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ブラックフライデー
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2024年11月20日、1本のバナナが9億円以上の価格で落札されたニュースに、世界中が驚いた。だが、おそらく誰よりも驚いたのは、そのバナナを約50円で売った売店の売り子だろう。オークションハウスの目の前の売店でバナナを売る、バングラデシュ出身の74歳。ルームシェアをして暮らし、1日12時間働く。「アート界の不条理」をからかう回りくどい作品よりも、その男性の語るストレートな言葉に、世界の不条理を感じざるを得ない。 米ニューヨーク、マンハッタンのフルーツスタンドで働く、シャー・アラム(74)。彼はバナナを1本35セント(約53円)、4本なら1ドル(約150円)で売る。彼の店は、米大手オークションハウス「サザビーズ」の前にある。建物の中では、芸術品が数百万ドルでやりとりされている。 2024年11月20日、アラムが売った1本のバナナが、そのすぐ後、芸術作品の一部としてオークションにかけられ、62
円安とコロナ禍明けを受け、拡大を続けるインバウンド市場。今後の課題とされるのが「富裕層の取り込み」だ。日本文化への関心が高いと言われる欧米・オーストラリアの富裕層は、日本に何を求め、どんな背景から訪日するのか。インバウンドコンサルティングや旅行事業を手掛けるBOJ社CEOの野口貴裕から話を聞いた。 多様化するニーズ、目的地は地方へ ──欧米とオーストラリア人富裕層の訪日旅行は、どのように変化していますか? 野口 当社では、旅行で1人1日1500ドル(約22万円)以上を支出する方を「富裕層」として定義し、うち、欧米およびオーストラリアからの訪日観光客を主要なターゲットとしています。 コロナ禍前は子育てを終えた60~70代のご夫婦のお客様がメインでした。しかし、コロナ禍が明けてからは子や孫といった親族を巻き込んだ複数人での旅行が多くなりました。また、以前は東京・京都といった大都市のみの旅行が大
衝撃の結果 11月24日におこなわれたルーマニアの大統領選挙。24日深夜から25日未明にかけてテレビの開票速報番組に出演していたコメンテーターたちは、口々に「まったくの驚きだ」、「まるで地震」、「心臓発作にでもなったかのようなショックだ」と発言した。 彼らが驚いていたのは、事前の世論調査では有力候補としてまったく浮上せず、政党や組織に所属せず、本格的な選挙運動をおこなったこともなかった候補者が、約23%の票を獲得し、第1位として決選投票に進んだからだ。 対して、事前の世論調査で最有力とされていた現職首相は3位になり、決選投票に進む資格さえ得られなかった。 TikTokのカリスマ 第一回投票を制したカリン・ジョルジェスク(62)は、右翼過激派でキリスト教正教原理主義者として知られる。また、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を「祖国を愛する人」と称賛し、ウクライナへの支援の停止、EUやNAT
ピカソやマティス、モディリアーニなど、数々の若き才能を誰よりも早く見抜いた美術商、ベルト・ヴェイル。歴史の陰に埋もれ、忘れ去られてきた彼女の人生と功績に、いま、やっと光が当てられはじめている。 「絵画の蒐集は株を買うのとは違う」──パリの美術商ベルト・ヴェイルは、1933年に出版した回想録でそう説いた。彼女は、当時の駆け出し美術コレクターたちが、彼女が契約した新進芸術家の作品の価値が上がるかどうかばかり気にかけていると嘆いていた。「あいにくこの手の輩は、自分の目に自信もなければ忍耐強さもない」と書いている。 ヴェイルは、美術に真剣に向き合っていないと判断した顧客は相手にしなかったが、後に蒐集家として名を残したガートルード・スタインとその兄たちのような買い手には大胆な買い物を勧めた。彼らは、1901年に彼女が開いた「B・ヴェイル画廊」の常連だった。当時のパリには、若い芸術家を専門に扱う画廊は
