三国志演義には何種類もの版本があり、吉川英治(よしかわえいじ)さんの小説『三国志』や横山光輝(よこやまみつてる)さんの漫画「三国志」のもとになったのは李卓吾(りたくご)本と呼ばれる版本です。李卓吾本では、馬岱(ばたい)が諸葛亮(しょかつりょう)の指示によって同僚の魏延(ぎえん)を谷に閉じ込めたり、司令部の指示を聞かず単独行動をとる魏延に従うと見せかけながら魏延に貼り付いて隙に乗じて魏延を殺したりと、汚れ仕事を担わされています。 その過程で馬岱は官位を奪われ杖刑四十を食らうというひどい目にも遭っています。物語的に見れば、諸葛亮が国家の害になると考えていた魏延を粛清するために馬岱が身を粉にして働いた美談のように見えますが、馬岱本人の立場としてはどういう気持ちだったのでしょうか。 監修者 kawauso 編集長(石原 昌光) 「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活か