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今年の「#文学」
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ニューロン(赤)のまわりに形成されるアミロイド斑(黄色)を描いたイラスト。アミロイド斑はアルツハイマー病に重要な役割を果たしていると考えられている。2024年には、アルツハイマー病を90%の精度で判定できる血液検査が開発された。(ILLUSTRATION BY THOM LEACH, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 2024年は発見の多いエキサイティングな年だった。人工知能(AI)や計算ツールの飛躍的な進歩が大きな話題となったが、生物学や医学分野の最先端でも多くの興味深い発見があった。(参考記事:「「AI」 人工知能が切り開く科学の未来」) 例えば、科学者たちは年齢とともに成長する心臓弁を移植する方法を知った。また、アルツハイマー病を簡単に検出できる血液検査を開発した。女性が自己免疫疾患にかかりやすい理由についての理解も深まった。2024年の医学において最も注目すべきブレイク
米ニューヨークで開催されたイベントに集まったヒルソング教会の人々。オーストラリアで創立されたこのメガチャーチは、今や世界最大級の教会となり、27カ国に1100カ所近い集会所を擁している。(Photograph by Andrew White, The New York Times/Redux) 米ネバダ州ヘンダーソンにあるセントラル・キリスト教会では、日曜日朝の礼拝に4850人が集う。スポットライトで照らされた会堂内の黒い壁は、ロックバンドの音楽に合わせて鼓動し、人々は歌い、踊り、手拍子をする。ブロードウェイで最も大きな劇場でさえ、この半分の人数しか収容できない。(参考記事:「ルネサンス期の教会にステレオ効果?」) ステージ横の巨大画面には、大きすぎるバスタブのような洗礼槽に順番に身を浸して、牧師から洗礼を授けられる人々の列が映し出されている。 セントラル教会は、ヘンダーソン以外にも全米各
13日の金曜日にまつわる迷信の起源は、宗教的信条にあるという説がある。ただし、研究のほとんどは、この日がほかの日よりも不吉なわけではないことを示している。(Photograph by Alex Saberi, Nat Geo Image Collection) 13日の金曜日がまたやってきた。2022年には、暦の中で一番恐ろしいこの不吉な日は5月13日の1回だけだった。2023年は2回、1月13日と10月13日。そして2024年は2回、9月13日と12月13日だ。寒い季節の中、この日はさらに震え上がる一日を過ごすことになるかもしれない。 グレゴリオ暦では、400年ごとに同じ日と曜日が繰り返される。時折起きるこの偶然を恐れる理由など何もない。とはいえ、13日の金曜日はかなりの影響力を持ち続けている。(参考記事:「13日の金曜日、起源と現代の迷信」) 迷信を信じない人も影響されている 米シカゴ
以前に撮影された頭にサケを乗せているシャチ。米国ワシントン州沖を泳ぐサザンレジデントの一員だが、今話題の個体ではない。(PHOTOGRAPH BY OCEAN WISE, DFO MARINE MAMMAL LICENSE, MML18) あれは1987年。映画『ビバリーヒルズ・コップ2』とバングルスの曲「エジプシャン」が大ヒットした年だ。そして、米国ワシントン州のピュージェット湾では、シャチが死んだサケを額に乗せて泳ぎ回っていた。 「群れの全体に広まっているようでした」と米ワシントン大学フライデーハーバー研究所の生物学者デボラ・ジャイルズ氏は振り返る。 この行動はKポッドというグループのメスから始まったが、数カ月のうちに、JポッドとLポッドでも「サケの帽子」が流行し、最終的に、南の定住型サザンレジデントを構成する3つのグループのすべてで見られるようになった。71頭から成るサザンレジデント
