最後を過ごした場所で、通りの名前にもなっている。重厚で華やかな映像とその陰で少しずつ壊れていくヒューズの精神状態。タイタニックが好きなら、これもおすすめ。

・「Ray/レイ」
http://www.ray-movie.jp/index.php

盲目のR&Bシンガー、レイ・チャールズの生涯を描いた大作。名曲「ジョージア・オン・マイマインド」に隠された悲しい少年時代の思い出と勝ち取った栄光。レイの名曲のオンパレードで聴いているだけでも楽しめる。

・ナショナル・トレジャー
http://www.movies.co.jp/nationaltreasure/

独立宣言書に隠された暗号から伝説の秘宝を探すトレジャーハンターの物語。ニコラスケイジ主演だから、面白くなるかなあと期待して観ていたが、最後まで平凡な娯楽アクションで終わった。

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2005年04月21日

NAB2005報告 「30秒を超えて」を聴く

・NAB2005 - The World's Largest Electronic Media Show
http://www.nabshow.com/sessiondetail.asp?id=1202912
nab200501.gif

nab2005photo01.jpg

世界最大の電子メディア展示会のNAB2005に参加中。こんなセミナーを聴く。


Beyond: 30-New Advertising Models for Television

A confluence of factors is rapidly changing the television landscape. Audience fragmentation, the perpetual rise of new media channels, growing diffusion of PVR, significant changes in the metrics associated with TV audience research... such factors are gradually changing the business models associated with television in fundamental ways. Increasingly, networks will need to diversify their revenue streams. Advertisers, too, will need to discover new models of advertising designed to complement the traditional 30 second spot.

Moderator
Duane Varan, Director, Interactive Television Research Institute, St Perth, Australia

Panelists
Tim Hanlon, Sr. VP/Director, Starcom MediaVest Group, Chicago, IL

Rick Mandler, Vice President, Enhanced TV, Walt Disney Internet Group, New York, NY

Barbara Bacci Mirque, Sr. Vice President, Association of National Advertisers, New York, NY

「30秒を超えて」とは、HDDレコーダー(PVR)やインターネットの影響を受けて、現在の30秒のスポットCMを超えて、未来のテレビのビジネスモデルはどうなるかを、ある意味旧体制の側に立つ4人のキーパースンがプレゼンし、ディスカッションした。

PVRの米国の普及率は2006年には20%に達する見込み。

テレビ広告は、アカウンタビリティ(説明責任)とROI(投資対効果)の時代に突入するという結論の言葉が印象的だった。従来のテレビスポットCMは視聴者の規模の大きさを背景に、ある意味ドンブリ勘定であった。しかし、ネット対応のPVRやオンデマンド放送(VOD)の普及により、CMスキップは常態化し、広告主の反応もクリックや購入で測れるようになってくる。テレビはマスだからという曖昧な理由では広告主が満足しなくなる。

そこでCMに幾ら投じたら、幾らの効果が戻ってくるかを、メディアは広告主に説明できなければいけなくなる。これが、これからはアカウンタビリティとROIの時代になるという言葉の意味である。

スピーカーの提示した資料によると、各メディアのROIは以下のような順位になっているらしい。

広告の投資対効果

ダイレクトメール 42%
インターネット  19%
雑誌       7%
米国主要テレビ  6% (いわゆるNetworkTVの意)

テレビはひどく分が悪いのだ。現在、PVRは1560万の家庭で使われている。このうち録画をリアルタイムに見ないタイムシフト視聴派は7割を占める。この母数が上述のように今後のどんどん増えていく。このままではやはり既存の広告モデルを支えてきた視聴者、放送局、広告主の三角関係は崩れてしまうことは容易に想像できる。

だが、変化と危機感を感じつつも、従来のテレビの力を信じるスピーカーもいた。新技術や新メディアの登場の影響で、今後、視聴者がテレビをもっと見るようになるとは思えないと感じている。だがその一方で、3分の1はテレビをもっと観るようになると考えているというアンケートが提示された。そしてPVRユーザの3分の1はCMスキップの方法を知らないのだ。

1955年の古い広告を取り出して、当時、登場した新しいテクノロジー「リモコン」も、テレビの視聴形態に大きな変化(チャンネルを次々に変えてみるザッピング)が危機として考えられていたことが紹介される。そうリモコンも、かつてはCM飛ばしの技術として恐れられていたというのである。だから今度も大丈夫と言うわけ?それはさすがに甘いような気がする。

全体としては、PVRやインターネットはテレビの現在のビジネスにとってパラダイム変革を引き起こす破壊的技術(Disruptive Technology)だという点ではスピーカーたちも認めざるを得ないようではあった。だが、旧体制側のためか、どうも歯切れは悪かった。

広告は規模の経済(Economy of Scale)からターゲットの経済(Economy Of Scope)の時代に変化していくと結論したスピーカーもいた。露出(Expousure)から契約(Engagement)へとも言っていた。つまり、何百万人のマスチャネルが少数ある時代から、特定少数のターゲットを持つインタラクティブメディアが無数にある時代になり、広告主は露出回数ではなくて結果としての販売数や契約数を重視するようになるという意味だ。

具体的にアカウンタビリティの技術としては、米国大手ネットワークが採用したAd-IDなどが話題になっていた。広告に識別可能なIDを入れて、トラッキングを行う技術で、RFIDなどとの連携も視野に入れられている。

・USATODAY.com - U.S. advertisers go digital to track ads
http://www.usatoday.com/tech/news/techinnovations/2004-08-18-rfid-plus-ads_x.htm

で、結局、30秒を超えてと題されたこのセッションでは、変化の波を感じている広告業界の危機感は強く感じた。新しい技術とその視聴者行動への影響についても予想はしているようだ。だが、既得権としての現在のビジネスをすぐに解体するわけにもいかず、時機を見極めようとしている姿勢がうかがえた。

他にもたくさんの新しいインタラクティブ広告のモデルが提示されていたりして、勉強になるセッションだった。時間の関係なのかゆっくり見せたくないのか、その広告の新形態についての詳細資料のスライドが数秒で飛ばされてしまったりして、思わせぶりなところも。スピーカーに頼むと参加者はすべての資料を送ってもらえるらしい。頼んでみよう。

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2005年04月20日

結晶世界

・結晶世界
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米国ラスベガスにきています。行きの飛行機で読んだ小説の書評。
面白かった。おかげで時差ぼけ。


アフリカの癩病院副院長であるサンダースは、一人の人妻を追ってマタール港に着いたが、そこからの道は何故か閉鎖されていた。翌日、港に奇妙な水死体があがる。死体の片腕は水晶のように結晶化していた。それは全世界が美しい結晶と化そうとする無気味な前兆だった。バラードを代表するオールタイムベスト作品。星雲賞受賞。

40年前に書かれた作品だが、SFとしての完成度はまったく色褪せていない。世界の結晶化というコンセプトは、宮崎アニメ「風の谷のナウシカ」の腐海に通じる神話的に美しいデカダンス。そこには生きると死ぬの間の究極のスローライフという、終末世界のあり方が提示される。ほとんど純文学のような味わい深さを感じる名作だと思う。

古い作品でハンセン病がモチーフとなっている。現地人の描写に植民地主義の名残りも感じられるなど、今読むと表面的には差別的ととられかねない微妙な表現もあるが、モチーフを深いレベルで、退廃的な究極美として昇華させることには成功しているように思える。

世界の終わりを描いた点が似ているので、年初に書評した「万物理論」が好きな人にもおすすめ。結晶世界の方が理屈が少なくて文学的。

・昨年度マイベストSF 大作は「万物理論」、中短編は「あなたの人生の物語」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002774.html


・J・G・バラードの千年王国ユーザーズガイド
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J・G・バラードは、既存のSFの概念にとらわれない前衛的、先鋭的な作風で、1960年代の「ニューウェーブ」運動の先駆者として知られる。本書は、1963年から95年にかけて発表された書評、エッセイなど90編あまりをまとめたもの。映画や現代アート、作家、科学といったテーマごとに分類されたそれらは、著者独自の味つけを施した映画論、作家論であり、ときには精神分析論、風景論、時空間論など多岐に及ぶ。20世紀文化を多角的な視点でとらえた刺激的な評論集でもある。

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2005年04月19日

関連ウィンドウを自動選択する次世代知的作業環境WindowsLister

・WindowLister
http://homepage2.nifty.com/taks-2/WindowLister/
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#金曜までラスベガスに出張に来ています。NABに参加中。現地に居る人はご連絡ください。

実験的だが、すごいの一言。新しいモノ好きにインストール推奨。


WindowListerは、デスクトップおよびOS上に散らばっているオブジェクトを、意味を持ってわかりやすく一覧に して、それを選択することを基本とし、各種の知識を効率的に選択・閲覧そして創造していくことを手助けする、 デスクトップと透過的な選択閲覧創造環境です

