駅の階段を降りながら歩みを止めることなく嘔吐と口を拭う動作を繰り返すおじさんを見た。酒に酔ったおじさんは階段の端で壁の方を向いて嘔吐し右手に持ったハンカチで素早く口を拭う。その間まったく歩みを止めず、なめらかに、慣れた様子で階段を降りていく。後に残るのは吐瀉物に汚れた壁と手すり。 止まってしか嘔吐できない個体は外敵に襲われたとき逃げながら嘔吐できないために淘汰圧が働く。そのような進化的過程で人類は歩きながら嘔吐できるようになった。 一方でガラパゴス諸島では天敵となる生物がいなかったため、ガラパゴス諸島出身の人間は歩きながら嘔吐できる個体の方が稀である。これを見たダーウィンが進化論を閃き「種の起源」を著した。