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ドラクエ3
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※本記事は『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎、大澤真幸)の抜粋です。 日本人は、神様は多いほうがいいと考える ──大澤 とても基本的な質問なんですが、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も一神教で、神が一つであるということに対してものすごく強いこだわりがありますよね。 多くの日本人にとってそのあたりがいまひとつピンとこないと思うのですが、なぜ神がたくさんいてはいけないのか。「一」というのが別格的な意味を持つ感覚的な根拠──論理以前の感覚上の根拠──はどのあたりにあるのでしょう? 考えてみれば、神様はたくさんいるほうがふつうですよね。神様をたくさん持つ共同体のほうが、歴史的には、圧倒的に多かった。結果的には一神教の伝統を持つ社会が地球を席捲したので、神様は一人というのが一般的になりましたけど、もとをただせば、神様をたくさん持つ共同体がいくらでもあった。現に日本でもそうで、やたらと神様がいます。
近年、「男性の孤独」が世界中で話題になっているが、そのシワ寄せは女性にもきていると報じられている。 過去30年間で、男性の社会的なネットワークは女性に比べて大幅に縮小した。この変化により、多くの男性が精神的なサポートを、身近な女性にますます依存するようになっているという。 スタンフォード大学の新しい研究は、孤独な男性が増えるにつれ、「男性の孤立の負担を軽減し、感情的なニーズを満たすために、女性が引き受ける目に見えない感情労働」の負担が増えていると指摘している。 同研究の著者であるアンジェリカ・フェラーラとディラン・ベルガラは、この負担を「マンキーピング」と名付け、それが女性のメンタルヘルスや時間を圧迫している可能性を示唆している。 マンキーピングは、婚姻・恋愛関係にある女性だけに当てはまるわけではなく、友人関係や同僚、きょうだいなどにも起こり得ると、彼女たちは述べている。 これに当てはまれ
風力や太陽光発電より安定供給 テクノロジー企業の間で、AIなどの稼働に必要な「ゼロエミッション電力」の供給源として、原子力発電への関心が高まっている。 最近、マイクロソフトやグーグル、アマゾンが相次いで原子力発電事業者と契約を結んだ。企業向けにコンピューティングサービスを提供するデータセンターでの電力需要急増に対応するためだ。 電力需要の高まりの背景には、そうしたテクノロジー企業のAIに対する大規模な投資がある。AIは、ソーシャルメディアやビデオストリーミング、ウェブ検索などの従来技術と比べて、電力消費量がはるかに多いのだ。 マイクロソフトは9月、閉鎖中のスリーマイル島原子力発電所を再稼働させて電力供給を受ける契約を、電力大手コンステレーション・エナジーと結んだ。10月には、アマゾンとグーグルが次世代の原子力発電「小型モジュール炉(SMR)」の開発に投資することが明らかになった。 SMRは
ロボットと人間が友好関係を築くマンガ『ドラえもん』が生まれた日本は、他国と比べてAIに対する危機感が低いと英誌「エコノミスト」は指摘。日本人がAIの普及で恐れているのは失業や著作権侵害ではなく、もっと別な点にあると論じている。 AI(人工知能)と聞いて、米国人が思い浮かべるものは何だろう? 『ターミネーター』シリーズの恐ろしいサイボーグや、『2001年宇宙の旅』で乗員を排除しようと企んだコンピュータのHAL 9000だろうか。 では、日本人が思いつくものは? それは、お助けロボットのドラえもんだろう。IT業界の人間もこの猫型ロボットをこよなく愛する日本は、AIビジネスの可能性に満ちた国だと言える。 ドラえもんの存在は、日本人のAIに対する考え方についての示唆を与えてくれる。 AIを警戒している日本人は少ない。世界ではおよそ半数の人が、AI関連の製品・サービスに不安を感じており、特に米国では
