宮崎駿監督=郭允撮影「風立ちぬ」の堀越二郎 【石飛徳樹】宮崎駿監督の5年ぶりとなる長編アニメ映画「風立ちぬ」が20日から全国公開される。72歳になった巨匠が主題や技法など、随所で斬新な冒険を試みている。「アニメ作りに一種の方程式が出来てしまっている」との危機感からだ。 「今までの作品とは全然違うと思う。観客が主人公と一体感を持って見られるタイプじゃないですから」 堀越二郎は飛行機に憧れる男の子。東京の大学に進み、そこで関東大震災に遭う。卒業して軍需企業の技師となり、試行錯誤の末に「ゼロ戦」の開発に成功する。これを縦糸に、結核と闘う菜穂子との恋愛を横糸に、物語は紡がれる。 実在の人物を主人公にしたのはスタジオジブリの長編では初めてだ。 「二郎のことを僕が道楽でマンガにしていて、それをプロデューサーが映画にしないかと言ってきた。悩みましたね。自己主張をしない二郎は何を考えているか分か