この説明だけで理解するのは難しい。インストールしてみると斬新さがわかる。

WindowsListerは現在表示中のウィンドウの一覧地図を表示する。このとき各ウィンドウのサムネイルが表示される位置はランダムではない。ユーザの作業内容を解析して、関連するウィンドウを隣り合うように自動的に再配置してくれる。複数の作業を平行して行っていると、作業別に関連ウィンドウがまとまっていく感じがする。

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この地図上にはユーザが作成する付箋紙のような情報カードも配置できる。通常のアプリケーションウィンドウにテキストの情報を付加することもできる。デスクトップでKJ法をしながら、アプリケーションを使っていくイメージだ。

WindowListerは極めて実験的であるが、デスクトップの状態から情報や知識を集約して、創造性の高い作業環境を作り出そうとする挑戦的な試みだと思う。根底に思想を感じる。これからどう進化していくのが、注目したいソフトウェアだ。

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2005年04月18日

デスクトップをピタっと整列させるぴたすちお

・ぴたすちお
http://www8.plala.or.jp/ara3/pita/index.htm
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#金曜までラスベガスに出張に来ています。NABに参加中。現地に居る人はご連絡ください。

デスクトップはどうにもゴチャゴチャしがちである。たくさんのウィンドウやアイコンを並べていくとデスクトップのエントロピーは増大して作業効率が落ちてしまう。乱雑になる理由のひとつはウィンドウとウィンドウが整然と並んでいないから、微妙に配置がズレているから。

ぴたすちおは、ウィンドウやアイコンをピタっと自動配置するアプリケーション。サイズ変更を行うと自然に隣のウィンドウのタテ・ヨコ位置にピタッと隣接したり、乱れたアイコンの配置を整列させてくれたりする。

・ウィンドウの移動、サイズ変更中にスナップする
・ウィンドウが画面の外にはみ出さないようにする
・タスクトレイに最小化する
・デスクトップのアイコンを自動的に等間隔に整列する
・デスクトップのアイコンを小さいサイズで表示する
・デスクトップアイコンテキストの背景を透過する
・ダブルクリックでひとつ上のフォルダに移動する
・ウィンドウを半透明化する
・マウスの移動のみでウィンドウをアクティブにする
・月齢を計算する

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隣り合うアイコンやウィンドウの配置がジャストでないと気持ちが悪いという几帳面な性格の人はこのソフトを使うと幸せになること間違いなし。

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2005年04月17日

世間のウソ

・世間のウソ
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宝くじのウソ、自殺報道のウソ、安全性のウソ、〈事件〉をめぐるウソ、男女のウソ、人身売買のウソ、性善説のウソ、〈子ども〉をめぐるウソ 、精神鑑定のウソ、児童虐待のウソ、部活のウソ、〈値段〉をめぐるウソ 、料金設定のウソ、絵画市場のウソ、オリンピックのウソ、〈制度〉をめぐるウソ、裁判員のウソ、大国のウソ、他国支配のウソなど、世の中の欺瞞、タテマエを次々に暴いていく。

億万長者になる夢を国民に与えるはずの年末ジャンボ宝くじ。その夢の実現度の低さを数字で検証する。すると、1等に当選する確率は1000万分の1。交通事故で死んだり大怪我をする確率の9万2651倍で、落雷で1年以内に死ぬ確率の10倍も高いという計算が示される。買わなければ当たらないのは確かだが、宝くじを買いに出かけた帰りに車に轢かれる確率の方が高いのだと著者は述べている。

当たり前だが「よく当たる店」神話も嘘で、その店は販売枚数が多いに過ぎない。2003年には「億万長者が144人!」「1万円が史上最多」という宣伝が行われたが、実はここ数年で、1等の当選確率を98年の4分の1にまで減らされているという。これらの数字を見てしまうと、宝くじほど効果の低い投資も珍しいことが分かる。

投資としてほとんどドブに捨てるに等しいわけだが、今日、出張先の京都の電車でこんな広告を見つけて友人と話題になった。

・ジャンボ宝くじ付き定期預金
http://www.surugabank.co.jp/appl/rate/dream.jsp

当たれば、3億円。外れても、通常の定期預金のお利息が付きます。
定期預金は変動金利型の3年定期。利率は半年毎に見直されますので
金利上昇時にも安心です。
定期預金に付いてくる宝くじの枚数は、お預け入れの定期預金額に応じます。
もちろんお預け入れが多いほど、3 億円のチャンスは多くなります。

100万円預けると3年で30枚の宝くじが郵送されてくるというもの。くじの購入代金9千円がコストとしてのせられているわけだから、この預金もお得とは言いがたいはずなのだけれど、私たちはついついだまされてしまう。

そういえば、昨年ライブドアが運営していた宝くじの共同購入も本来、無意味なわけだが、なぜか熱く盛り上がっていた。説明ページにはこんなメリットが書かれている。

・livedoor 宝くじ
http://loto.livedoor.com/kyoudou/

ひとりで買うより当選しやすくなる。
 発行された宝くじの総枚数に対して購入者が共同購入した宝くじが多くなるため、当選の確率が高くなります。

小額での参加でも大きな当選金分配が期待できる。
 当選金は購入口数に応じて分配されるため、高額当選の場合、小額の購入でも多額の分配金を手にできる可能性があります。

当選しやすくなる、期待できる、可能性がある。ここにも嘘ではないけれどウソが隠れている。

この本では他に「民事不介入の原則」など存在しないこと、鳥インフルエンザの感染リスクはほぼゼロだったのに大騒ぎしていたこと、激増などしていない幼児虐待と自殺などが取り上げられている。

新聞やテレビの報道をよく見れば見るほど世間のウソに騙されてしまうのが怖い。

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2005年04月16日

ファイナルファンタジーXI LANDS END

・ファイナルファンタジーXI LANDS END
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757721390/daiya0b-22/
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#土日は京都の貴船で研究会の合宿中。

オンラインゲームのファイナルファンタジー11を舞台にした少女マンガ。シリーズになっているようだ。プレイ経験のない人には意味不明だろうけれど、一度ハマッたことのある人はとても楽しく読めるな、このアンソロジーシリーズは。

今までこのことを書いたことがなかったが、実は私、ファイナルファンタジーXIのプレイ経験が結構ある。レベルはメインの赤魔導士で27くらいだった。とはいっても、それはもう5年近く前。2001年にβテスト開始と同時にモニターになってから半年か1年くらいの期間だ。

・スクウェア、「ファイナルファンタジーXI」ついにβテスター募集開始
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20011120/square.htm

今はとてもゲームを遊べる時間はない。それでこのマンガを読んで当時がとても懐かしくなった。

私のFF11体験はかなり特殊なものだった。当時、ゲームのメールマガジンの編集長を引き受けていて、最新のネットワークゲームであるFF11は仕事上、内容を把握しておく必要があった。

ゲーム内での私の名前は女性名。容姿も女性の人間キャラ。え、ネカマかって?いやそうじゃなくて、私は妻と二人で一人の女性キャラを演じていたのである。妻がコミュニケーション担当で、私が戦闘を担当。完全に役割を分担して遊んでいた。

サラリーマン集団のパーティに参加していて、毎晩2、3時間は7,8人の出あった仲間たちとレベルアップに励んだ。二人で一人であることは完全に秘密。チャットは妻だけが担当。女性キャラは男性キャラから助けてもらいやすく、武器やアイテムもタダでもらえたりして、楽だった。

よくナンパされていた私(たち)だが、気のあるような、ないような返事をしては、男性キャラから助けてもらい続けていた。モテモテ女性の気分を味わうという奇妙な感覚だった。チャットのキーボードを打つのは妻なので罪悪感はなし。戦闘は私が専門で担当するので女性キャラにしては妙に機敏で攻撃的で、強かったと思う。

このマンガは、ゲーム内で繰り広げられるコミュニケーションや友情や恋愛感情が、とてもよく写し取られているなあと思った。社会心理学的にこのマンガをネットワークコミュニケーションの研究材料にもなるかもしれない。

「あのひとはいつの間にかレベル50の白い壁を身につけ、もう一緒にPTを組むことすら叶わない」と悩む女性の姿だとか、「白魔なんて...役に立っていると思っていたのは自分だけでMPの少ない私などただのお荷物だったんだ」と嘆くありがちなシーンだとか。

またFF11をプレイできる日はあるのだろうか。楽しかったなあ。

FFにハマッた経験のある人はこのアンソロジーシリーズ一読の価値あり。

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2005年04月15日

ハードディスクの健康診断ツール HDDlife

・HDDlife
http://www.hddlife.com/
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ハードディスクの平均寿命は5年程度と言われる。基本的にはディスク内部に少々不良箇所ができても、滞りなく使える設計になっている。だから、ハードディスクはある日突然壊れたようにみえても、実際には少しずつ傷んで限界に達していたということもある。