最新の研究によれば、妊娠中の定期的な運動は、子どもがぜんそくを発症するリスクを大幅に減らす可能性がある。(PHOTOGRAPH BY MACDUFF EVERTON, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 喘鳴(ぜんめい、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と鳴る呼吸音)、息切れ、胸の圧迫感。ぜんそく発作の症状は、特に子どもにとっては怖いものだ。しかし、10月9日付けで医学誌「Med」に発表された最新の研究は、子どもがぜんそくを発症するかどうかに妊婦がある程度の影響力を及ぼせる可能性を示唆している。 フィンランドの研究チームは、妊娠中に少なくとも週3回運動していた女性の子どもは、そうでない女性の子どもに比べて、ぜんそくと診断される可能性がほぼ半分であることを発見した。 「運動が(子どもの)ぜんそくの予防にもなることが初めて示されました」と研究を率いた東フィンランド大学のピルッカ・キル
米アリゾナ州の「オアシス・サンクチュアリ」で働くジーン・ボルドーさんと、コバタンの「サニー」。コバタンは60年生きることもある。(Photograph by Christie Hemm Klok) 米国アリゾナ州セドナに住んでいたルイーザ・ジャスクルスキーさんは、2023年に77歳で亡くなった。心臓病の手術は成功したかに見えたが、そのわずか数日後、睡眠中に息を引き取った。あとに残されたのは、4羽のクジャクバト、3羽のボウシインコ、3羽のヒインコ、つがいのフィンチ、2匹のサバクゴファーガメ、1匹のアゴヒゲトカゲ、そして1匹のアオジタトカゲだった。すべて、ジャスクルスキーさんが飼っていた保護動物だ。(参考記事:「カピバラやアゴヒゲトカゲなど、SNSの人気動物たちの危うい末路」) このような珍しいペットたちは、飼い主が亡くなった後どうなるのだろうか。これは非常に悩ましい問題で、おまけにそれほど珍
10月にはキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の脳の完全な地図が初めて完成した。このほか、2024年には多くの科学的な大発見があった。(Micrograph by Dennis Kunkel Microscopy/Science Photo Library) 2024年は激動の年になったが、科学はその間も絶え間なく前進しつづけたおかげで、人類はこの世界について、かつてないほど多くの知識を持っている。では、2024年の科学的な発見の中で、最もスリリングで衝撃的なものは何だろう? 科学的な発見の中には、人類や世界や宇宙に関するパラダイムを転換することが最初からはっきりしているものもあるが、小さな前進にしか見えない発見が、最初に倒れるドミノのように、想像を絶するほど壮大で革新的な発見への道筋を開くことも少なくない。その意味で、あらゆる進歩が注目に値する。 それ
澤田侑那さん(京都大学、理学研究科:研究当時)と佐藤拓哉さん(京都大学、生態学研究センター)らの研究チームは、寄生生物のハリガネムシに行動を操作されたカマキリがアスファルトの道路に引き寄せられるせいで、ハリガネムシとともに死んでいることを解明し、学術誌「PNAS Nexus」に論文を発表しました。ハリガネムシが進化させてきた巧みな行動操作が、人間がつくり出した環境の下で、不利益な結末になっていると言います。今回の発見の「ここがスゴイ!」について、研究者自身に解説していただきます。(編集部) 秋になると、ハラビロカマキリが、川や池の周りのアスファルト道路をふらふらと歩いているのを見かけるようになる(写真1)。こうしたハラビロカマキリはしばしば、車や自転車に轢(ひ)かれたり、人に踏まれたりして死んでいる。そしてその傍らには、何やらひも状のものがのたうち回っていたり、干からびていたりしている(写
ヒスイのモザイクでできた小さな仮面。目と歯にはウミギクガイの殻が使われ、マヤの嵐の神を表している。西暦350年ごろにグアテマラのチョチキタム遺跡に埋葬された王の胸に置かれていた。2024年に話題をさらった考古学的発見の一つだ。(PHOTOGRAPH BY RUBÉN SALGADO ESCUDERO, NATIONAL GEOGRAPHIC) 近頃の最も重要な考古学的発見の多くは、すでに発見されている遺物や遺体に新しい技術を使うことでもたらされている。たとえば、青銅器時代のイングランドで起きた災害の詳細や、古代エジプトのファラオ、ラムセス3世の暗殺計画の犯人などだ。(参考記事:「誰がラムセス3世を殺したのか? ついに解かれた「3000年の謎」」) 2024年の場合も例外ではなく、DNA分析やリモートセンシング技術などの現代的な手法によって、過去の文化や技術、社会構造に関する新たな証拠が明ら