近年、子どもの貧困や虐待・暴力が世界中で大きな関心事となっている。こうしたなか、国内外で子どもたちへの支援を続ける国際NGO「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は、東アフリカのウガンダで子ども自身や地域住民を主体にした活動をおこなっている。 11月20日の「世界子どもの日」に合わせ、同団体の現地駐在員である内藤優和に話を聞いた。 世界的なインフレや、長引く戦争、自然災害の激甚化などにより、多くの国が景気低迷や政情不安に陥っている。そうしたなかで最も苦しい状況に置かれるのは、社会的に弱い立場にある子どもたちだ。 ユニセフ(国連児童基金)によれば、極度の貧困層のなかで子ども(0~17歳)が占める割合は52.4%と、2013年から5.2%増加した。 貧困と子どもへの虐待は密接な関係にある。世界では16億人の子どもたちが家庭で暴力的な罰を受けており、そのうち3分の2以上は心身双方に被害
11月14日、フロリダにあるトランプの私邸で開催されたパーティーに姿を現したマット・ゲーツ(中央)と妻のジンジャー。夫妻と話しているのは、次期厚生長官に指名され、こちらも物議を醸しているロバート・ケネディ・ジュニア Photo by Saul Martinez for The Washington Post via Getty Images
トランプの大統領選勝利に貢献したイーロン・マスクだが、彼らのあいだにはちょっと気になる、大きな食い違いがある。それは、マスクは地球温暖化を信じているが、トランプはいまだにその科学的事実を嘘だと思っている点だ。環境問題において、マスクがトランプの意見に影響を与えることはあるのだろうか? 「環境派」「気候変動積極支持派」を自称してきたイーロン・マスクが次期米国大統領として熱心に支援した候補は、世界規模の気候変動を「インチキ」呼ばわりする男だった。 こうしていまではドナルド・トランプがホワイトハウス入りを控えているわけだが、ここでひとつ重大な疑問がある。気候変動とクリーンエネルギーに関するマスク自身の見解は、新政権にどれだけの影響力(があると仮定した場合だが)を及ぼすのだろうか? トランプは大統領選挙期間中、テスラの最高経営責任者(CEO)でビリオネアのマスクとの親交が深まるにつれて、電気自動車
それは「最もリスクが高い」行為だったはずだが…… かつてはトランプを公然と支持することを避けていた、ライフスタイル系のインフルエンサーたちが、トランプの最近の選挙勝利を受けてその立場を明確にするようになっている。 この変化は「2020年の大統領選のときとは大違いだ」と報じられている。 さまざまな種類のインフルエンサーのなかでも、特にウェルネスやライフスタイルといった、主に女性フォロワーの多いインフルエンサーたちは「フォロワーやブランドを遠ざけることを恐れ、自分の政治的見解について投稿するのには消極的かつ慎重だった」と、米サイト「ザ・カット」は述べている。 ところが、2024年はトランプの勝利がほぼ確定し始めた頃から、この分野の一部のインフルエンサーたちが、MAGA思想への共鳴を投稿し始めているという。
息子がまだよちよち歩きをしていた頃、彼はよく家の前の私道を走っては転ぶのを繰り返していた。そして、転んだ息子はいつも私の方を振り向いて、自分が怪我をしたかどうか確認しようとした。 そのとき私が心配そうな顔をしたり、ハッと息をのんだりすると、息子は声を出して泣きはじめる。しかし、私が平静を保っていると、そのまま立ち上がってまた走り出す。自分が息子の精神状態にそれほどまでに強い影響を与えられると知った、驚きの瞬間だった。 目の前にいるのは、靴紐の結び方やアルファベットの覚え方ばかりか、世界をどのように理解し、どのように感じるかまで私に頼っている人間なのだ。 それから数年後、息子が中学生になった頃に再び同じ学びを得ることになった。ある晩、宿題をしていた息子は、自分に意地悪をする同級生がいると打ち明けた。 それに対して私の本能は、「すぐに何とかしなければ」と動き出した。同級生の親にメールをしようか
孫の自己評価 2023年10月のとある夕方、東京湾が夕闇に包まれるころ、孫正義はソフトバンク本社内の自室にあるテーブルの上座に座っていた。ウラジーミル・プーチン大統領がクレムリンで使っているものと同じくらい、長い長い木製のテーブルだ。 小柄で、頭髪が後退した孫は、ジャケットとスラックスというカジュアルないでたちで、キャリアのどん底にあった時期を振り返っていた。ちょうど1年前、ソフトバンクグループ(以降ソフトバンクG)の決算説明会で挨拶に立ち、当分はプレゼンテーションをしないと公言したころだ。 「散々な人生ですよ」。そう訴える声には自らを哀れむトーンがにじんでいる。「ズームで通話していると、自分の顔が画面に映りますよね。それが嫌でね。醜いし、もう年だから……僕の業績ですか? 自慢できるようなことは何ひとつありません」 額面通りであれば、驚きだとしか言いようがない。当時66歳だった孫は、世界で
