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2008-12-01

「死んだ○○が喜ぶと思うのか!」「喜ぶんじゃね」

よくサスペンス漫画ドラマ

愛する大事な人を殺された復讐のために殺人をするとかそういう犯人に対して

「そんな事して、キミの愛する、死んだ○○が喜ぶと思うのか!」みたいに言ったりするけど

あの言い方が卑怯に感じる。

あの台詞正義側、つーか主人公側が言うとその時点でなんか白ける。

なんで白けるかっていうと、

24時間テレビとかを批判するときによく言われる、『「障害者天使障害者は心優しい」みたいなことにしてるけど、それこそ逆に差別的じゃないのか、障害者は心優しくないといけないのか、普通の人と同じく性格悪い奴だっているだろ』っていうアレと、多分同じ原理

「死んだ○○が喜ぶと思うのか!」っていうけど、喜ぶかもしれないじゃんw

まあそりゃさあ、死者の悪口とか言うのはよっぽどの事が無い限りよくないだろうけど、かといって必要以上に美化するのも結局上の障害者云々と同じなんじゃないかと思えてならない。自分を殺した相手を許せる死者ばかりじゃないだろ(って変な言い方だが)。自分を殺したんだからそりゃ殺し返してくれ!って思ってるかもしれないじゃん。というか、思うような人だったかもしれないじゃん。そんでもって、そういう人だとしても、別にいいじゃないの。

「死んだ○○が喜ぶと思うのか」って言い方はなんかセコい。犯人の、大事な人への思いを利用してるのがセコい。まあ殺人者にセコいも何もないかもしれないけど、物語正義側がそれをやって、いや、それをやること自体はいいんだけど、セコいことをやっているのにそれが「セコいこと」と物語中では描かれていない、寧ろ「正義オブ正義」みたいな真っ当なやり方的に描かれているのが嫌だ。

主人公側が、「犯人の大事な人への想いを利用して殺しを止めさせるぜ」とか最初から言ってるようなある種偽悪的な人なら、納得だけど、たいていピュア主人公ピュアなこと言った、みたいな描かれ方だから嫌悪感やセコさを感じる。

「死んだ○○が喜ぶと思うのか」ってのは疑問文の皮を被ってるけど、要するに「まさか、喜ぶわけないよね?だからもうやめようや」ってことなわけで、もうその時点で「死んだ○○が喜ぶかもしれない」って可能性は潰されてる。「死んだ○○が喜ぶと思うのか」に「結構喜ぶんじゃね?」って答えられない犯人の心境を思いっきり利用している。なぜ犯人が「喜ぶ」と言えないかといえば、(「死んだ○○が喜ぶと思うのか(まさか、キミの愛する○○は、そんな酷い人間じゃないだろう?)」には()内の前提が微妙に隠されているので、)ここで「喜ぶんじゃね」というと「○○はそんな人である」と認めてしまうことになるから。ただでさえ殺されてしまった愛する○○を、その敵討ちをするほどに愛していた犯人が自ら「うん、○○って結構そんな奴よ?マジな話」とか肯定できるわけがない、という心境を利用しているから嫌だ。なんか、救われねえ。さっきも言ったように、敵討ちと言ってもやはり所詮殺人犯なので、セコくてもこれ以上の殺人を止められるのなら現実的にはいいのだけど(まあないだろうが)、物語の中でそれをやって、その上それが「ピュア主人公によるピュアな説得」みたいに描かれるのが嫌だ。

だから寧ろここは「死んだ○○が喜ぶと思うのか!」「喜ぶとも!」「何だと!お前は○○のことをそんな人だと思っているのか!死者を侮辱する気か!」「ただの警官であるお前に○○の事が分かるのか?あいつは実に恨みがましい奴だった。あいつが買ってきたプリンを俺が食ってしまっただけで、1年間もそのことをひきずり、俺に何度もプリンを買わせたほど恨みがましい奴だった。俺はそんなところも含めて全部愛していたんだ!そんなアイツが、殺された今、俺はあいつの代わりに復讐を遂げてやらなくちゃいけないんだ!あいつはきっと俺が奴を殺すまでずっと恨んでいたはずだ。プリンですら1年も引き摺ったのだから、俺が殺してやらないとあいつはいつまでも成仏できないかもしれない。だから俺が殺すしかなかった。そこまで考えて俺は殺したんだ、お前はそこまで○○の事を考えた上の発言なのか?何も知らないくせに首つっこんでくるんじゃねーよ!警官ならさっさと俺を捕まえるだけにしろ!変な理想主義であいつを侮辱しているのはどっちだ。死刑なら死刑でいいからさっさと連行しろ」とか言いだす犯人が欲しいところ。

とかいう事を風呂の中で考えてオカンに言ったら、「あんたはそんなどーーでもいいことを考えてるからお嫁に行けないんよ…」って言われて、全てがどうでもよくなった。

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