肥満や2型糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬(画像は生産ライン上のオゼンピック)が、アルコール、たばこ、薬物への渇望を減らすのに役立つ可能性を示す科学的証拠が増えつつある。(Photograph by Tom Little, Reuters/Redux) シャノン・ヒンダーバーガーさん(49歳)は、ただ体重をいくらか減らしたいという思いで2022年8月に「GLP-1(グルカゴン様ペプチド―1)受容体作動薬」(以下、GLP-1薬)を使い始めた。そして14カ月間で、実際に体重が30キロ近く減った。ところが、この薬は別の驚くべき効果をもたらした。飲酒の欲求が消え去ったのだ。 「今思えば私は、ストレスに対処するために、軽くアルコールに依存していたのだと思います。仕事から帰るとワインが飲みたくなり、一度にボトルの4分の3を飲み干すというのを週4回繰り返していました」と、米オレゴン州ベンド在住
米国テキサス州南部にあるフリオ・バット洞窟は、春から夏にかけて約1000万匹のメキシコオヒキコウモリのすみかになる。夕暮れ時には、毎日のようにコウモリの大群がガなどの獲物を求めて一斉に飛び出してくる。(Photograph by Babak Tafreshi)
芽キャベツの苦味のもとは、グルコシノレートという物質だ。1990年代、研究者はこの野菜の苦味成分を抑える品種改良方法を見つけた。現代の科学者は、遺伝子操作によって、別の野菜で同じようなことを実現しようとしている。(lucentius-Getty Images) ホリデーシーズンに入り、家族で食卓を囲むとき、たいていの人はお皿にタンパク質や穀類、そして当然、デザートをどんどん盛っていく。しかし野菜にはなかなか手が出ないことが多い。とりわけ、苦味のある野菜、例えばケールやからし菜、芽キャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜は人気がない。酸味のある果物を敬遠する人もいる。 近年、苦味や辛味のある食べ物を嫌う傾向を受け、農産物の遺伝子を操作して、苦味や辛味の原因となる酵素を抑えようとする研究が進んでいる。その結果、最近では、苦味の少ないからし菜や、甘味の強いパイナップルといった品種が市場に出回
映像作家でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるバーティ・グレゴリー氏は、8年にわたって南極でペンギンを撮影してきた。ところが2024年、自らが司会も務めるドキュメンタリー番組を撮影中に、それまでほとんど知られていなかった現象を目にすることになった。 若いコウテイペンギンが一列に並び、高い氷床から地平線に向かって消えてゆく。
オオカバマダラのような渡りをする生き物の本質を捉えるには、写真家も移動しなければならない。 写真家であり、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探究者)でもあるハイメ・ロホ氏は、北米大陸を縦断するオオカバマダラの数世代にわたる壮大な旅を20年近く追い続けている。 ロホ氏は、メキシコのミチョアカン州にあるオオカバマダラ生物圏保護区で、オヤメルモミの木に群がるオオカバマダラと共に寒さに震え、オオカバマダラが米テキサス州やオクラホマ州、カンザス州、アイオワ州、ミネソタ州を北上するときには、共に太陽の暑さにやられた。 青空を背景に木々の間を飛び回るオオカバマダラを捉えたロホ氏の写真は、見る者に畏敬の念を起こさせる。見事な眺めに目をそらせず、空を見上げ続けたときに首が痛くなる感覚を呼び起こすほどだ。この写真は、2024年1月号の特集「旅するチョウを守る」に掲載された。 2024年のべスト動