借金中毒な実態 孫の業績を評価する際には、通信事業会社を統括する上場企業「ソフトバンク」と、グループ企業を傘下に置く持株会社で大口投資事業を行う「ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)」を区別することが肝心だ。 検索サイトや無線通信サービス会社ソフトバンク(旧称ソフトバンクモバイル)といった事業は大成功し、儲けを出してきた。スプリント買収も、当初は失敗だと言われたが、Tモバイルとの合併で利益を出している。 とはいえ、孫がつねに関心を向けてきたのは、利益ではなく成長だ。ソフトバンクGはかねてから負債(レバレッジ)比率が高い。つまり、資本構成に占める負債の割合が大きいということだ。世界企業の借金ランキングで上位10位に入ることもあり、2021年にインフレが再燃して以降は苦しい立場に立たされている。 孫正義はソフトバンクGの大株主で、保有株を担保にしている。仮に、ソフトバンク株が急落して担保価値
集まった中国人の多さに、中国人もびっくり 東京に移住した中国人のなかには裕福な起業家も多く、不動産に投資するなどして、築いた資産を安全に守ろうとしている人もいる。 スイスの専門コンサルティング企業「ヘンリー・アンド・パートナーズ」が2024年7月に公表した報告書によると、2024年に国外移住をする計画がある中国人のうち、資産が100万ドル以上の人は1万5200人だ。前年比で10%の増加である。 このような富裕層は、国外に移住しても、中国国内にある自分の利害関係を維持できるように、目立たないようにすることが多い。だが、なかには、政治参加する中国人知識人のスポンサーになる人もいる。
初めてセックスをした相手は、その後の人生観を不可逆的に変えた人だった。深く愛されることの安心感を教えてくれた男性と、筆者は最後の会話を交わす。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 あなたが教えてくれたこと 私が処女を失ったのは、赤いハート型のバスタブとウォーターベッドが完備された、ニュージャージーにあるモーテルでのことだ。そこは世界で一番ロマンチックな場所に思えた。私が初めて信頼した男性、ジョニーと一緒だったから。 あれから33年後、ジャージー・ショアの小さなビーチタウンにある彼の家の玄関ポーチに座り、私たちはこうしてビールを飲みながら笑って泣いて、初体験を思い出している。 隣に座っているジョニーは車椅子に乗っていた。実際のところ、彼は笑ったり飲んだりすることはでき
東京で中国を学ぶ中国人たち 何足もの靴がドアの前に並んでいる。東京の都心にある地味なビルの小部屋の入り口で、40人ほどの客が用意されたスリッパに履き替えていた。 2024年8月25日、その一室では、東京大学の社会学教授の阿古智子が、中国の農村部のあちこちに足を運んだ20年間の経験を語っていた。生き生きした目のこの小柄な女性が、日本語訛りの強い中国語で、2000年代初めの中国の農村部の様子を語っていく。電気のない村もあれば、建設計画のために住居の移転を強いられた住民もいた。忘れられた少数民族や人権保護の活動家とも交流が多かったという。 話を聞きに来た人は、事情に通じていない門外漢ではない。客の多くは最近、日本の首都で暮らしはじめた中国人なのだ。 「こういう講演会は、いまの中国では絶対にできませんから本当に新鮮です」 30代の中国人男性が笑顔で語る。学生ビザを取得し、4ヵ月前から日本で暮らして
