銀行などによる不動産業向け融資の拡大が続いています。日銀によると、今年度上期(4~9月)は、新規融資額が7兆706億円に達して、バブル経済の時期の新規融資額を抜きました。過熱する銀行の不動産関連融資の現状は? 金融業界を30年余にわたり取材してきた金融ジャーナリスト、浪川攻さんが報告します。 ◇信金と手を組んで不動産融資を加速させる関西系地銀 東京都の郊外で目立っているのが、ある地方銀行A銀行と信用金庫による提携ビジネスである。A銀行は関西地方を拠点とする典型的な地銀で、近年、首都圏における融資攻勢を強めてきた。そのほとんどが不動産関連融資である。もともと、首都圏に拠点があるわけでもない。そこで、東京の郊外を地盤とする信金と手を結んだ。 実際にどのような形で不動産関連融資が行われているのかを説明しよう。 信金の顧客のなかには、マンション建設に適した不動産の所有者がいる。まず、信金は