調査のためにかけられた麻酔から意識を取り戻したメガネグマ。このときは位置情報を追跡する首輪を装着したが、別に4頭にカメラがつけられ、驚きの発見が続々ともたらされた。(PHOTOGRAPH BY THOMAS PESCHAK) 南米に生息する唯一のクマであるメガネグマ(Tremarctos ornatus)にビデオカメラを装着して行動を調べたところ、木の上で交尾をする映像が確認された。これはメガネグマだけでなく、クマ全体で初めての科学的な報告だ。2024年12月4日付けで学術誌「Ecology and Evolution」に論文が発表された。 論文の筆頭著者であるルースメリー・ピルコ・フアルカヤ氏は、オスのメガネグマから回収したカメラをコンピュータに接続したとき、自分がどんな映像を見ることになるのかまるで想像していなかったという。 「1000本以上の動画があったので、ただ適当に選んで再生した
2019年4月の火災の後、考古学者たちは損傷した大聖堂の床下を発掘する許可を得た。掘り出された遺物は数世紀にわたり行方不明になっていたもので、その多くが現在、パリのクリュニー中世美術館で開催されている「石の声を聴く。ノートルダムの中世の彫刻」展で展示されている。開催期間は2025年3月16日まで。(Photograph Courtesy Denis Gliksman, Inrap) 2022年2月、パリのノートルダム大聖堂の再建を始める準備がようやく整った。だがその前に、考古学者に助言を求めなければならなかった。フランスの法律では、古代の遺物や遺跡が見つかる可能性のある土を掘り起こすような建設プロジェクトには、政府の考古学者による介入が義務付けられているからだ。 今回の考古学者たちの仕事は、尖塔(せんとう)の再建に必要な770トンの足場によって貴重な遺物が押しつぶされないようにすることだっ
ある種のものや状況に対して嫌悪感を抱くことは、病原体にさらされにくくする可能性がある。(Photograph KrakenImages/Shutterstock) 子どもがノミだらけの子イヌを拾ってきたり泥だらけの靴で家の中に入ってきたりしたとき、父親は特にとがめないが、母親は慌てて徹底的な除染作業を始める。ホームコメディーの定番パターンだ。この現象には、単なるステレオタイプではない科学的な根拠がある。ヒトを含むいくつかの霊長類において、女性や成体のメスは男性や成体のオスよりも不潔さに敏感であることが、研究によって示されているのだ。 例えば、ハイイロネズミキツネザルやニホンザルのメスは、オスに比べて汚染された食べ物を避ける傾向が強く、ニシローランドゴリラやアヌビスヒヒのメスは皮膚感染症にかかった仲間を避ける傾向がある。 彼女たちはなぜこんなに潔癖なのだろう? 科学者たちは、女性やメスが不潔
ドゥラ・アブル・ナガにある、踊り手の墓から見つかった第17王朝時代の絵画。よろこび、愛、美の女神であるハトホルを讃える舞と考えられている。(Heritage/Getty Images) 古代エジプト人にとって、踊りは生活に欠かせないものだった。死者がすんなりと死後の世界に向かえるようにしたり、地上で生きるよろこびを表現したりするために、人々は日々踊っていた。エジプト学者たちは、2000年にわたって墓や神殿に描かれてきた踊り手たちの姿から、踊りと儀式の関係や、時間とともに踊りがどのように進化したのかを読み解いている。 初期の踊りは、宗教的な祭典や行進において、神官や祭司が神を讃えるために行われていた。しかしその後は、祝宴で客をもてなすときなど、さまざまな世俗的な場面でも踊るようになった。長い歴史の中で、エジプトの踊りは新しいスタイルや動きを取り入れ、多様なものになっていった。(参考記事:「古
足首周りの腱や靱帯を鍛えるかかとエクササイズを実演する理学療法の学生。こうしたエクササイズは、関節の安定性を高め、結合組織全般の健康の促進によい。(Photograph by Izaiah Johnson, The New York Times/Redux) 体を鍛えるというと、筋肉だけに注目しがちだ。だが、力強い動きの裏には、靱帯や腱、関節など、体の動きを支える結合組織というあまり目立たない存在がある。 「バーベルを持ち上げるとき、ランニングをするとき、ゆっくりとヨガのポーズをとるとき。すべての動きには、そうした裏方が不可欠です」と、スポーツ理学療法士でパーソナルトレーナーのジェシカ・ウルキ氏は言う。氏は、米アカデミー・メドテック・ベンチャーズ社の臨床実装マネージャーも務める。 「靱帯や腱は結合組織の一種で、人体のさまざまな構造を支え、固定し、つなぎ合わせる重要な役割を担います」と、米ネ