あらかじめハードディスクの傷み具合を把握できると管理の参考にはなる。

HDDlifeはS.M.A.R.Tテクノロジーを利用してハードディスクの健康診断を行うツールだ。S.M.A.R.Tは、Self-Monitoring Analysis and Reporting Technologyの略で、動作中のディスクの回転速度や書き込みエラー、温度などの情報を、リアルタイムに読み取る診断技術である。ハードディスク業界の標準となっており、大抵のIDE内蔵ハードディスクで利用できる。

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HDDlifeは起動すると自動的に診断が開始される。数十項目の情報を総合し、健康度を計算する。タスクトレイに常駐して現在のハードディスクの温度や性能も表示してくれる。異常が発生した場合にメールを指定したアドレスへ送ることも可能なので、一般ユーザだけでなく、Windowsサーバの障害予防ツールとして管理者が使うこともできる。

私のパソコンは...健康度100%だった。一安心。

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2005年04月14日

夢と欲望のコスメ戦争

・夢と欲望のコスメ戦争
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海外出張すると妻に免税店で香水をおみやげに買ってくるように頼まれる。ただそれだけが私とコスメの接点である。香水はコスメなのか?。いや、それさえもよく知らない。違うかな。そういうレベルの平均的な男性の私でも、化粧品業界がよくわかった。

まず「化粧品の分類と使用手順の一例」というフローチャートがとても勉強になった。人生ではじめて女性の化粧プロセスを知った。

このチャートを要約してみると...。

クレンジングでメイクを落とし、洗顔料で肌の汚れを落とす。化粧水で肌に水分を補いキメを整えたら、乳液、クリームで油分を補い乾燥を防ぐ。そして美容液、パックで美白・しわ対策をしたら日焼け止めで紫外線から肌を守る。ここまでが基礎(スキンケア)化粧品。本来の化粧であるメイクアップはこの後に始まる。

下地クリームで化粧のりをよくし、コンシーラーでシミ・ソバカスを隠す。ファウンデーション、パウダーで肌を明るく美しくする。マスカラ、アイライナー、アイシャドー、アイブローで目元を印象付ける。口紅、リップグロスで口元を彩り、艶を与える。チークで顔を立体的に血色よく見せる。ハイライトでもさらに顔を立体化する。

これで一例なのだから大変だ。化粧品の名前がこれだけでも大量に登場している。ひとつひとつに競合関係にある会社とブランド、商品ラインナップがある。市場規模は2兆円程度で、自動車市場の41兆円、外食市場の25兆円、アパレル市場の10兆円と比較すると小さいマーケットであるにも関わらず、激しいマーケティング競争が繰り広げられている。

国内化粧品市場の売り上げトップ10はこの本によると、以下のとおり。

1位 資生堂  3476億円
2位 カネボウ  1948億円
3位 コーセー  1206億円
4位 花王  776億円
5位 マックスファクター 550億円
6位 DHC  510億円
7位 ポーラ化粧品本舗  450億円
8位 ノエビア 
9位 ファンケル
10位 日本メナード化粧品

大手メーカーは複数のブランドを持つ。資生堂は「ザ・ギンザコスメティックス」という高級ブランドで、40グラム10万円という超高級クリームを販売している。資生堂が運営するザ・ギンザで年間1200万円以上のアパレル商品を購入する層がメインターゲットだそうだ。それが決して少なくない数売れているという。

6位のDHCといえば化粧品と言うよりは、2ちゃんねるに損害賠償を訴えている会社と言うのが私の手持ち知識だった。もともとは大学翻訳センターの略で翻訳業務の会社として始まったらしい。100円ショップで化粧品を売るなど安い価格のコスメで大成功をおさめている。

10万円以上から100円まで価格の幅が広いコスメだが、中身の原価は5〜10%程度である上に、価格が10倍違えば原価も10倍違うかと言うとどうやらそんなことはないらしい。価格は原材料費や必要経費の積み上げで決めるのではなく、ブランドイメージ戦略によって決められていることが暴露されていた。化粧で男性を化かす女性も、化粧品には化かされているのだ。

一流百貨店の入り口フロアは化粧品フロアであることが多い。日本で化粧品売り上げトップの伊勢丹新宿店では年間100億円以上を売り上げる。百貨店経営にとってはドル箱、化粧品メーカーにとってはなんとしても確保したい一等地だそうだ。で、あるが故に百貨店は一流海外ブランドを好条件で誘致したり、メーカに対しては競合店舗への出店に圧力をかけたりしているという。イメージ戦略上大切な外資系の売り場費用は70〜80%が百貨店持ちで、国内メーカーはメーカー持ちという格差もあるらしい。

あの売り場で働くお姉さんたちはデパートの人なの?メーカーの人なの?と以前から気になっていたのだが、大抵はメーカーから派遣される美容部員であるという。長時間の立ち仕事で厳しいノルマのプレッシャーがかかる割に、新入社員の年収は200万円レベル。本人の希望と関係なく転勤させられてしまう。楽な仕事ではないらしい。美容部員というのは基本的にその月のメーカーが販売強化したい推奨商品であるそうで、それをいかにお客様のために選んだかのように「コンサルティング」するのが、美容部員のノウハウ。ああ、ここでも化かしあいが、ある。

知らないことばかりで大変、勉強になった本だった。

美白、ナチュラル、機能性化粧品、CM戦略、販売戦略、業界裏事情などコスメについて幅広く説明している。この分野をよく知らない私のような一般的男性が概要を把握するのにうってつけの内容だと思う。ビジネスの会議で「コスメ」というキーワードが出てきたときに、間抜けな発言をしなくて済む。

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2005年04月13日

セレンディピティ・マシン 未知なる世界、発見への航海

・セレンディピティ・マシン 未知なる世界、発見への航海
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こんな計算表が序盤で紹介されていた。

10人のグループ 11.6%
20人のグループ 40.6%
30人のグループ 69.7%
40人のグループ 88.2%
50人のグループ 96.5%
60人のグループ 99.2%

これはなんだかわかるだろうか。

「グループに同じ誕生日のペアが含まれる確率」だ。もちろん、私とあなたが同じ誕生日である確率は365/1である。とても小さい確率だ。だが、グループ内の不特定の誰かと誰かが同じ誕生日の確率ならば、上記のような計算になるそうだ。つまり中学や高校の1クラス規模なら「運命の出会い」の二人は存在しない方が珍しいのである。

これは多くの人が最初に直感した数字よりも、かなり高い値だと感じるだろう。そして、これはこの本のメインテーマである、意味のある偶然=セレンディピティは結構高い確率で起きることの説明である。

情報のデジタル化、ネットワークの拡大、エージェントソフトウェアの活躍、インターネットコミュニケーションの活性化、バーチャルリアリティの実用化、データマイニングなど、情報テクノロジーの成果は、本来は出会わなかった情報や人の組み合わせ数を爆発させる。

「生命とはある種の計算である」ともいう。遺伝子の複製、脳の情報処理、宇宙の惑星の動き、動植物の振る舞いなど、自然界のプロセスにも多くのルールがあり、生物も環境も機械の一種とみなす人もいる。こうした自然のプロセスを計算とみなすのが「ナチュラル・コンピューテーション」という考え方。これに従えば自然のプロセスもまた、天文学的な組み合わせの計算を何十億年も続けているシステムだといえる。ここにもセレンディピティはたくさん発生する。

膨大な数の組み合わせを試すことで、たまに有意なものが生まれてくる。この本はそうした現象を縦軸に、最新の情報科学や先端技術を総括していく。コンピュータやネットワークコミュニケーションは膨大な数の出会いを発生させる。この無数の出会いの中からセレンディピティをどう取り出すか、が重要なのだよと複雑系研究で知られる著者デビッドグリーン教授は言いたいようだ。


では、私たちはミスター・ミコーバーよろしく「偶然」を待ち続けていればいいのだろうか。もちろんそうではない。実は、セレンディピティ・マシンーーーコンピュータとコミュニケーションーーーを活用することによって「必然」にすることができるのである。

と結論している。

コンピュータとネットワークで集めた情報をマイニングしチャンスを見つけろ、というのが答えになっている。偶然の幸運を待つのではなくて、必然の幸運をつかみにいけということだ。

なるほどなあと思った。


が、私が思うにもうひとつ、セレンディピティへのアプローチってあるなと感じている。それは当たり前のことも幸運だと思う「ツイてる!」技術のことだ。毎日がセレンディピティな人になることだ。ポジティブシンキングはセレンディピティを倍増する。

