旧陸軍青年将校らが首相官邸などを襲撃した「二・二六事件」の現場となった場所が、湯河原町宮上にある。元旅館で、現在は資料館になっている「光風荘」だ。昭和史に影を落とした歴史的事件から、間もなく76年。館内には事件の様子を物語る展示品が並ぶ一方、当時を知る人は少なくなってきており、地元のボランティア団体は「事件を風化させてはならない」との思いを強めている。 1936(昭和11)年2月26日早朝、老舗旅館の別館だった光風荘を陸軍大尉河野寿ら8人が急襲した。標的は、天皇に悪影響をもたらす「君側の奸(かん)」と見なされた前内大臣の牧野伸顕。銃撃戦の末、牧野の護衛警官が命を落とし、建物は火を放たれた。 全焼した光風荘は翌37年に再建され、東京の電機会社の保養所に。しかし、地元で「歴史遺産として守っていくべきだ」という声が高まり、2003年に町民有志が借り受ける形で資料館に生まれ変わった。 管理運