ドイツにあるダルムシュタット・ヘッセン州立博物館で保管されているルーシーの復元像。(Photograph by Thomas Ernsting, laif/Redux) 「ルーシー」として知られる人類の祖先の化石が世界的現象を巻き起こすことを最初に予感させたのは、1974年12月、フランス、パリの空港でのことだった。税関を通ろうとしていた古人類学者のドナルド・ジョハンソン氏は、バッグの中に入れていた包みを、「エチオピアからの化石」だと申告した。すると、税関職員が尋ねた。「ルーシーですか?」 そのわずか数週間前の11月24日、ジョハンソン氏はエチオピアのアファール地方で化石を探していた。すると、ハダールという場所で、侵食された丘の斜面から突き出していた前腕骨に目が留まった。 これを回収してキャンプに持ち帰ったジョハンソン氏と発掘チームはその晩、化石の発見を祝って曲をかけ、歌を口ずさんだ。その
旧江戸城の外堀で採取した水から、東京都では明治29年(1896年)以来128年ぶりに緑藻の「ボルボックス」が見つかった。ボルボックスは「緑の宝石」の異名を取るユニークな植物プランクトン。発見した法政大学自然科学センター・法学部の植木紀子教授(細胞生理学)は「長い間、謎に包まれていた東京産ボルボックスが非常に身近な場所に生息していることがわかり、今後も継続して調査を続けたい」と話している。
ジンベエザメの一部をくわえて泳ぐシャチ。2024年5月、ジンベエザメを狩るシャチをかつてない詳しさで研究者が撮影した。(Credit : Kelsey Williamson) シャチが地球最大の魚であるジンベエザメを狩る様子を科学者が初めて動画に収めた。この映像のおかげで、シャチがジンベエザメを日常的に食べており、地球最大の魚をどのように仕留めるのかがついに解き明かされ、2024年11月29日付けで学術誌「Frontiers in Marine Science」に論文が発表された。 2024年5月26日、サメの生態を研究するキャスリン・エアーズ氏がメキシコ、ラパス沖で観光客を案内していたとき、シャチの群れが旋回しているのを目撃した。「哀れな動物が苦しめられていると思いました」とエアーズ氏は振り返り、「シャチは獲物をもてあそぶことがあります」と説明する。(参考記事:「動画】ウミガメをもてあそ
狩猟犬の一種であるノバ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーが森の中で休んでいる。 ある実験により、狩猟犬は家に帰るために、地球の磁場を利用して進む方向を決めている可能性が示された。(Photograph by Anna Averianova/Shutterstock) 時折、驚くほど遠いところで迷子になったイヌが家に帰ることがある。たとえば、2015年に「ジョージア・メイ」という保護イヌの子イヌが、米国カリフォルニア州サンディエゴでハイキング中に逃げ出した後、約55キロメートルを移動して家に戻った。2010年には、ビーグルの「レーザー」が花火大会で家族とはぐれ、6週間かけて約80キロメートル離れたカナダ、マニトバ州ウィニペグにある自宅近くに帰った。 1924年までさかのぼると、ドライブ旅行中に家族とはぐれたコリーの雑種の「ボビー」が、米インディアナ州からオレゴン州シルバートンの自宅
米国の地方自治体の水道局は1940年代に水道水へのフッ化物添加を開始した。その後まもなく虫歯は減り始めたが、こうした飲料水へのフッ化物添加は、一部の少数派の間で今も議論の的となっている。(THEA TRAFF/The New York Times/Redux-Redux Pictures) 天然に存在するフッ素の化合物(フッ化物)は、米国では1940年代に一部地域で水道水に添加され始めた。米国歯科医師会、米国小児科学会、カナダ歯科医師会は、虫歯予防に効果的だとしてフッ化物を推奨している。米疾病対策センター(CDC)は、「水道水フロリデーション」(水道水に含まれるフッ化物を虫歯予防に適切な濃度に調整すること)を、公衆衛生における10大功績のひとつに挙げている。 一方で、フッ化物の添加には、これまでさまざまな物議を醸してきた歴史もある。フッ化物とはそもそも何なのか、なぜ水道水に添加されるのか、
