Vine Linux 6.5 Beta 8 の感想など
スポンサーリンク
鮭という魚は生まれた川を遡上するらしいですね。
まあそういう訳で久しぶりにVine Linux のベータ版を試してみました。
6.x の商用版購入したのはかなり前で、インストールした仮想マシンのデータが破損して以来、綺麗に放置してました。
そもそもLaTeX使う訳でもないし、サブマシンのつもりだったMacBook Air が結果的にメインのマシンになっていますし。
ベータ版についての情報は以下より。
Vine Linux News - Vine Linux 6.5 beta8 (final予定) を公開
開発者向けのMLを見る限り、3月上旬にリリースされそうな雰囲気だけど、開発版のMLでメンテナのお一人が離脱を宣言しているように見える。ものすごく心配。
[VineSeed:028367] Vine Linux 6.5 リリーススケジュール
3月に6.5をリリースしたとして、7.xのリリースした後で6.x系もメンテするつもりなんだろうか。そんなリソースあるとは思えないので強引にでも7.xに移行して6.xはサポート終了の方が良かったのではないですかね。
インストールしてみる
手元に未使用のマシンはないのでVirtualBoxにインストール。
ベータ版の配布サイトからダウンロードして、VirtualBoxにインストールしてみます。
$ wget http://beta.vinelinux.org/65/Vine65b8-DVD-x86_64.iso
VirtualBox へのインストール
CPUはx86_64、メモリ1GB。あとはデフォルトのまま。"Other Linux 64bit"にしておけばいい。
“Install Vine Linux"を選択した状態で"Enter"。
従来どりのインストーラ。
日本語キーボードを選ぶぐらいでパーティション分割もインストーラのデフォルトのまま。管理者アカウントと一般ユーザーのアカウントを追加するぐらい。
インストール時のカテゴリは「デスクトップ」(うろ覚え)にしたと思います*1。
”Guest Additions” についてはVirtualBox側の"Insert Guest Additions CD Image"からすんなりインストールできた。
長所
- Ubuntuの標準デスクトップより軽い
- RPM向けの
apt
が使える - 初期状態で日本語フォントの表示が(非商用フォントにしては)綺麗
- 追加設定なしで日本語入力できる
- systemd ではなくsysvinit (?)
日本語入力まわりの設定とフォントの表示の設定がチューニング済みというのは大きいと思います。商用版からsudo apt-get dist-upgrade
すればデフォルトが商用フォントになるはずです*2。
全くの余談になりますが、他のディストリビューションの場合、日本語フォントの表示まわりはPlamo Linuxの設定ファイルを参考にするのも一つの方法。こっちもかなりチューニングされてるのと、各種パッケージが新しいので。
各種パッケージなど
デスクトップは従来通り。
日本語入力はiBus + mozc。最初からきっちり設定されている。
fcitx + mozc のような、英語配列用の設定を除去する作業は不要。
$ uname -a Linux localhost.localdomain 4.4.49-1vl6 #1 SMP Sat Feb 18 02:12:32 JST 2017 x86_64 x86_64 x86_64 GNU/Linux
- Ruby 1.8.7
- Python 2.6.6
- gcc 4.9.3
- Vim 7.4
- Emacs 23.3.1
- glibc 2.23
- LibreOffice 5.2
- Inkscape 0.48.5
- PHP 5.5.36
Ruby のバージョンを見て一瞬、インストールディスクを取り違えたかと思った。
$ cat /etc/vine-release Vine Linux 6.5 (Poupille)
Pythonはともかく、さすがにRubyは 2.x にして欲しいところ。なお、Pythonはpython3
パッケージが提供されているようです。
rbenv
なりDocker でどうにでもなるけどpyenv
と両方入れるとシェルの起動時にもたつくのでつらい。
とは思ったものの、apt search docker
してもDockerのパッケージがヒットしない?
ニューサイトにリリース告知が掲載された時に主要コンポーネントのバージョンを見てドン引きされそう……。
所感など
最初に遭遇したLinux (Vine Linux 2.1.5の頃)なのでなんだかんだで思い入れはあります。
アスキーのLinuxマガジンが健在だった頃ははかなりユーザーがいたはずなのですが、最近は検索してもサーバー構築事例を見かけなくなりました。
他のディストリビューションの日本語環境もかなり充実しているのと、サーバー用途なら特に日本語固有の問題は起きないから昔ほどの優位性はないように思います。
エラーメッセージでググった時にヒットするのは英語のページがほとんどで海外のユーザーの多い方ディストリビューションの方が困った時に圧倒的に楽……。
また、リリースサイクルが不安定なのはマーケティングの面からかなりマイナスだと思います。リリースのたびに雑誌やニュースサイトで取り上げられるFedoraやUbuntuと比較すると認知度が段違い。
新しいパッケージを試したいならArch Linux、安定志向ならDebian系、企業ユーザーならRHELかCentOSあたりが定番なので、何か特殊なニーズを掴まないと厳しい。
もう以前のように雑誌で特集が組まれたり解説本が発売される確率は低そうです。ちょっと寂しい感じがします。
まとめ
Vine Linux らしいというか、いつも通り手堅く仕上がっていると思います。Ubuntuの標準フレーバーより確実に軽快に動作します。
ただ、どうしても一般ユーザーへのアピールポイントに乏しいという印象です。Ubuntu の日本語Remixのような競合が存在する中であえてVine にするかと言われると厳しいと思いました。セキュリティ修正パッケージの提供が遅いという悪評が定着しているようなのでLANの外でサーバー用途に使うのは流石に不安。
元祖国産ディストリビューションとして頑張って欲しいとは思うけど、Plamo Linuxの方がセキュリティ修正パッケージの提供は頑張っているように見える。
早いところ 7.x のリリースして巻き返して欲しいと思います。
3月のOSC Tokyoに6.5が間に合うと(マーケティング的に)何かと都合が良いと思うんですが、どうなんでしょう。
それではまた。