難問を解けずに行き詰まったら、どう突破口を見いだせばよいのだろう。とりあえず寝るべしと豪語した偉人たちもいる。しかしそれは科学的に有意義なことなのか? そうした睡眠の効果を検証した最新の研究を、英国の心理学者が紹介する。 「夜に解くには難しい問題も、睡眠委員会が取り組んでくれた翌朝に解決しているという経験はよくある」と言ったのは、作家のジョン・スタインベックだ。 ほかにも多くの人が、夢のなかで突破口や革新的なアイデアを思いついたと主張してきた。こうした言い分が現代科学によって裏づけられていることが、近年の睡眠の科学研究から示されている。 2024年のある研究で示されたのは、睡眠のおかげでわれわれはより合理的で、充分な情報に基づいた判断ができ、紛らわしい第一印象に惑わされずに済むということだ。 米デューク大学の研究者たちが実施したこの実験で、ガレージセールのバーチャルゲームに参加した被験者た
加工食品まみれの生活 米国のドナルド・トランプ次期大統領の「偏食ぶり」は有名で、厚生長官に指名されたロバート・F・ケネディ・ジュニアが「彼の食べているものは、本当に悪いものだ」とコメントしたことは国内外で報じられている。 では、実際にトランプの食生活はどれぐらい身体に悪いのか? 自らの身体で実験をしたのが英紙「テレグラフ」の記者ギャレス・デイビスだ。彼は1週間、トランプと同じような食生活を真似したのだが、そのなかで不快な症状の数々を体験したと明かしている。 デイビスが実践した「トランプ流の食生活」は次のとおりだ。 1日のメニュー 朝食:何も食べない 昼食:何も食べない 夕食:マクドナルド、ケンタッキー・フライドチキン、またはよく焼いたステーキ 間食:ドリトスとダイエット・コーラ12本。たまに、ミートローフ・サンドイッチ トランプは基本的に朝食をとらない。もしとるとしてもベーコンと目玉焼きだ
突然の暴力 男たちはブッシュナイフを振り回してやって来た。前の晩に亡くなった赤ちゃんの復讐をしようと思ったのだ。彼らは、赤ちゃんが呪術によって殺されたと言った。そして前日の朝、たまたまこの赤ちゃんに会った33歳のコライという女性が犯人だと主張した。 彼女はパプアニューギニアの首都、ポートモレスビー郊外にある自宅から引きずり出された。男たちは彼女の両手の骨を折って棒に縛り付け、熱い金属の棒で背中と腹を焼いた。彼女がいまも生きていられるのは、息子が警察に通報したおかげだ。 「彼は私の命を救ってくれました」とコライは言う。彼女が襲われたのは2023年6月のことだが、皮膚にはまだ傷痕が残っており、片方の手は骨がうまくつながっておらず、デコボコしている。 「私は赤ちゃんを殺していません。呪術師が何なのかさえ知りません」 「煙」が犯人を決めることも パプアニューギニアでは現在、彼女のような被害が頻発し
TSMC新工場に沸く熊本県美里町で見た実態 30年にわたって経済が停滞してきた日本が復活しそうな兆しが、もっともよく見て取れる場所がある。それは、かつてキャベツ畑が広がっていた九州の熊本県だ。 熊本県の農村部に新しく完成した半導体工場の周辺では、アパートやホテル、自動車販売店の建設が続々と進んでいる。九州から海を渡れば、中国や台湾、韓国はすぐそこだ。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場が2024年2月に開所し、そのすぐ近くでは第2工場の建設も予定されている。 この一帯にはサプライヤーと関連事業が続々と進出し、需要が生まれて賃金と地価が急上昇中だ。雇用創出を受けて、人口も急増している。 とはいえ、工場から車で1時間足らずのところにある美里町には、経済危機が目に見えて明らかな見慣れた景色が広がっている。かつては活気に満ちていた商店街はいま、店舗が閉店してシャッター
【今回のお悩み】 「怒ることが苦手です。そのせいで周りからナメられている気がします」 怒るという行為には、エネルギーを必要とします。ことを荒立てたくないので怒らないという人は、穏やかに見える一方で、周囲から「この人には何をしても大丈夫」と、軽く見られてしまうこともあるかもしれません。そのバランスをどうやってとったらいいのでしょうか? アドラー心理学に詳しい岸見一郎先生に聞いてみました。 怒ることが苦手であることと、周りの人からなめられることには関係がありません。周りの人になめられていると感じるのは、自分がしてほしくないことや間違った行動をする人に対して、「やめて」ときちんと伝えられていないからです。 しかし、伝えるときに怒る必要はありません。「この人は怒らないので何をしても大丈夫」と思っている人に怒ったところで、「この人も怒るんだ」と思われるだけで、そのような人の態度は何も変わらないでしょ
