マラリア予防の基本は、蚊に刺されないこと。でもそのための蚊帳を入手し、適切に使うことは必ずしも簡単ではありません。マラリアの発生が深刻なザンビアからの報告です。 診療所を受診したマラリアに罹患した少年=2023年2月8日、ザンビアのセントラル州ムアプラ村診療所で、上山敦司さん撮影(画像の一部にモザイクをかけています) 蚊に刺されないようにする。簡単に見えるマラリアの予防策が、国により、地域により、決して簡単ではないという現実がある。沖縄県の公立病院で主に感染症診療に従事する内科医で、認定NPO法人ロシナンテスの理事として、世界の国・地域で保健医療協力に取り組む高山義浩さんが今回はザンビアから報告する。 予防策の基本とは? ザンビアは、マラリアの発生率と死亡率が世界で最も高い20カ国の一つであり、世界のマラリア患者数の約2%を占めています。年間の感染者数は数百万人に及び、2020年の年間死亡