私たちは常日頃、ネガティブな情報に晒され、知らぬうちに不幸になっている。だからこそ、その負の根源を断ち切ってしまえば、不安に苛まれストレスに押しつぶされることなく生活できるのだという。その方法は意外と簡単。そこで記者が2週間、ネガティブな感情をデトックスすることに挑戦してみた。 ニュースをつけてみても、ネットフリックスを観てくつろごうとしても、現代社会が寄せる多くのメッセージはネガティブなものだ。重苦しさに対しては容易に免疫ができるので、絶え間ないその打撃が自分にどれほどの影響を及ぼしているか、あなたは気づいていないかもしれない。なぜなら人間の脳は、ネガティブなものに焦点を当てるよう生まれつき作られているからだ。それは、生存に結びついている。 「私たちの7つの主要な感情は、『怒り』『軽蔑』『恐れ』『嫌悪』『喜び』『悲しみ』そして『驚き』です」 そう話すのは、『ネガティブ・デトックス──ポジ
中国人が見出す日本の暮らしやすさ 日本の出入国在留管理庁によると、2023年時点の在日中国人総数は82万1838人。前年比で13%増えている。在留外国人を国別で見ると、中国人が最も多く、日本に暮らす外国人の4人に1人が中国人だ。 2019年にビザ取得の要件が緩和され、外国人が日本に在留しやすくなった背景には、日本の労働力不足がある。 カイシュエンはオーストラリアの大学の学位を持ち、キャリアもあったので、「高度人材」ビザを取得するのは簡単だった。そのようにビザを取得できない人は、語学学校に登録して学生ビザを取得し、日本語を勉強しながら仕事を探す。富裕層が取得する「経営・管理」ビザは、事業を起こすことが条件だ。 中国人が移住先に日本を選ぶもう一つの理由は、漢字だ。これは日本文化が中国の影響を受けてきたことの表れでもある。 「日本語をしゃべれなくても、交通機関で行き先がわからなくなることはありま
無臭の天然素材「塩」の香水をつくりたい。それが、2022年に亡くなった三宅一生が生前に残した最後の願いだった。そして2024年9月、その奇跡の香り「ル セルドゥ イッセイ」がお披露目された。ボトルデザインを担当した吉岡徳仁に、スペイン「エル・パイス」紙が話を聞いた。 現代デザイン界有数の鬼才、三宅一生は死ぬ前に明確な指示を残した──彼のこの世で最後のレガシーは、塩の香りを明らかにすることになるだろう、というものだ。 塩、すなわち化学用語で「塩化ナトリウム」と定義されるこの物質は、自然によって強烈な味を授けられたが、それと引き換えに、香りはぼんやりしていて捉えどころがない。 西欧文化の信仰とは反対に、日本ではテーブルにこぼれた少量の塩は吉兆とされる。また、塩は悪霊を除く助けになるともいわれている。三宅はこのエレメントのために、香りをつくりだすことにした。 これに似た挑戦は、遡ること30年前、
古代から変わらない人間の肉欲を掘り下げる考古学記者テリー・マデンホルムが、今回は古代ギリシャ・ローマ時代の「姦通」にスポットライトを当てる。イスラエル紙「ハアレツ」考古学欄で好評の最新記事を全訳でお届けする。 「愛人は快楽のため、女奴隷は身内の世話のためにあるが、妻は嫡子を産み、わが家族の忠実なる守り人となるためにある」──デモステネス、前4世紀 女には10種類ある、と言ったのは古代ギリシャの詩人アモルゴスのセモニデスだ。政治家・雄弁家デモステネスの数百年前(前7世紀頃)に生きたセモニデスは、女の種類の多くを家畜になぞらえた。 そのなかで唯一の良種で価値があるのは、蜜蜂女だった。蜜蜂はその勤勉な性分だけでなく、単為生殖することでも称賛されているからだとセモニデスは説明する(事実、蜜蜂は有性でも、いざとなればメスだけでも生殖できる)。 良妻はセックスに興味を抱くべからず──さもなければ、姦通
異なる領域を繋ぐ「プロデューサー」の必要性 磯貝 INGのように新しい投融資のシステムを作って、サステナビリティの問題を解決していく必要があります。そのためにはやはり「システミック投資」は欠かせないんです。 たとえばEVを普及させるうえで、EVの製造拠点だけに投資しても充電ステーションへの投資が遅れてしまってはシステムとして機能しない。だから、EVというシステムを動かすために、車体から充電設備まで同時多発的に投融資をするのが重要になります。金融業にとっても、システム全体が機能するようになれば貸し倒れもなくなるわけです。 INGがやっているのはまさに、システミック投資。気候変動が起きれば自分のビジネスモデルそのものが沈んでしまう。だから、既存の家のグリーン化、新築物件を建設する際のグリーン・ローン、エネルギー貧困にある人たちへの支援に至るまで、いくつものボタンを彼らは同時に押しています。 山
米国では何世代にもわたって、「若い有権者」は民主党を支える重要な存在だった。 だが「ずっと変わらない」と思われていたその構造が、ついに崩れた。 今回の大統領選では、若い男性の間で共和党候補のドナルド・トランプ前大統領への支持率が顕著に増加した。