そして、「ツイてる!」といえば「俺と100冊の成功本」以外で何があるだろうか。

一昨日の書評が妙にアクセス数が多いと思ったら、俺と100冊さんが

・[俺100]:書評かくあるべし
http://blog.zikokeihatu.com/archives/000635.html

ここで前代未聞のスケールでホメ殺しにしてくれていたのである。

なんだか分からないが、これこそセレンディピティだ。最高だ。

この文章を読んでいるあなた。

それって私がお礼に俺100リンクを張りたいんでしょ、この本と関係ないでしょ、なんて思ってはいけない。ネガティブシンキングをしている暇があるなら、リンクをクリックしてセレンディピティの世界へ飛び込んでいくべきだ。脅威のツイてる!ワールドが待っている。

たぶん。

あ、いや、たぶんとかいっちゃいかん。絶対。

セレンディピティ強化のため最後にもう一度リンク。

・俺と100冊の成功本
http://blog.zikokeihatu.com/

関連:

・偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001168.html

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2005年04月12日

TJムック「成功者30人に聞いた"儲けの法則" アフィリエイトで驚くほど稼げるネット通販」

・TJムック「成功者30人に聞いた"儲けの法則" アフィリエイトで驚くほど稼げるネット通販」
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書店ではアフィリエイト本はひとつのジャンルになってきた。5冊目の書評。

実際に月に10万、20万とアフィリエイトで稼いでいるカリスマ主婦や会社員が仮名、実名で登場して、売り上げ推移やノウハウを紹介してくれる。以前読んだ本と重なるノウハウが多いが、この本で知ったことを2つ。

1 アフィリエイトで儲かる商材とは 消費者金融、化粧品、健康食品

この本では、いろいろなアフィリエイト商材が写真入りでカタログ的に掲載されている。成果報酬の金額が最も高い商材はダントツで消費者金融のキャッシング申し込み。一般にイメージが良くない商材の割に、個人のWebサイトによくリンクが張られているのをみかけるなあと思っていたが、最高で一件成約で2万円もらえるものも見つかる。まあ、そう簡単には申し込みはないのだろうが、これを売る戦略を考えてみると面白いかもしれない(お金に困った人を集めるということか?)。

化粧品も比較的報酬が高い商材だそうだ。化粧品はリピーター率が高く、繰り返しの購入を期待できるという。「トライアルセット」では1000円の商品をひとつ売ると1000円報酬があるコンバージョン率100%前後が当たり前で、商品価格を超える報酬が設定されている例もあるとのこと。健康ブームのサプリや健康食品も消耗品なのでリピーターを期待できてよろしいということだ。

2 タイミングで勝負する流行商材専門サイトというノウハウ

制作やメンテナンスに手間をかければよいというわけでは必ずしもないようだ。最低限のメンテナンスしか行わずに、短期決戦の流行モノ専門ショップで儲けている人も結構いる。例えばこの本での紹介事例では、

・ハルウララのグッズ販売 限定グッズ通販 …
http://plaza.rakuten.co.jp/haruurara1

このサイトはこの本によると月15万円以上の収入があったらしい。基本はただ商材イメージを並べただけである。ハルウララが話題になった瞬間に、専門サイトを立ち上げたのが成功の秘訣という。普通は新規のサイトには人が集まりにくい。そこで、前もって告知掲示板的に使えるサイトを育てておくというノウハウが明かされている。コミュニティ的なメインサイトに日頃からトラフィックを集めておき、新しく立ち上げた流行専門サイトへ、アクセスを誘導するというやり方だ。

■ミクリヤくん2号のその後

さて、以前、同様のアフィリエイト本を書評した際に、

・ネット副業の達人アフィリエイトでこんなに稼げる!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003141.html

私の会社のエンジニアのミクリヤくん2号が、趣味でアフィリエイトサイトを立ち上げたという紹介をした。あれから一ヶ月、状況はどう変わっただろうか。前回の段階では「さっぱりですよー」で売り上げゼロ円だった。

今はというと...。

・J.muruco --ジャニーズ応援サイト--
http://muruco.jspeed.jp/jmuruco/top.do
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おお、サイトのデザインも機能も進化している。すごいぞ、ミクリヤくん2号!

洗練されたサイトに改造されている。SEOにもこだわっているようで一時期は「ジャニーズ オークション」の検索結果で1位に表示されましたと喜んでいた。報酬も数千円レベルで得ることができているらしい。この本の紹介事例の成功者のグラフと見比べても一ヶ月でそのレベルへ到達するというのは、筋がいいのかもしれない、彼。本業で磨いたJavaプログラミングが見事に活かされている。エンジニアの遊びとしては理想的な展開だと思う。

もっと儲かったら奢ってね。以上。

がんばれミクリヤ君2号の報告はまた彼から情報を聞き出し次第、ご紹介していきたい。

関連書評:

・全部無料で儲けるネット副業
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003073.html

・フリーターから一発大逆転 アフィリエイトで月収100万円も夢ぢゃない!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003090.html

・主婦もかせげるパソコンで月収30万
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001411.html

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2005年04月11日

「超」整理法―情報検索と発想の新システム

・「超」整理法―情報検索と発想の新システム
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■時間軸とコンピュータ活用で分類しなくても検索できる超整理法

初版を読んだのは10年前の学生時代。当時はそれほど感銘しなかったのだけれど、ビジネス経験を少しは重ねた今、読み返してみると、素晴らしい洞察にあふれた内容だったと再認識。1993年出版でインターネットも普及していなかった時期なのでパソコンを使った情報整理に関する記述は古いが、根本の思想は色褪せていない。

超整理法は、情報を分類する従来の整理法への批判から始まる。論点は二つ。

(1) こうもり問題

情報を整理する際、どの分類に入れてよいか分からない情報が発生する問題。複数属性を持つ情報、境界領域にある情報、タテヨコ分類(分類軸が複数ある)の要素を抱える情報。

(2) その他問題

どの分類項目にも入らない情報。

そして仮に分類したとしても検索不能になる危険が伴う。誤った分類に入れてしまう「誤入問題」、仕事の進展で項目再分類をする際の「在庫引き継ぎ問題」、分類名を忘れてしまう「君の名はシンドローム」などの可能性があるからである。よって「分類はムダだ」という結論に至る。

そして「分類しなくても検索できる方法」が超整理法である。

■押し出し整理法、ポケット一つ原則、平均アクセスタイム

基本コンセプトは二つ。

1 時間軸で整理する
2 コンピュータの力を活用する

時間軸と言うのはこうもり問題もその他問題も、分類後の危険とも無縁の、ほとんど唯一の分類軸なのだ。

この考え方の応用が「押し出しファイリング」。著者はとにかく仕事の書類はA4の大きな封筒に入れろという。入れたら棚に横に並べる。使ったファイルは常に一番左に置く。ただそれだけで、よく使うファイルはすぐに見つかるし、その他のたまに使うファイル(神様ファイル)も比較的短時間で見つけ出せる情報検索システムができあがるという。

これはその後、コンピューティングの世界で出現してきた「適応型インタフェース」の先鞭だったといえそうだ。オフィスソフトの「最近使ったファイル」表示みたいなものである。確かに普通の仕事スタイルでは最近使ったファイルほどよく使う気がする。「平均アクセスタイム」の視点からも、8割くらいのケースでこの単純な方法論は有効だと思った。

一箇所にすべてを入れるというのも「ポケット一つ原則」と呼ばれる秘訣。情報が見つからないのは多くの場合、どこにしまったかが分からないからだというのは単純なようでいて、真理だと思う。しまった場所が分からないとどこを検索すればいいのかが分からない。

無論、超整理法や押し出しファイリングが通用しないケースもある。これはむしろ個人の情報整理法であって、組織や図書館の共有データベース構築では当てはまらないこともあると断り書きもある。

■ディレクトリの使い方ノウハウ

著者のハードディスクの使い方は参考になる。次の3つのディレクトリを作成しているという。超整理法的な使い方だ。

(1)J(事務用)ディレクトリ

連絡法の案内、略歴、海外旅行のチェックリスト、手紙の雛形、その他頻繁に使用するファイル

(2)R(日誌)ディレクトリ

年度のディレクトリ別に日誌を収録

(3)DB(住所録、論文リスト)ディレクトリ

住所録や論文リスト

これは自分ののデスクトップの使い方と共通部分が多かった。私は放っておくと、デスクトップにアイコンを100個以上広げてしまう乱雑派なのだけれど、たまにディレクトリを作って整理する。それが良く考えると著者のディレクトリの切り方とほぼ同じだった。

デスクトップが一杯になると、050410(2005年4月10日)のようなディレクトリを作って全部を入れてしまう。頻繁に使うファイルは「最近」「マイドキュメント」フォルダに入れている(Jディレクトリ相当)。日々の日誌記録はChangelogを使ってテキストファイルで時期別に整理している。結局、著者が10年前に発見した上記のディレクトリ分類は、普通の仕事をする人にとって今も普遍的に有用な分けかたなのかもしれない。