英雄化する「裕福な技術者」 ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、イーロン・マスクといったテクノロジー業界の大富豪たちは、人類史上でも屈指の富裕層であるだけでなく、社会、文化、政治の面で非常に大きな影響力を持つ。さらに、これらの億万長者の多くが主要なソーシャルメディアを支配しているという事実を加えると、その影響力は近年の歴史においてほぼ比類がないものとなる。 現代の「富」への執着を生む主な要因の一つがアイン・ランドの小説『肩をすくめるアトラス』(アトランティス)である。その主人公ジョン・ガルトは、理想主義と意志の力によって資本主義の再構築を目指す象徴的な存在だ。 ランドの小説は、シリコンバレーの起業家やリバタリアン寄りの政治家たちのあいだで長らく支持されてきたが、それだけではない。 ブルース・ウェイン(バットマン)やトニー・スターク(アイアンマン)、テレビシリーズ『サルベーション』のダリウ
「雑談より静寂をくれ」? 「雑談不要でお願いします」 「スモールトーク」が文化として根付いている米国でも、とにかく静かに、会話をせずにサービスを受けたい人たちが増えている。 こうした変化を受けて、美容院や配車サービス、マッサージなど、以前はちょっとした世間話や雑談をするのが常だった場所で、予約の時点で雑談不要を指定できる「サイレントサービス」を提供するところが増えている。 ノースカロライナ州にある美容院「サンデーサロン」では、雑談をしない「サイレントカット」というサービスをパンデミック中の2021年から提供しはじめたという。
素人支配の専制政治が起こす悲劇 大工仕事に関する専門知識が豊富なのは、腕の良い熟練の大工かヘッジファンドの億万長者か。通常なら前者を選ぶように思えるが、富が地位をもたらす社会では大工仕事に関する議論においてさえ、ヘッジファンドの億万長者の意見が重視されるようになるかもしれない。
あなたは楽しい夢を見ている最中です。ひょっとしたら空を飛んでいる夢かもしれません。ぐんぐん上昇していくと、そこにワシがいました。あなたを見つけたワシは、口を大きく開けて──と、ここで目覚ましアラームのビービー鳴る音。 夢はここまで。起きる時間です。誰しも経験があることでしょう。私たちは親などほかの人に起こされるより、自分で起きたほうが、頭が冴えているものです。 私は人間の脳を研究する神経学者です。とくに、寝ているときに脳に何が起きているのかを研究しています。また、お子さんに良い睡眠習慣を身につけてもらうため、保護者に研究に参加してもらう場合もあります。
トランプのフロリダの邸宅に住み込み、政策や人事にも口を出しているイーロン・マスクが話題だが、もっとすごい側近がいると、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。トランプのそばから離れないナタリー・ハープが担う役割とは──。 トランプが口述して、彼女がSNS投稿 米国のドナルド・トランプ次期大統領はいつも側近たちに忠誠を求めてきたが、ナタリー・ハープほど完璧に応えた者はいないだろう。 ハープは極右系ケーブル局の元キャスターで、現在33歳。ほぼ常にトランプのそばにいる。トランプがゴルフをしているときも、彼のカートの後を走ってついていき、ポジティブなニュースを伝えたり、ソーシャルメディアへの投稿をアップデートしたりする。 そんなハープの存在はトランプの周辺以外ではほとんど知られていない。だが彼女はトランプがホワイトハウスに戻った際に、大統領に影響力のある役割を担う構えだ。大統領執務室のすぐ外に
日本でおにぎり専門店が人気を博すなか、欧州やオーストラリアにも「おにぎりブーム」が到来しているという。日本人にも負けない外国人の「おにぎり愛」を英紙が取材した。 本場の味を求めて東京へ まだ午前10時前だというのに、「おにぎり ぼんご」の外には長い行列ができていた。先頭の30人ほどはスツールに座り、お茶を飲みながらラミネート加工されたメニューをじっくり見ている。その後ろに並んでいる人たちは立ったままだ。 「いつもこんな感じです」と、東京・大塚でこの小さなおにぎり専門店を50年近く営んできた店主の右近由美子(72)は言う。 1960年に右近の夫が創業した「ぼんご」は現在、1日に最高で約1500個のおにぎりを売り上げる。客は地元の常連をはじめ、日本全国から訪れる好奇心旺盛なグルメたち、そして近年増えているのが、世界的なおにぎりブームに乗って本場の味を求めてやってくる海外からの観光客だ。 「ぼん