ティム・クックCEOは新製品の開発に多額の投資をしているが… Photo: Justin Sullivan / Getty Images シリコンバレーでは“公然の秘密” アップルが自動運転EVの開発プロジェクトに終止符を打ったと、海外メディアが報じている。テスラに対抗すべく、10年前に開始したEVプロジェクト「タイタン」は、同社史上もっとも野心的な取り組みといわれていた。 正式な発表こそされていないものの、関係者が匿名を条件に語ったところによれば、アップルの経営幹部は2月27日の社内会議で、プロジェクトを中止し、開発メンバーは同社のAI部門に移る旨を伝えたという。 このニュースをいち早く報じた米誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」は、「アップルがこれだけ注目を集めるようなプロジェクトを棚上げすることは珍しい」と書く。一般向けに自社EVを公開することはなかったが、シリコンバレーでは公道で
※本記事は『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(内山節)の抜粋です。 鮮やかな窃盗の手口 キツネにだまされたという話には、いくつかのパターンがある。そのなかには特にだまされたというより、その能力に人間が敗北したといったほうがよいものもある。 キツネは自然の変化や人間の行動をよく知っている動物である。だから、たとえばこんな話がよくある。村人が山道を歩いていく。目的はマツタケ、マイタケといった「大物」の茸狩りで、弁当をもって朝から山に入った。こんなときに歩く山道は登山道のようによく整備されたものではなく、地元の人間にしかわからないような険しい道である。途中には岩をよじ登ったりしなければならない場所もある。 そういう所にさしかかると、人間はたいてい最初に弁当などの荷物を、手を伸ばして岩の上に置き、それから両腕を使って岩の上によじ登る。こういう場所でキツネは待っているのである。そうして人
カラスの群れがひっきりなしに襲いかかり、リーザ・ジョイスはバンクーバーの通りを叫びながら逃げ惑った。 カラスは急降下して彼女の頭に降りては飛び立つのを8回も繰り返したという。その7月の夜は、花火を見ようと何百人もの人がいたというのに、そのなかでなぜ自分が標的になったのだろうと、ジョイスは奇妙に思った。 「私は臆病ではありませんし、たいていの野生動物は怖くありません」という彼女だが、あの夏からカラスとの遭遇は増える一方で、それを避けるために通勤ルートを変更したという。「彼らは本当に無慈悲で、本当に恐ろしいんです」 カラスの怒りにおびえる人は、彼女以外にもたくさんいる。同じくバンクーバーに住むジム・オリリーという人物が運営するCrowTraxというウェブサイトには、8年前に開始して以来、市内でのカラスによる攻撃の報告が、実に8000件も寄せられている。緑の豊かなバンクーバーは、カラスが比較的多
薬で眠らせた妻を50人以上もの男にレイプさせ、その様子を夫が撮影していた──「マザン事件」として知られるフランスのこの事件の報道を受けて、戦慄した人は多いだろう。 「眠る女性を犯す」描写は、古くから世界中で繰り返されてきた。フィクションにおける同意なき性的行為を、いまこそ捉え直すべきかもしれない。 侵犯される女性の眠り 神話の世界で、神々はしばしば眠っている女性につけ入ろうとする。 眠りの神ヒュプノスはその力で眠りを誘い、ゼウスは白鳥に変身して意識を失ったレダを誘惑した。ディオニュソスは、テセウスによってナクソス島に置き去りにされたアリアドネが眠っているときに、その美しさに魅せられた。 あるいはメリュジーヌのような妖女たちにとって、眠りは無防備な状態を意味する。そして興味深いことに、ヒュプノスの兄弟は死の神タナトスだ。 対照的に、神話のなかの女性たちが男性の眠りを妨げることは許されない。