これに加えて、GoogleDesktopSearchやサーチクロスのようなデスクトップ全文検索ツールがあるので、これらはすべて検索が容易だ。この本の執筆時点ではハードディスク全文検索に15分もかかるツールが紹介されていたが、今は遥かに技術が進歩して、著者の理想スタイルが実現できるようになっていると感じた。

■アイデア発想法とコンピュータソフト

後半は整理法から発想法がテーマになる。著者の歯に衣着せぬ意見が鋭い。


世に「発想法」や「発想術」と銘うった本は多い。そこには、フローチャートやマトリックス、あるいは点検表や系統樹などを使ったさまざまな方法が提案されている。

しかし、私はこうしたものを基本的に信用していない。このような定型的な方法に縛られねばならぬのなら、発想とは、何と窮屈な作業だろう。アイディア生産はもともと、精神の自由な活動であるはずだ。それがいくつものルールに規定されねばならないというのは、どこかおかしい。

立花隆の文章を引用してのKJ法批判もなるほどと思った。

KJ法の原理は非常に重要なことだということはわかっていた。しかし、それは、......昔から多くの人が頭の中では実践してきたことなのである。......KJ法のユニークなところは、これまでは個々人の頭の中で進められていた意識内のプロセスを意識の外に出して、物理的操作に変えてしまったことにある。

これが利点となるのは、頭が鈍い人が集団で考えるときだけである。......意識の中で行われる無形の作業を物理的作業に置きかえると能率がガタ落ちする。

ナレッジマネジメントというと権威の偉い先生のいうことを鵜呑みにしがちだが、現場で生産性の高い人が実際には何をしているか、の方が重要である。新人研修や発想セミナーなどで用いられる「理論的に正しい」メソッドも、「実践的に正しい」かどうかは疑ってみる価値があるなと思う。

■便利な情報処理ソフトとは?個人的意見

私はこのブログで過去に120以上のソフトウェアをレビューしてきた。大半は個人の情報処理を支援するツールである。レビューを書かなかったものも含めて数百本を使っての感想は、3つの原則としてまとめることができる。

それは、

・便利なツールの3大原則

1 シンプルなツールほど便利だ
2 多様な使い方ができるツールほど便利だ
3 導入ハードルが低い(分かりやすい、安い or タダ )ほど便利だ

である。

設計者の押し付け思想やユーザに分類作業を求めるツールは長続きしない傾向がある。

ベスト3を挙げるなら、

・全文検索ツール GoogleDesktopSearch、サーチクロス
・入力支援ツール ZakuCopy、
・メモ記録ツール 紙COPI、MS OneNote、Changelog

といったところ。どれもユーザの自由度が高いツールだ。

Windowsのウィンドウメタファーに引きずられすぎてもいけないと思う。エンジニア、研究者で生産性の高い人はUNIXのコマンドラインのフィルターアプリケーションを複数組み合わせて、複雑な処理を簡単に行っていることが多い。またUNIXの世界ではこうした情報処理のプラットフォームとしてEmacsのような万能エディタがあるのも大きい。

GUIはCUIに比べて連携機能が弱いと感じる。Windowsでも、簡単な処理プログラムを、自在に連携させて、一つのプラットフォーム上で情報を処理できるようにするツールがもっと充実すると、整理法も発想法も、より進化するだろうと考えている。

個人的には、情報処理(検索)の未来には二つの「引き出す技術」がカギなのではないかと考える。

1 情報を外(記録と他者)から引き出す「インタラクション」技術
  
2 情報を内(記憶と想起)から引き出す「インタフェース」技術
  
この5年での情報処理分野での大きな革新はGoogleだ。情報の重要度をリンクのつながり方から数学的に計算することで、ハイパーリンク文書については相当便利になった。そしてその核心はPageRankであり、系統としては「アルゴリズム」技術だったと考えている。
私は、

情報検索力 = アルゴリズム × インタフェース × インタラクション

という式が成り立つと考えている。

メタデータの利用(RSSやFOAF)や自然言語処理(形態素解析、構文解析、辞書)、コンテクスト認識(音声、イメージ、生活の文脈の取得)、類似関連検索(数学モデルを背景にしたランキングアルゴリズム、クラスタリング)のなどの技術進歩は、アルゴリズムのパラメータをもう少し向上させるような気はする。だが、アルゴリズムだけではこの式全体に対して限界があるのではないかとも考える。こうした人工知能的アプローチでは、「パっとしたもの」が出ないからだ。(先日の「脳と創造性」の書評に言いたいことは近い)

最近の技術トピックでは、コミュニティベースでの知識集約(フォークソノミーなど)や、画面遷移のないインタフェース(Ajax、ライタブルWeb)、ユビキタスコンピューティングなどがある。これらは上の3要素のインタフェース、インタラクション分野での革新に分類できると思う。アルゴリズム技術が苦手とする創発やセレンディピティ的な、人間固有の創造力を発揮するのは、むしろ、こうした引き出す技術なのだと考えている。

おっといつのまにか持論展開になってしまった。

書評に戻ると、これは10年前の本であるが、再読しただけで、いろいろと刺激があった。終章に「分散型情報処理のインパクト」という項目があったが、一人ひとりが自由に発想して創造的になることが、結局は組織にとっても、知識資産の総和を増やすことにつながるのだと思う。サーバよりもデスクトップにこそ知恵はあるように思う。超整理法はまさにデスクトップの方法論だ。

超整理法は続編があるので読んでみよう。

・「超」時間管理法2005
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002584.html
著者、野口悠紀雄氏が超整理法メソッドを手帳に実装

関連情報:情報整理、発想、創造性、支援ツール

・創造学のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000846.html

・情報検索のスキル―未知の問題をどう解くか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000616.html

・分かる使える思考法事典―アイディアを生み出し、形にする50の技法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000725.html

・それは「情報」ではない
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000510.html

・デスクトップ発想支援ツール
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000139.html

・文書アウトライン作成支援ツール iEdit
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000317.html

・理想のアウトラインプロセッサを求めて
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000360.html

・現場調査の知的生産法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001804.html

・「挫折しない整理」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001794.html

・知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001734.html

・パーソナルナレッジベース、新しいデスクトップ操作方法、紙2001
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000310.html

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2005年04月10日

SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか

・SYNC
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ダンカン・ワッツと共に「スモールワールド」理論を提唱したことでも知られる、コーネル大学応用数学科教授ストロガッツ・スティーヴンの最新邦訳。テーマは世界に普遍的に生じる同期現象。

何万匹の群れが同期しながら発光するホタルや、クルマの交通渋滞、人間の睡眠周期など生き物の世界だけでなく、粒子の世界のレーザー光線や超伝導の仕組みも同期現象が背景にある。

この本は世界に普遍的に存在している多様な同期現象を取り上げ、その共通メカニズムを科学的に解明する。飽くまで一般向けの本なので数式を使わずに、比喩を使って、モデルを説明する名作。

■ヒトの同期現象:拍手が同期する理由

人間の拍手の同期についての考察はとても興味深い。大きな会場で、自然発生的に、満場の拍手が行われた場合、最初はバラバラな拍手が一瞬リズミカルに同期してまたバラバラに戻ることが多い。東欧の研究チームがオペラや劇場公演の拍手を録音して解析した結果、拍手が同期している間はそのテンポがバラバラなときよりも、遅くなっていることが分かった。

生まれつき拍手のテンポが速い人や遅い人がいる。彼らはつまり、バラバラな周波数を持つ振動子の集合である。集団全体の周波数分布が広過ぎると拍手はバラバラだが、狭まると同期が起きやすくなる。息の合った拍手がベストと考える振動子たちは、周波数がかなり近い隣人には、テンポを歩み寄る習性があるからだ。ランダムが同期に至る瞬間は物理学における相転移現象とみなせる。

一人ひとりは心を持ち、大きな拍手こそ、演者に感動を伝えるものとも感じている。そこで拍手全体の音量と同期の心理的トレードオフが起きているのではないかと著者は考えている。このふたつは同時には得られない宿命がある。

バラバラで騒々しい拍手とリズミカルに同期する拍手の持続時間を比べると、同期する時間は半分以下である。よって拍手全体の同期時間の音量の総和は、バラバラな拍手の音量の総和を大きく下回ることになる。そして、同期している間、今の音量では十分ではないと判断してより速く、大きく拍手をする振動子が現れる。すると周波数帯が広がって、同期と非同期の間の相転移ラインを再び下回る結果、全体の同期は崩れてしまう。

最初にこうしたシンクロ現象を指摘したのはノーバート・ウィーナーの「周波数の引き込み現象」理論で、多様な周波数を持つ振動子が正規分布する系では、平均ピークの前後で互いの周波数が引き合って、特定の二つの帯域にピークが発生するとした。つまり、人間社会や自然界では、自然に同期が起きるという理論だ。ウィーナーは現実のデータによる裏づけには失敗したものの、同期現象解明に道を開いた。

