ブンゲイファイトクラブ出場作品の私の"感想"を書きます。 言葉がそのままの意味で実現してしまっている作品は好きだ。今作も比喩ではない蒸発が登場する。この奇妙さが自分は単純に好きで、なので今作もそこが面白いと感じた。最初、小学校高学年の女の子が男湯にいるというジャブもきちんとあって、期待の誘引->満足、という手順が踏まれているところも良かった。 それで、感想を書くにあたって読み直したところ、気になるポイントが四つ出てきた。 * 主人公の蒸発が、浅田の父親と違って比喩ではないということ。 * 蒸気になった主人公の口ぶりについて。 * 浅田の様子がおかしくなった原因について。 * 総体として、この作品はなんなのか? ## 主人公の蒸発が、浅田の父親と違って比喩ではないということ。 主人公の蒸発が強烈で、しかも何の説明もない。浅田の父親が行方不明であるという文脈もあるので「比喩がない。これが、この
「青紙」 竹花一乃 「俺たちはやさしい国に住んでいる。」という最後の一文が、この作品の隠れた価値観を示しているように思う。語り手は、「青紙」が生きる意味を与えてくれると信じている。また、国の権力や家父長制といった、一般的に古いとされている価値観を信じており、けれど信じきるには足りず、ついには裏切られる。 淡々と語るようで、最後に投げかけられる皮肉も、弱さをよく表している。つまり、「青紙」を提出することで未来の保証を得ようとし、それを許す国のやさしさに包まれていたいという願望を、ぼくは素朴だと感じた。 「浅田と下田」 阿部2 契約の不均衡、というどこで見たのか、本当にある言葉なのかすら覚えていない言葉を思い出した。言いたいのはこういうことだ。言った方は軽い気持ちだったかもしれないけれど、それを受けた方は案外重く受け止めているのかもしれない。 だから、ここで重要なのは、蒸発という語が語義
Aグループ 「青紙」竹花一乃 「寿命申告制」なるものが採用された世界の話。設定の妙はあると思うが、それよりも作者の、過度な表現が抑えられた、というのか淡々とした書きっぷりが作品世界の強度を高めていて、良い意味で色気を抑えた文章で好きだった。そこへ最後に差し込まれる「俺たち」という表現が残す不穏と余韻がまたすごくいい。バシッと決まった感じ。 「浅田と下田」阿部2 読み進めていく中に、ことごとくずれがあり、それが心地よい。私たちが思い浮かべるストーリー的なものを嘲笑うかのよう。タイプは違うがこれもまた竹花さんと同じくあっけらかんとした文章で好みだった。カーナビをどんどん無視して狭い道に入っていくような、そういう作り方なのかなと思った。到着したところも目的地とは全然違って、だけど景色がきれい。みたいな。著者の他の作品も読みたくなる。 「新しい生活」十波一 面白かった。「新しい日常の~」「あなたか
はじめに ブンゲイファイトクラブは原稿用紙6枚以内の文芸作品であれば形式を問わず応募可能、審査側も被審査側に審査されるという特徴的なゲームルールが採用されている。第1、2回では「小説」への偏りが懸念事項ではあるものの、その特徴的なゲームルールゆえに大会内で固有のだれの所有物でもない文学観が生じてしまうことに高い独創性を感じる。 「評価」とはざっくりいってしまえば任意の評価軸で張られた空間内での配置のことで、「批評」とはその空間構造への言及なのではないかとふと思うことがある。熱力学やら統計力学をかじっていた手前、構造なんてものは何らかのポテンシャルを設定してしまえば意図せずともなんらかのなにかが如何様にも生じてしまうものであると思い込んではいるけれど、ならば文芸の実践者がそこに介入できる余地はどれほどあるのか。ことばの連なりの操作、文芸表現という空間を張る評価軸、程度の判定、泣いた怒った笑っ
「[googleAnalyticsR]非負値行列因子分解を用いたユーザーと閲覧ページのクラスタリング(とレコメンド)」from 廿TT GAのディメンションにuserBucket というのがあるの知りませんでした。 userBucket: ユーザーを1から100のグループにランダムに振り分けたもので,...
久しぶりに数学を復習しようと思い立ちました。この記事はそのメモです。またLatexで数式を書くための練習です。第13回は確率分布と統計です。 たしか高校生の頃、この範囲はとても苦手で何を言っているのか全然わかっていませんでした。そしてその後もあまりちゃんと理解することもなく、ここまでやってきたんですね。でも機械学習とか深層学習をやろうとすると、なんだか必須らしいです… まあ、当時も形式的に使えればなんとかなったんですが、今回はせっかく復習するんだし、ちゃんと理解してみたいと思います。しかし統計学がこんなにも実用的なものだとは…もっと早く知っておくべきでした。 なお、統計学は最強の学問、だそうですね。面白そうな本をリスナーさんに教えてもらったので、今度読んでみたいと思います。いろいろと忙しいなぁ(笑) 復習時に頭を悩ませたのは下記です。 確率変数の1次式の平均 教科書の例題と、期待値の求め方
人はやがて死ぬ 統計学、科学哲学、その他分野など、勉強した内容の忘備録と売名を兼ねてブログ始めました。 ちょうどMCMC法を使って変曲点回帰を行っている。 変曲点回帰とは、通常の回帰モデルに 「ある点を境に、回帰パラメータ(傾きや切片)が変化する」 という仮定を加えてfittingを行うモデルである。 各種回帰パラメータに加えて、変曲点の位置も推定できる。 わかりやすい説明は、以下のページを参照されたい。 http://abrahamcow.hatenablog.com/entry/2015/09/08/172307 早速だが、事後分布の密度プロットを見てみよう。今回は各パラメータの事前分布に、非正則な一様分布を与えたので、この図は推定された尤度関数としてみることができる。5000回のwarm-upと20000回のサンプリングを行った結果、全てのパラメータが十分に収束した(Rhat<1.0
3D円グラフ撲滅委員会[1]の一員として、日夜、3D円グラフをこの世界から撲滅するために活動を続けております。 今回は、なぜ3D円グラフを使ってはいけないのか、そして、グラフとして円グラフは見やすいグラフなのかについて書かせていただきます。 また、3D円グラフと円グラフに関する記事やコメントが書かれたウェブサイトをご紹介いたします。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く