モロッコ北東部の山岳地帯にある「ハトの洞窟」(タフォラルト)は、かつて石器時代の人々によって利用されていた。その内部にある埋葬穴から、現代も伝統医療で使用されるマオウの球果が見つかった。(Photograph by maghribi, Alamy Stock Photo) 北アフリカ、モロッコの洞窟の古い埋葬穴で、薬または興奮剤として植物を使用していた最古の証拠になるかもしれない遺物が見つかった。11月2日付けで学術誌「Scientific Reports」に発表された研究によると、モロッコ北東部にある「ハトの洞窟」で、1万5000年前の人骨と一緒にマオウ(麻黄)属の低木の球果が埋葬されていた。 マオウに含まれる「エフェドリン」という物質は、強力な興奮剤で、交感神経による脳と体の情報伝達を刺激する働きがある。研究者らは、この植物が埋葬の儀式で摂取されたと考えており、石器時代にこの地域に住む
女児や女性が自閉症と診断される割合が高まっている。研究者らは、その理由のひとつとして、自閉症の人々の体験への理解が深まった点を挙げている。(Photograph by Sophie Chivet, VU/Redux Agency) セレニティ・カイザーさんは48歳で自閉スペクトラム症(ASD、自閉症)と診断された。診断結果は驚きであると同時に、彼女がずっと抱えていた問題に対する答えでもあった。子どものころ、カイザーさんはいつも「度が過ぎる」と言われ、笑い声が大きすぎる、動きが不自然、おかしなタイミングでおかしなことを言うといった指摘を受けていた。11歳のとき、彼女は施設に2度入れられたが、それがなぜなのかは、自分ではよくわからなかった。 自閉症と診断されたあと、カイザーさんは施設に収容されていた当時の書類を調べた。自分が施設に入れられる原因となった特徴が「ほぼ教科書通りの自閉症」だったこと
ドミニカの海で並んで泳ぐ2頭のマッコウクジラ。彼らはエコーロケーション(反響定位)を利用して深海の闇の中で狩りをする。(PHOTOGRAPH BY BRIAN SKERRY, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 深海に潜って餌をとるクジラには、暗闇の中で餌を見つけるため、音の反響を利用して獲物の位置を特定するソナーのようなしくみが備わっている。しかし彼らのソナーは、海に浮かぶプラスチックごみを好物のイカとして探知している可能性がある。 10月16日付けで学術誌「Marine Pollution Bulletin」に発表された新しい研究によると、ポリ袋(レジ袋)のようなプラスチックごみは、その形状、大きさ、風化の度合い、成分が相まって、イカと驚くほどよく似た「エコー」を返すという。 推定値には幅があるが、世界の海洋には毎年、重さにして数百万トン、数にして合計数十兆個のプラスチ
添加糖類の摂取量を減らすと、気分の改善から老化を緩やかにすることまで、さまざまな健康上のメリットがある。(PHOTOGRAPH BY TENDO23, GETTY IMAGES) 糖類の取り過ぎが体によくないことは、ほとんどの人が知っている。肥満、脂肪肝、2型糖尿病、心臓病、がんなどの健康上のリスクと関連していることから、糖類の摂取をぜひともやめたい悪習リストの上位に挙げる人は少なくない。 糖類の摂取量を減らせば、取り過ぎによる害を避けられるだけでなく、すぐに実感できる驚きの利点をもたらしてくれる。たとえば、「気分や肌の健康、歯の衛生、認知機能、運動能力の向上」が挙げられると、米テキサス州ダラスで活動する栄養学者で登録栄養士のエイミー・グッドソン氏は言う。 そうした恩恵を受けるにはどうすればいいのか、ほかの糖類よりも警戒すべき糖類があるのはなぜか、また、糖類の摂取量を減らすために今日からで
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