これを受けてアート・ウィンフリーが影響関数と感度という要素を提起し、理論を洗練させた。集団の均質性を少しずつ高めていくと、ある閾値を超えた瞬間に、系はコヒーレント(足並みが揃う)に振舞うように変貌する。同期とはランダムから万物が創造される非線形力学であることが解明されていく。

その後、これを厳密に非線形の数学モデルとして証明して見せたのが、この本の訳者の蔵本由紀であり、多様な現実世界の理論として説明したのがストロガッツである。同期現象をめぐる世界の最先端のタッグでこの本は作られている。

■ソーシャルネットワークを動的にとらえるシンクと流行モデルの研究

インターネットでは、ソーシャルネットワークサービスが話題になっている。SNSは人のつながり方(著者の研究であるスモールワールド)を可視化する。それだけでも便利ではあったが、リンク具合を静的に眺めているだけだともいえる。それに対して、つながりの上で起きていることを動的にとらえるのが、同期の研究なのだろう。

私たちはひとりひとりが、多様な話題に特定の周波数を持つ振動子なのかもしれない。ある人はある話題には高い周波数を持つが別の話題には低い周波数を持つというように。こうした系に集団の多くの構成員が似たような反応周波数を持つ話題が発生すると、流行が発生する。

流行の基本モデルとしてグラノヴェッターの有名な流行学モデルが紹介されている。この単純な仮定では、集団Aでは、100人の構成員がそれぞれ0から99までの閾値を持っている。例えばこの閾値は過激度で、閾値0の人間が行動を起こす(例えば窓ガラスを割る)のを見ると、閾値1の人間は反応して行動を起こす。それを見た閾値2の人間も行動を起こす。そして、3、4,5,6...と言う風にドミノ倒しが発生し、集団は暴徒と化す。

だが、もし閾値1の人間が二人いて、閾値2の人間がいない集団Bの場合、閾値1が行動を起こしても、連鎖は生じない。全員の閾値が2を上回っているからだ。面白いのは、ふたつの集団AとBは、ほとんど周波数分布に違いがないということである。たった一人の構成員が、全体を暴徒化させるか否かの違いになっている。集団心理の予測の難しさはこれが原因である可能性もある。

このグラノヴェッターモデルを拡張したのが、ダンカン=ワッツモデルで、各構成員の閾値はそれに先立って行動を起こすに違いない隣接ノードの割合と定義する。自分の隣人たちが高い割合で行動したのを見ると自分も行動する。その結果、さらにその隣人にも影響を与えるという系である。一直線のドミノ倒しではない現実に近いモデルだ。さらに実際の人間関係と同様に、大胆な性格の人や、知り合いの多い人が、全体にランダムに分布していると前提する。

ダンカン=ワッツモデルのコンピュータシミュレーションを行うと、ふたつの有名な相転移現象「ティッピング・ポイント」が見出される。リンクの密度が一定以上の集団では、流行は小さなきっかけから急速に大規模に広まり、そしてパタっと突然終わる瞬間がある。さらに分析すると「脆いクラスタ」と呼ばれる小集団が見つかる。この小集団はマーケティングの世界で「初期採用者(アーリーアダプター)」と呼ばれる人たちで新しいものを積極的に取り入れる影響力のある層のこと。全体の比率として脆いクラスタの占める割合は小さくても、彼らの行動が全体に及ぼす影響力は巨大で、流行の鍵を握る存在となっている。

この本を読んで思ったのは、マーケティングの世界では「ティッピングポイント」や「アーリーアダプター」という概念が、本来の科学を離れて濫用されてしまっているということ。本来、それらを見つけるには、全体の周波数分布やリンク密度、話題の周波数について、厳密な計算が毎回必要なはずなのだ。新しいもの好きな人たちに情報を流せば大流行が起きるという単純なノウハウに還元するには無理があるように思った。

カオスや複雑系と同じ非線形力学は、世界を支配する法則として線形力学よりも普遍的なものであることが分かっている。だが、私たちはそれを直感的には理解するのが困難だ。だから、どうしてもマーケティングの世界のように、過度に単純化したり、ユングの「シンクロニシティ」のようにオカルト化してしまう傾向があるように感じる。それでは肝心の部分が抜け落ちてしまう。ストロガッツのように、どこまでが科学かを一般向けに説明する科学者は、同期というテーマで社会を正しく同期させる上で貴重な振動子だと思った。

こうしたテーマに興味のある人は必読。

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2005年04月09日

Web情報を気軽にブックマークするねっとメモっと

・ねっとメモっと
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/net/se299157.html
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WebをみていてURLやメールアドレスだけをちょこっとメモしたいときに役立つ常駐ソフトウェア。ブラウザ(MSIE)の右クリックで今見ているWebのタイトルやURLをメモできる。カテゴリに分類したりメモをつけることもできる。登録可能なのは「URLアドレス」「メールアドレス」「FTPサイト」「ファイル」「その他」の5種類のデータ。

紙COPIやMicrosoft OneNoteのような本格的なクリッピングアプリケーションではなく、ブックマークの拡張に近い。作成したメモはIEのお気に入りなどのインターネット ショートカットファイルをインポートできる。普段はこのソフトにブックマークするようにして定期的にMSIEのブックマークへエクスポートしておけば、ブックマークがごちゃごちゃするのを避けられそう。

関連ソフトウェア(ブックマーク、クリッピング)

・クリップボード履歴を保存・編集するCLCL
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003010.html

・パーソナルナレッジベース、新しいデスクトップ操作方法、紙2001
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000310.html

・最強のメモ環境をChalowで構築
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001889.html

・サイトを取り込んで全文検索できるWeBox
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001748.html

・ブックマークの技術と可能性
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000634.html

・気軽に使えて便利なコピ鉄、Gooo、メモ鉄
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001786.html

・クリップボードと右クリックを活用するZakuCopyとClipla
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002441.html

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2005年04月08日

JavaScriptやVBscriptをExeに変換するWSH用コンパイラ+

・WSH用コンパイラ+
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/prog/se344839.html
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こんな便利なものがあるのか...。

WSH用コンパイラ+はVBScriptやJavaScriptをWindowsの実行ファイルに変換するコンパイラソフト。通常、こうしたスクリプト言語は実行コンテナにWebブラウザを必要とするが、このソフトでExeファイルに変換しておけば、単体で動作できる(但しmsscript.ocxは必要)。JavaScriptしか使えなくても、Windowsプログラムを作って、配布することができるようになる。

使い方は簡単で作成したスクリプトファイルをこのソフトのアイコン上へドラッグアンドドロップするだけで、Exeファイルが出力される。手持ちのスクリプトを変換してUSBメモリにでも入れておけば、どこでも使えて便利である。

サーバサイドのスクリプト言語Perl、Ruby、PythonにもExeへの変換ツールはある。

・Perl2Exe Home Page
http://www.indigostar.com/perl2exe.htm

・RubyScript2Exe
http://www.erikveen.dds.nl/rubyscript2exe/index.html

・Py2Exe
http://starship.python.net/crew/theller/py2exe/

さらに「XからYへ」とコンバートするツールの一覧サイトも見つけた。任意の形式から任意の形式へのX2Yがいっぱいある。

・Convert PDF to WORD DOC,TEXT,JPG,HTML, RTF to PDF,EXCEL XLS to PDF
http://www.convertzone.com/

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2005年04月07日

脳と創造性 「この私」というクオリアへ

・脳と創造性 「この私」というクオリアへ
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■コンピュータと脳の違い

人間の脳の創造性とは何かについて考察したエッセイ集。


人間の場合には、まず直感で指し手がわかった後に、それを論理で裏付ける。ディープ・ブルーの場合は、それとは逆に、まずは論理で全ての可能性を検討して、その後にやっと指すべき手がわかる。つまり、結論と論理の順番が、人間とディープ・ブルーでは逆転しているのである。

#ディープ・ブルー=人工知能のチェスプログラム。人間の名人を破った。

人間の直感とコンピュータの論理では根本的に仕組みが違うのではないか、という問題意識が、この本の大前提。


コンピュータと比べた時、人間の脳が新しいものを生み出す仕組みに潜む最大の驚異は、その「歩留まり率」が異常に高いことである。ある特定の状況で、新しいアイデアが必要とされる時、私たちはうんうんとうなりながらかんがえながらそれをひねり出そうとする。なかなかでなくて苦労することもあるが、いったん「これだ!」とひらめいた時には、そのひらめきの結果生み出されてきたものは、たいていの場合は意味のあるものなのである。