オーストラリア政府が子供のSNS利用を禁止するというが、デマや陰謀論が渦巻くデジタル空間の影響をより強く受けているのは、大人のほうかもしれない。それは米大統領選や兵庫県知事選の結果からもわかるだろう。 選挙におけるSNSの影響力と、それを助長した日本のマスコミの「チグハグな選挙報道」について、元NHK解説主幹でジャーナリストの池畑修平氏が考察する。 「端末から離れた子供たちを見たい」 11月21日、オーストラリア政府は16歳未満の子供がSNSを利用することを禁止する法案を議会に提出した。デジタル空間での性的被害やいじめなどを食い止めることが目的だ。 違反した子供や保護者を処罰するのではなく、SNSを運営するプラットフォーム企業に16歳未満のアクセスを止めるための措置を求めるもので、対応しない企業には最大で4950万豪ドル(約50億円)の罰金を科す。最大野党も賛成の立場なので成立する公算が高
「私が彼女をどれだけ愛しているか訴えても、社会に理解してもらえないと思っていた」 72歳のサワべ・ヒトミは地元・静岡の保守的な高校に通っていた頃、同性愛は麻疹のように治療できるものだと教えられていた。女性に対する愛情は、サワベにとって病気とは違う感覚だった。しかし彼女は、家族に自分の性的指向について語ることを恐れていた。 当時の日本では、レズビアンにはポルノ的なレッテルが貼られていた。サワベは当時のパートナーと米国を旅行した際、「自由なジェンダーでいられる」コミュニティを見つけた。それをきっかけに、サワベは帰国してから自身のセクシュアリティについて執筆を始めた。
2024年10月の総選挙では、過去最多の女性衆議院議員が誕生することとなった。そのうちの一人である岡田華子は、青森県初の女性衆議院議員となったばかりか、この地で40年近く議席を維持し、「木村王国」とも呼ばれる木村一族の牙城を崩して、青森3区初の自民党以外の当選者となった。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が今回の選挙を受け、日本の女性議員を取り巻く現状を取材している。 勝つ可能性は「ほとんどゼロ」 2023年の夏、東京の弁護士で2人の幼い子供の母親でもある岡田華子(44)は、幼少期を過ごした青森県の田舎から衆議院選挙に出馬する計画を立てはじめた。彼女が相談したほぼ全員が、勝てる可能性はゼロに近いと言った。 彼女は立憲民主党の候補者として、1955年以来、4年間を除いて政権を運営してきた自民党の現職、木村次郎と戦うことになった。木村の祖父、父、兄はみな、青森県の選挙区で当選し、衆議院議員を務めた
ピーター・ローリンソン氏率いるルーシッドは、9万ドル(約1400万円)の新型電動SUVの受注を開始している Photo: Helynn Ospina for WSJ 「安価な米国製EV」の夢、はかなく散るのか 米国のドライバーに2万5000ドル(約390万円)の電気自動車(EV)を提供するという夢がピンチに陥っている。 米実業家イーロン・マスク氏はこれを断念した。ドナルド・トランプ次期米大統領が支援する見込みはなさそうだ。さらに、米自動車業界が置かれた経済状況もその夢を後押しするものではない。 カギとなる問題は何か。米国では安価な新車をもはや販売していないことだ。
「生きがい」という言葉が、近年ますます世界で注目されています。この日本の価値観について海外の人から質問されたとき、わかりやすく説明できるようにしておきたいものです。脳科学者で『IKIGAI』の著者である茂木健一郎先生が解説します。 失われた30年のなか、経済がすっかり停滞しているように見える日本。日本人は自信を失っていますが、その一方で、日本の文化に対する世界の注目は高まっています。アニメや漫画、日本の食、武道、サムライやニンジャといった日本の象徴に対する海外からの熱視線は高まるばかりです。日本文化への関心という視点からみれば、むしろ日本は文字通り「日の昇る国」になりつつあるのです。 せっかく注目されているのに、肝心の日本人が自分のことを知らないのはもったいないといえます。とりわけ、海外に留学したり、仕事で駐在したりする前には、日本に関心を持つ人たちに日本のことをある程度説明できるようにし
