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「いま都内では、円安による輸入資材の高騰や人手不足、過熱する投資競争で適正価格から大きくかけ離れた不動産が乱立しています。一部のおカネ持ち向けに付加価値がつけられ、値段がいたずらにハネ上がっているような状態がいつまでも続くはずがない。私だったら、不動産には絶対手を出しません」
こう明かすのは、大手ゼネコンの幹部だ。
日本銀行・黒田東彦総裁の「異次元緩和」実施以来、上昇を続けている都心部の不動産価格。不動産経済研究所の調査によれば、4月の首都圏マンション平均価格は5305万円で、'80年代後半のバブル期と同等の水準にまで達している。昨年と比べてもマンション平均価格は1割近く上がり、高騰に歯止めがかからない状態だ。
だが、そんな「不動産バブル」が、実は今にも崩壊しようとしている。前出のゼネコン幹部が続ける。
「いまのマンション価格は、実態とのギャップがありすぎる。もう暴落するしか道は残されていません。投資目的だけではなく、住宅用にマンション購入を考えている人にとっても『買い』のタイミングではないですよ。もし住まいとしてマンションを買いたいのなら、じきに訪れる不動産バブル崩壊後、価格が下落した時点で購入するのが得策です」
そもそもこの不動産バブルは、中国人や台湾人など海外の投資家によって引き起こされている。彼らは都内の中央区や港区、さらには湾岸エリアなどに建設された高級マンションを投資対象として、競い合うように買い漁ってきた。その「爆買い」が、不動産価格の高騰を招いていたのだ。
「ここ1~2年の間に進行した円安で、中国人や台湾人の投資家からすれば、日本の不動産は非常に『おいしい』物件ばかりになっている。都内では、購入者の3割が中国人というマンションもあるといいます。