何の指針もなく、ただ単にランダムに自発的な活動をしていても、そこからは何の価値あるものも生み出されることはない。脳の神経細胞が自発的な活動をしていることは、創造性の前提条件である。その自発的活動を、意味のある創造的なプロセスに結びつける、何らかのメカニズムが必要なのである。

コンピュータで、発想支援ソフトというのはあっても、発想自体をしてくれるソフトでまともに機能するものはない。コンピュータがランダムか何らかの固定アルゴリズムに従って出す答えや、選択肢の順列組み合わせをすべて試す機械的発想法(MECE)からでは、クリエイティブなものは滅多に生まれない。文脈に対して完全に依存するのでもなく、ランダムでもなく、”自由に”ものを考えることから創造性が生まれる。

そしてこの創造性の歩留まり率を高くしているもの、その何らかのメカニズムの重要な要素として、直感、感情、意識があるのではないかといい、著者の持論のクオリア哲学へと展開していく。

■ぎこちなさ、退屈、一回性

ユニークなクオリアがあるかどうかが、創造性の質を決めるという「クオリア原理主義
」という言葉まで登場する。

新しいことをするときの「ぎこちなさ」の中に将来の創造性が隠れているのではないかという考え方がとても興味深かった。人間は大人になるにつれて、次第に器用になって洗練される分、型にはまったレディメードなものしか生み出さなくなる。不慣れな世界に恐る恐る一歩を踏み出すときの、ぎこちなさはレディメードと対極にある。

器用な芸術家は何でもそれなりにレディメードな作品を生み出せるが、過去に類例のない、オリジナリティのある作品を生み出す資質に欠けていることが多い。ぎこちなさこそ、まったく新しい何かの萌芽であり、一回性の人生において、創造性の源泉になるという考え方。

退屈する時間も創造性には必要な時間だと著者は説く。退屈することもまたオンラインの文脈から離れることであり、ユニークなクオリアの獲得につながる。青春時代に何かに熱中するだけでなく、無為な退屈した時間をもやもやしながら過ごす、というのも、実は必要なことなのではないか、と著者は自分の体験からも述べている。

一回性の人生を迷いながら生きているからこそ、人間は創造性を発揮できるのだということらしい。コンピュータには意識や感情や一回性の人生はないから、今の延長線上では創造性にあふれたパソコンと言うのは登場しそうにない。

やはり当面はコンピュータは人を創造的にする環境支援をする役割と言うことになりそうだ。死ぬほど退屈させてくれるメールソフトとか、ぎこちないブラウザーとか、一回しか起動できないソフトウェアとかが大切なのだな、いや、そんなわけないな、とくだらない、もやもやした思考の袋小路に陥ってしまった。面白いことってすぐにはなかなか思いつかない。それでも考え続けているといいことがあるよ、というような内容の本だった。

・脳の中の小さな神々
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001921.html

・脳内現象
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001847.html

・脳と仮想
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002238.html

・意識とはなにか―「私」を生成する脳
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000561.html

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2005年04月06日

ズバリ自動化 Waha! Transformer Personal

・ズバリ自動化 Waha! Transformer Personal
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これはなかなか便利だ。

表計算やデータベースのデータ(Excel、Access、DB)を、部品をビジュアルに組み合わせ、パラメータをいくつか設定するだけで、自分専用のデータ分析アプリケーションを作成できる簡易開発ソフト。定期的に繰り返し行う必要のある作業の自動化処理システムを、高度なプログラミング知識なしで実現することを目指している。

Waha! Transformer Personalは、データドキュメントに対して、7つの変換フィルターを組み合わせることで情報処理プログラムを作成する。

zubarijidoka02.jpg

例えば、全国データから特定都道府県別のデータを抽出して別ファイルに出力する場合は、こんな風にアイコンを配置して接続する。

zubarijidoka01.jpg

条件に一致したデータだけを抽出したり、項目別に集計を行ったりする。

データの型を設定することができ、日付や時刻には時間計算を、文字列には正規表現を、数値には各種の演算関数を適用することができる。データ(ビュー)とフィルタをマウスで接続し、パラメータを入力するだけで、パーソナルな業務システムを短時間に構築できる。

私も早速、アクセスログとアフィリエイト販売のログデータを統合して、人気商品を抽出するプログラムを作ってみた。ステップ数の多い作業が、間違いなく、一括で行えるようになったので大変便利だ。

日常業務の中で面倒だからやらない作業が、できるようになる差は大きい。政府の統計データ・ポータルサイトからは、国勢調査や人口、経済、景気動向などの幅広い情報が、CSVやExcelの形式で公開されている。こうしたデータと自社のデータを組み合わせれば、市場予測や意思決定に使える分析ソフトも作ることができる。

・統計データ・ポータルサイト
http://portal.stat.go.jp/

このソフトを使いこなすには、プログラミング知識はゼロというわけにはいかないが、ExcelやAccessのマクロプログラミングよりは、ビジュアルなので遥かに容易だ。使い方を説明する映像もCDに収録されている。

もともとこの製品は、ビーコンIT社の企業向け製品を機能限定して、ソースネクストが1年間の使用ライセンスで1980円で販売しているもの。本来は数十万円する商品。まずは安い価格帯で個人に慣れてもらって、会社での導入してもらおうという戦略商品であるようだ。

・Waha! Transformer Personal
http://www.beacon-it.co.jp/products/pro_serv/dataware/w_former/index.shtml
データに関わる処理・業務の工数削減を実現する国産エンタープライズETLツール

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2005年04月05日

品のいい人と言われる言葉づかい──ものの言い方ひとつで、あなたの品性を疑われる!

・品のいい人と言われる言葉づかい──ものの言い方ひとつで、あなたの品性を疑われる!
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品のいい言葉遣いについての本。

冒頭で品についてなるほどという考察がある。

「本日はおいでいただきまして、ありがとうございます」
「本日はおいでくださいまして、ありがとうございます」

どちらが品があるか、という質問があり、後者が良いという。

前者は自分の立場を下にして相手を立てる言い方だが、後者は相手を上にすることで相手を立てている。ただ丁寧にへりくだるのではなく、相手を立てつつ卑下もしないのが上品だという例だ。コンセプトはよくわかる。

■意外に少ない尊敬語と謙譲語の例外

尊敬語と謙譲語をきちんと使えることが上品な言葉遣いの第一歩。多様なようでいて尊敬語と謙譲語は例外が少ないのでこれだけ覚えておけば大丈夫と言うリストは参考になる。
尊敬語:

基本原則は、お〜になる、で、

読む→ お読みになる

と変化するが、例外は5つ。

食べる→ 召し上がる
行く、来る→ いらっしゃる、おいでになる
見る→ ご覧になる
言う→ おっしゃる
くれる→ くださる

謙譲語:

基本原則は、お〜する、または、ご〜する、で

取る→ お取りする
説明する→ ご説明する

と変化するが例外は7つ。

見る→ 拝見する
会う→ お目にかかる
言う→ 申し上げる
もらう→ いただく 頂戴する
行く、来る→ まいる、伺う
する→ いたす
思う→ 存ずる

これだけ知っていれば完璧ということだ。

ネガティブな表現をポジティブに変換することで上品さをアップするテクニックも紹介されている。

趣味が悪い→ 個性的な装いをなさる
鈍い→ おっとりしていらっしゃる
太っている→ ふくよかでいらっしゃる

こうしたリストは、こんなページも見つけた。

・書きかえたい言葉
http://www.kyo-sin.net/reframe.htm
「通知表などの所見欄に,書きたいけど書けない言葉を書カき換カえる一覧」

確かに、こうした尊敬語や丁寧語がTPOに応じて自然に出てくる人は品があるなあと思う。

他にも、「どうも」「すみません」の代わりに、魔法の言葉「恐れ入ります」といいというアドバイスがある。

1時間で読めて随分勉強になる本だった。新人にオススメ。

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2005年04月04日

マウスホイールで左右スクロールを可能にするSoftTilt

・SoftTilt(Windows95/98/Me/ユーティリティ)
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se347519.html
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項目数の多い巨大なデータファイルをEXCELで表示させると、ヨコに長いスクロールバーがでてくる。タテのスクロールバーはマウスのホイールで扱えるので微妙な移動も楽だが、ヨコの場合は難しかった。ちょうど良いところで止まってくれず、行き過ぎたりしてしまってイライラする。

このSoftTiltはホイールを使って横スクロールを実現するソフト。

Shift+ホイール
CTRL+ホイール
右クリック+ホイール

という操作に対して横スクロールを割り当てることができる。大変便利だ。

もちろん、左右スクロール付のマウスは販売されている。私もひとつ持っていて、過去にマウス特集の記事を書いた中でも紹介している。

・左右スクロールもできるワイアレス光学マウス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001880.html
プリンタ付マウスなど、さまざまなマウスを紹介