Text by River Akira Davis and Hisako Ueno Photographs by Noriko Hayashi 日本米の代表格であるコシヒカリが、いま危機に瀕している。予想を上回る気温上昇のスピードに対応すべく、いま研究者たちは、極端な暑熱に耐えられるDNAをコシヒカリに組み込むべく、全力で取り組んでいる。 日本では、国内で最も人気の高いコメ品種が気候変動により大きなダメージを受けている。そしていま、日本の科学者はその品種を救うため、限られた時間と闘っている。山地の多い新潟県は、日本のコメ生産の中心地だ。同県の農業研究所の科学者チームはこのほど、コメのDNA配列から一部のコメ品種に高温耐性を与えるDNAパターンを特定した。 現在、彼らはこの遺伝子パターンを「コシヒカリ」へ移植する道を探っている。コシヒカリは40年以上、日本国内のスーパーマーケットに流通するコ
北朝鮮──金一家の伝説 東の独裁者の娘が11歳かそこらで、すでに肖像写真が切手になって発行されているのは、その辺りの理由と関係しているのだろう。父親に似てぽっちゃりとした顔の金主愛が将来、北朝鮮の指導者として4人目の金になるのだろうか。 金主愛は2022年11月、初めて公の場に顔を出し、父親とともに新型ミサイルに見とれる姿で注目された。北朝鮮の国営メディアは「尊敬するお子様」と呼んだが、この「尊敬する」という形容句は、体制の重要人物にしか使われない語句だ。
時間管理の指南書をいろいろ読んで試してみたが、結局上手く行かなかったという経験はあるだろうか。そういう人はどうすればいいのか? 世界的ベストセラー『限りある時間の使い方』の著者オリバー・バークマンに、英紙「タイムズ」が聞く。 もしあなたが私みたいに、客を家に招く前に慌てて掃除をはじめるタイプの人であれば、オリバー・バークマンからメッセージがある。 「自分に問いかけてみてください。いったいどうしたわけで、訪問客に見せ物を披露しようとしているのかと──。演じるのが大好きな人もいて、それはそれでいいんです。でも、あなたの実際の暮らしぶりに人を招き入れるとき立ち現れる、リアルなつながりというものがあると思います。 友人宅が散らかっているとしても、私は気を悪くしないどころか、光栄にさえ思います。私がその実生活を見るのをよしとしてくれているわけですから。自分の欠点を隠すよりも認めるほうが、はるかに力強
サダム・フセインがイラクの支配者になった1979年、フセインの二人の息子、ウダイとクサイはまだ思春期の少年だった。だが、この頃からすでに二人は、「独裁者とは何たるか」をすっかりわかっていたようだ。二人のもとで働く人々はいつも怯えていた。二人が、人を地面に組み伏せて、足の裏を棒で叩く「ファラカ」という拷問にも通じていたからだ。 兄弟の趣味は、酒とドラッグと女だった。人目をはばからずに盗みもした。黄金のシーシャが気に入ったら、その持ち主がクウェートの首長でもお構いなしだった。二人が暮らす宮殿にはプールとスポーツジムとディスコ、そして動物園があり、子ライオン5頭、チーター2匹、クマ1頭がいた。日が暮れれば、高級車で夜のドライブに繰り出す。 サダム・フセインの圧政は2003年まで続いた。二人息子が父親から学んだのは、何といっても人の殺し方だった。父親の命令のもと、少年時代から処刑に立ち会わなければ
※本記事は『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎、大澤真幸)の抜粋です。 日本人は、神様は多いほうがいいと考える ──大澤 とても基本的な質問なんですが、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も一神教で、神が一つであるということに対してものすごく強いこだわりがありますよね。 多くの日本人にとってそのあたりがいまひとつピンとこないと思うのですが、なぜ神がたくさんいてはいけないのか。「一」というのが別格的な意味を持つ感覚的な根拠──論理以前の感覚上の根拠──はどのあたりにあるのでしょう? 考えてみれば、神様はたくさんいるほうがふつうですよね。神様をたくさん持つ共同体のほうが、歴史的には、圧倒的に多かった。結果的には一神教の伝統を持つ社会が地球を席捲したので、神様は一人というのが一般的になりましたけど、もとをただせば、神様をたくさん持つ共同体がいくらでもあった。現に日本でもそうで、やたらと神様がいます。