中国では古くから、結婚に大金をかける風習がある。 中国メディア「シックス・トーン」によれば、2020年、同国での平均的な結婚式の費用は17万4000元(約372万円)だった。これは共働きをする夫婦の平均月収の8.8倍にあたる。さらに、その費用は2023年までに33万元(約706万円)にまで上昇したという。 そこで中国のZ世代がおこなっているのが、伝統的なものからはかけ離れた結婚式だ。形式ばっていて費用のかさむ式はやめ、カラオケや火鍋レストラン、さらにはマクドナルドのようなファストフード店で愛を誓っている。 シックス・トーンによれば、こうした「型破りな結婚式」は中国で急速に広まっている。2024年3月の調査では、「15~24歳の中国人の80%が『ミニマリストな挙式』を支持していることが明らかになった」。
米大統領選ではトランプの言葉を報じる際に、メディアが「sanewashing」の罠に陥っていたことが問題視されている。このsanewashingとはどんな現象なのか? そして日本のメディアも政治報道で同様の「印象操作」をしていると、元NHK解説主幹でジャーナリストの池畑修平氏は指摘する。 記者たちの「通訳」が裏目に出たか いったい、なぜ──。米国ではドナルド・トランプ前大統領が再選されたこと、しかも事前の予想を裏切る大勝を収めることができた理由は何であったのか、分析と議論が続いている。 前回(2020年)の大統領選と比較すると、トランプが全米で大きく獲得票数を増やしたわけではなく、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領が得た票が前回のジョー・バイデン大統領の票をかなり下回ったのが実体だ。 つまり、民主党側が「負けた」のであり、同党とその支持者たちの議論はおのずと「犯人探し」の色合いが濃くなって
香港を拠点とする不動産大手やホテル運営企業が数年前から相次いで日本に進出し、ホテルの買収に力を入れているという。なぜ日本なのか、どれだけの利益を上げているのか──香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が取材した。 アジア太平洋で最大の不動産投資市場 日本は低金利環境のもと、観光地として人気が高まっていることから、2024年は国内のホテル投資が過去最高を記録する見通しだ。 香港と中国本土が景気減速に見舞われ、さらには中国と欧米間で地政学的リスクが高まるなか、香港を拠点とする投資家にとって日本のホテルは堅実な分散投資の機会を提供している。 不動産コンサルティングを手がけるジョーンズラングラサール(JLL)の推計によると、日本のホテルへの投資額は2024年に過去最高の6000億円に達するとみられている。JLLが関わったホテル取引は上半期時点ですでに3780億円相当に達し、前年同期比で64
飽くなきAI電力需要、巨大テックが急ぐクリーンエネ開発 ほんの数年前、巨大テック企業は二酸化炭素(CO2)排出量を削減すると約束した。だが、その後に人工知能(AI)ブームが世の中を席巻した。 大量のエネルギーが必要なAIデータセンターの建設ラッシュを受け、テック業界は気候変動を巡る約束をほごにする一方、電力企業と協力して新たなクリーンエネルギー源の開発を加速させている。 米ネバダ州では、グーグルが公益企業と手を組み、地熱エネルギーによる電力を購入する取り組みを進める。ノースカロライナ、サウスカロライナ両州では、グーグルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトが電力大手デューク・エナジーと協力し、小型原子炉などの技術開発を促進する契約を結んでいる。
妻が金融業界でキャリアの階段を上る一方、家庭を守る男性たち ウォール街で幹部として働く女性を影で支える「専業主夫」が増加 決済ネットワーク大手ビザの幹部を務めるナタリー・ハイチ・ケリーさんと専業主夫のチップ・ケリーさん Photo: Emli Bendixen for WSJ (2) ウォール街の女性幹部支える「専業主夫」増加 プライベートエクイティ(PE)投資会社EQTの幹部、スザンヌ・ドノホーさんは9月に入り、アジアと欧州を訪れる10日間の出張に出た。ニューヨーク州の自宅では、10代の子ども3人の新学期の準備を夫のマット・ドノホーさんが手伝っていた。 それは簡単な仕事ではなかった。子どもたちは年齢が近いとはいえ、それぞれ別の学校に通い、課外活動も異なる。マットさんは13歳の子どもをニュージャージー州のホッケーの練習のために車で送り、3人全員をボストンの大会に連れて行った。その合間に、食
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