自宅には、対応マウスがあるのだが、日常最もよく使うお気に入りはこれ。

毎日ノートPCと一緒に持ち歩いている。とにかく使いやすい。これがないと不機嫌になるくらい手になじんでいる。左右スクロールができないのが唯一の問題だったが、SoftTiltを使うことで、それも解消された。

・Microsoft Mobile Optical Mouse Silver
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このマイクロソフトのモバイルマウスは逸品だと思う。

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2005年04月03日

「人生はなぜ辛いのか ネゲントロピーとミームの戦い」

昨日はエイプリルフールにおつきあいいただきありがとうございました。

3月31日から4月4日まで米国シリコンバレーに出張中。YAHOO!本社などを訪問する予定。現地からレポートできたら書きますが、基本はストック原稿で、妻による代理更新モードです。今日も先日に続いて、2003年にあるニュースサイト(今は消滅)に寄稿した過去原稿の再掲載になります。

さあ昼休みだ。また私は午後の仕事の準備に追われて、コーヒーでハンバーガー流し込むランチを取っている。その合間に、このコラムを執思いつくまま、書いている。ああ、もっと楽に仕事ができないものか。

人生楽ありゃ苦もあるさ。銭形平次のエンディングテーマが流れなくとも、人生や仕事は楽しいという反面辛さを感じる場面が常にあることを私たちは体験から知っている。なぜに人生は辛いのだろうか。それは自然の法則である、エントロピーの法則に逆らう努力をしているからだ。

私たちの世界はご存知のようにエントロピーの法則に支配されている。努力をしなければ、何事も秩序は崩壊し無秩序に向かっていく。放っておけば部屋は散らかるし、食べ物は腐る。何も考えがなければ、仕事のプロジェクトも失敗する。

私たちの身体機能も同じである。私たちは呼吸をし、物を食べて新陳代謝を行うことで、細胞の再生産、再組織化を行っている。細胞や遺伝子の壊れやすい情報を維持する努力をしているわけだ。秩序という情報は、このエントロピーの法則に逆らって努力をしなければ、得られない。逆らうから摩擦が起きて痛い、だから、辛いのだ。

エントロピーへ逆らう努力をする局所的な場所では、私たちはこの自然の法則に逆らうことができる。生きている間は身体を維持できるし、頑張る人たちの「プロジェクトX」は成功することもある。こういった局所系はネゲントロピーの系と呼ばれる。

しかし、全体としてみれば、人間も他の動物も、DNA情報の複製エラーがが蓄積して、秩序の情報を失っていく結果、必ず年老いて死んでしまう。宇宙もやがては熱的な死というカタストロフを迎えると言われている。この情報との戦いに私たちは負けることが、宿命づけられていることになる。

人類の進化と文明の歴史は、この宿命に逆らうネゲントロピーの軌跡そのものだ。世代から世代へ、身体の構造を、社会の構造を、知識の構造を、組織化するノウハウを流通させてきた。

「利己的な遺伝子」の中でリチャードドーキンスが定義した「ミーム」というキーワードは印象的だ。ミームとは、DNA情報の伝達因子としてのGene(遺伝子)の概念を、情報論に応用し、情報を伝えていくための伝達因子に名づけられた名前だ。ミームは情報を運び、ミーム同士が弱肉強食の自然淘汰を行い、次世代に生き残る強いミームを残していく。

・利己的な遺伝子
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314005564/daiya0b-22/

アイデア、データ、情報、知識、知恵。呼び方は異なっても、私たちは、こういったすべての情報を運ぶミームのキャリアである。ミームを使うことで人間は、与えられた生命時間を過ぎても情報遺産を残すことができるし、物理的制約を超えて他社と意識的、無意識的に、情報の組織化と構造化を達成できる。そこには、新たな価値が生まれ、ネゲントロピーの系を拡大していくことができる。

ミームのせめぎあう場所は、ミームプールと呼ばれる。インターネットは人類史上最大のミームプールと言えるだろう。知識流通の仕組みの構築は、このプールの活性化の温度を上昇させる仕組みとなっていくテーマであり、ITはその速度を加速させるコア技術だ。

知識流通のためのミームプールを、どう管理し、どう泳いでいくのかを今考える。それは、辛い人生を楽にすることでもあり、プロジェクトを成功させるということ、にもつながっている。情報管理(Information Management)はLifeManagementであり、Project Managementでもあり、人類共通のGlobal Issuesとして顕在化してきている時代なのだ。


短い昼休みが終わろうとしている。片手にハンバーガーを持ちながら、ずいぶん大仰な結論のコラムになってしまったな、と今気がついた。が、修正している時間はない。このまま編集部に私のミームを飛ばしてしまおう。

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2005年04月02日

複数のエクセルをまとめるExcelbooks into 1 Sheetと一括印刷のAllPrint

3月31日から4月4日まで米国シリコンバレーに出張中。YAHOO!本社などを訪問する予定。現地からレポートできたら書きますが、基本はストック原稿で、妻による代理更新モードです。

ExcelBooksは複数のエクセルファイルをひとつのシートにまとめるツール。この作業ってメールで個別回収するアンケート集計などでありがちであるが、手で行うと結構面倒である。このフリーソフトを使えば一発で複数のデータをひとつのシートへ統合できる。


・Excelbooks into 1 Sheet(Windows95/98/Me/ビジネス)
http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se318608.html
excelbooks01.jpg

もうひとつ連携できるツールもみつけた。AllPrintは複数の文書を連続印刷するためのツール。通常、Windowsではエクスプローラで複数ファイルを選択し、右クリックメニューの印刷を選べば、連続印刷は標準でできるようにはなっている。しかし、この標準機能では、複数のディレクトリのファイルを指定できないこと、印刷順番を保存して何度も実行するのが困難なことが問題だ。AllPrintを使うと一発で複雑な連続印刷が可能になる。

章ごとに異なるフォーマット(Word、Excel、PowerPointなど)で、別ファイルで書いたレポートの印刷に威力を発揮する。


・製品情報:AllPrint for .NET
http://www.nct9.ne.jp/comnet/kaisya/system/main-s.htm
AllPrint.JPG


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2005年04月01日

最終回:長い間ブログをご愛読に感謝。明日からメーリングリストに移行します。

エイプリルフールのネタでした。おつきあいありがとうございました

新年度が始まった。気持ちも新たに、新しい試みに取り組みたいと思っている。

敏感な読者は、ここのところ更新が停滞していたのに気がつかれていると思う。正直なことを言えば、飽きてきたのだ。最初は新しい情報発信形態だったブログも、100万件近いブログが乱立するようになった。この状況では、私自身が目新しさを感じなくなってきたのは事実だ。

また直接のきっかけは先日発表になったブログ大賞の入選に漏れたことだ。

・発表! 日本ブログ大賞2005 部門大賞
http://www.blogaward.jp/

ブログASP各社が連合して開催した輝かしい日本のブログアワードである。私はかなり入賞に自信を持っていたが、フタをあけてみると各賞にさえ、入ることが適わなかった。確かに受賞された方々のブログは素晴らしい。受賞者の皆さんには、心よりおめでとうございますとお祝いを申し上げたい。

数ヶ月前、ブログを続けるかどうかを悩んでいた頃、この開催の知らせがあり、この入賞を継続判断にしようと考えていたのだ。読者の皆さんに支持していただけるものと思っていただけに、ハシにも棒にもひっかからなかった惨敗結果で、ブログの終了の決断することにした。

ブログは更新を本日で終了させていただきます。今まで駄文を読んでいただいた方々、本当にありがとうございました。ブログを通してたくさんの出会いと機会がありました。私の人生にとって素晴らしい経験でした。

とはいっても、このブログには一ヶ月に20万ページビューのアクセスを頂ける様になっている。情報発信自体は今後も続けていきたいと思っている。そこで、私はかつてメーリングリスト運営に熱中していた経験があるのだが、そちらへ再度、発信形態を変えようと思っている。ブログのような一方向の発信よりも、全員参加型のコミュニティに未来を感じているからだ。

このアイデアを考えていたところ、YAHOO!JAPAN社より、橋本さん、そういう事情であればわが社のサービスを使ってくださいというお誘いを頂いた。検索会議でもお世話になったYAHOO!社さんが、私のために何か面白い仕掛けを作ってくれるようだ。

というわけで、明日からこのメーリングリストに移行する。

参加したい方は、双方向MLだということを認識した上で参加していただきたい。アドレスは下記にある。

・情熱未来メーリングリスト
http://groups.yahoo.co.jp/group/passionfuture/

それでは今までブログな私を応援してくださった皆さん、本当にありがとう。新しいメーリングリストで、できたらお目にかかりましょう。このブログは数ヶ月放置して様子をみながら完全終了にしたいと思います。

エイプリルフールのネタでした。おつきあいありがとうございました

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