近年、「男性の孤独」が世界中で話題になっているが、そのシワ寄せは女性にもきていると報じられている。 過去30年間で、男性の社会的なネットワークは女性に比べて大幅に縮小した。この変化により、多くの男性が精神的なサポートを、身近な女性にますます依存するようになっているという。 スタンフォード大学の新しい研究は、孤独な男性が増えるにつれ、「男性の孤立の負担を軽減し、感情的なニーズを満たすために、女性が引き受ける目に見えない感情労働」の負担が増えていると指摘している。 同研究の著者であるアンジェリカ・フェラーラとディラン・ベルガラは、この負担を「マンキーピング」と名付け、それが女性のメンタルヘルスや時間を圧迫している可能性を示唆している。 マンキーピングは、婚姻・恋愛関係にある女性だけに当てはまるわけではなく、友人関係や同僚、きょうだいなどにも起こり得ると、彼女たちは述べている。
風力や太陽光発電より安定供給 テクノロジー企業の間で、AIなどの稼働に必要な「ゼロエミッション電力」の供給源として、原子力発電への関心が高まっている。 最近、マイクロソフトやグーグル、アマゾンが相次いで原子力発電事業者と契約を結んだ。企業向けにコンピューティングサービスを提供するデータセンターでの電力需要急増に対応するためだ。 電力需要の高まりの背景には、そうしたテクノロジー企業のAIに対する大規模な投資がある。AIは、ソーシャルメディアやビデオストリーミング、ウェブ検索などの従来技術と比べて、電力消費量がはるかに多いのだ。 マイクロソフトは9月、閉鎖中のスリーマイル島原子力発電所を再稼働させて電力供給を受ける契約を、電力大手コンステレーション・エナジーと結んだ。10月には、アマゾンとグーグルが次世代の原子力発電「小型モジュール炉(SMR)」の開発に投資することが明らかになった。 SMRは
ロボットと人間が友好関係を築くマンガ『ドラえもん』が生まれた日本は、他国と比べてAIに対する危機感が低いと英誌「エコノミスト」は指摘。日本人がAIの普及で恐れているのは失業や著作権侵害ではなく、もっと別な点にあると論じている。 AI(人工知能)と聞いて、米国人が思い浮かべるものは何だろう? 『ターミネーター』シリーズの恐ろしいサイボーグや、『2001年宇宙の旅』で乗員を排除しようと企んだコンピュータのHAL 9000だろうか。 では、日本人が思いつくものは? それは、お助けロボットのドラえもんだろう。IT業界の人間もこの猫型ロボットをこよなく愛する日本は、AIビジネスの可能性に満ちた国だと言える。 ドラえもんの存在は、日本人のAIに対する考え方についての示唆を与えてくれる。 AIを警戒している日本人は少ない。世界ではおよそ半数の人が、AI関連の製品・サービスに不安を感じており、特に米国では
近年、子どもの貧困や虐待・暴力が世界中で大きな関心事となっている。こうしたなか、国内外で子どもたちへの支援を続ける国際NGO「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は、東アフリカのウガンダで子ども自身や地域住民を主体にした活動をおこなっている。 11月20日の「世界子どもの日」に合わせ、同団体の現地駐在員である内藤優和に話を聞いた。 世界的なインフレや、長引く戦争、自然災害の激甚化などにより、多くの国が景気低迷や政情不安に陥っている。そうしたなかで最も苦しい状況に置かれるのは、社会的に弱い立場にある子どもたちだ。 ユニセフ(国連児童基金)によれば、極度の貧困層のなかで子ども(0~17歳)が占める割合は52.4%と、2013年から5.2%増加した。 貧困と子どもへの虐待は密接な関係にある。世界では16億人の子どもたちが家庭で暴力的な罰を受けており、そのうち3分の2以上は心身双方に被害
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