新型コロナが「5類感染症」に移行してから1年以上が経過しました。若い人にとってはインフルエンザと同じような症状で済みますが、それを差し引いてもインフルエンザより肺炎の頻度が高いことから、全国的に入院患者数が増えています。発症後しばらくして、時間差の「免疫性肺炎」を起こす事例が増えています。 新型コロナが、なぜいまだ問題なのか?現在、1週間で約4万人が新たに新型コロナを発症しています。そのうち、入院を要するのはごく一部で、約2,300人です(図1)。これが3,000人や4,000人を超えてくると医療が逼迫しうる水準になります。沖縄県を含む九州地方の一部地域では、すでに医療が逼迫し始めているようです。 図1. 新型コロナの入院患者数(参考資料1より一部改変して引用) 『インフルエンザと同じ「5類感染症」になったのに、なぜいまだ問題になるのか?』とよく聞かれます。 これは、明確にインフルエンザよ
Dozens of bodies found in Gaza City neighbourhood, Palestinian rescuers say Civil defence says other bodies remain under rubble after partial withdraw of Israeli forces from Tal al-Hawa, Shujayea. Home to more than a quarter of Gaza's residents before the war, Gaza City was largely razed to the ground in late 2023 [Omar Al-Qatta/AFP] The bodies of dozens of Palestinians have been retrieved from th
NIDSコメンタリー 第337号 2024年7月12日 ノモンハン事件から85年、関東軍が陥った意思決定の陥穽とは? —— 社会心理学における「集団浅慮」の観点から 戦史研究センター戦史研究室 三井 英隆 はじめに 今年、85年を迎えたノモンハン事件は、本来、モンゴル人民共和国との国境線をめぐる争いにすぎなかったが、第一次世界大戦において、国力を総動員して戦う「総力戦」を経験しなかった日本陸軍にとって、初めての本格的な近代戦となり、約2万人の死傷者が発生した。そのため、現在においても、日本陸軍の作戦における失敗事例としてのイメージが強い。「泣く子も黙る関東軍」と言われ、優秀な将校が集まっていたにもかかわらず、なぜこのような結果になってしまったのか。 米国の社会心理学者アーヴィング・ジャニス(Irving Janis)は、1961年の米国によるキューバ進攻等について、なぜ当時の大統領と優秀な
戦時から目覚めよ: 未来なき今、何をなすべきか (NHK出版新書 720) 著者:スラヴォイ・ジジェク 出版社:NHK出版 ジャンル:社会・政治 「戦時から目覚めよ」 [著]スラヴォイ・ジジェク ロシアのウクライナ侵略と今後の国際社会、人類史が向き合わざるを得ない論点を整理した、極めて新鮮な文明の書である。スロベニア出身ゆえか、西欧の政治思想や力学に一定の距離を保ち、その分析は納得できる。 ウクライナ侵攻は「ロシアにおけるレーニン主義の伝統の排除を目的とした長きにわたる奮闘の総仕上げ」と、著者はとらえる。スターリン主義の延長で、プーチンは侵略を進めているという。 プーチンがこれを「戦争」でなく、「特別軍事作戦」と言えと命じるのは、ウクライナ以外の国の平和維持のための戦いとみなしているからだ。かつての西側陣営の、イラクなどへの軍事介入時の言と重なるという。 ウクライナ戦争を「西欧諸国の内戦か
精神科医。国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 部長/同センター病院 薬物依存症センター センター長。1993年佐賀医科大学卒。横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部、同研究所自殺予防総合対策センターなどを経て、2015年より現職。第7回 日本アルコール・アディクション医学会柳田知司賞、日本アルコール・アディクション医学会理事。著書に『自傷行為の理解と援助』(日本評論社 2009)、『もしも「死にたい」と言われたら』(中外医学社 2015)、『薬物依存症』(ちくま新書 2018)、『誰がために医師はいる』(第70回日本エッセイスト・クラブ賞、みすず書房 2021)他多数。訳書にターナー『自傷からの回復』(監修、みすず書房 2009)、カンツィアン他『人はなぜ依存症になるのか』(星和書店 2013)、フィッシ
憲法記念日にはどこかの護憲集会に呼ばれる。神戸でも集まりがあり、「日米安保条約が廃棄されたら日本はどうなるか」という話をしてきた。 前にも書いたが、米国内には同盟国と締結している相互防衛条約は不要だと主張する人たちがいる。ロン・ポール議員は在外米軍基地の全面廃止を訴え続けた。在外米軍基地の維持が財政的な負担になっているということが理由の一つだが、日本のメディアが報道しないのは、米国には「自分の身は自分で守ること」を基本的信念とするリバタリアンが数千万規模で存在するということである。 リバタリアンは徴兵と納税を忌避する。自分の身は自分で守り、路頭に迷うまで零落しても公権力の保護を求めない。ドナルド・トランプは5回にわたって徴兵を忌避したが、トランプ支持者たちはそのふるまいを「臆病」とか「非国民」というような言葉では批判しない。自分がいつ、どこで、どういう理由で命を賭けるかは自己決定するという
ドイツ兵器製造大手「ラインメタル」のパペルガー最高経営責任者(CEO)=3月14日、ドイツ西部デュッセルドルフ/Ina Fassbender/AFP/Getty Images (CNN) 米情報機関は今年、ロシア政府がドイツ兵器製造大手「ラインメタル」のパペルガー最高経営責任者(CEO)の暗殺を計画していることを突き止めていた。事情に詳しい米欧の当局者5人が明らかにした。ラインメタルはウクライナ向けに砲弾や軍用車両を製造している。 情報筋によると、ロシアは欧州各地でウクライナの戦争努力を支援する防衛企業幹部の暗殺を企てており、今回の計画もその一つ。パペルガー氏の暗殺計画は最も計画が熟していたという。パペルガー氏は白髪高身長の人物で、ドイツ製造業によるウクライナ支援の取り組みを主導してきた。 暗殺計画について知った米国はドイツに情報を伝え、ドイツ治安機関がパペルガー氏の身を保護して暗殺を未然
IDF Ordered Hannibal Directive on October 7 to Prevent Hamas Taking Soldiers Captive'There was crazy hysteria, and decisions started being made without verified information': Documents and testimonies obtained by Haaretz reveal the Hannibal operational order, which directs the use of force to prevent soldiers being taken into captivity, was employed at three army facilities infiltrated by Hamas, p
イスラエル軍は、パレスチナのガザ地区に対する地上侵攻を含む大規模な軍事作戦を近く実行に移すものとみられ、情勢がいっそう緊迫しています。 イスラエル軍がガザ地区に最後に地上侵攻したのは2014年。 侵攻はどのような経緯で始まったのか。そして、停戦はどうやって実現したのか。 当時、エルサレム支局長として現地で取材をし、現在はロサンゼルス支局長の佐伯敏記者が解説します。 (ロサンゼルス 佐伯敏支局長) 2つの事件で関係悪化が決定的に アメリカのオバマ政権が仲介したイスラエルとパレスチナの和平交渉が行き詰まり、双方の関係が悪化の一途をたどるなか、対立は2つの事件によって決定的になりました。 そのひとつが6月、パレスチナのヨルダン川西岸で起きたイスラエル人の少年3人の誘拐殺人事件です。イスラエル側はハマスによる犯行だとしてヨルダン川西岸に軍を投入し、ハマスの幹部を含む大勢のパレスチナ人を拘束しました
都知事選の翌日にニッポンドットコムという媒体からインタビューを受けた。以下はその記事に少しリタッチしたもの。 今回の都知事選では、選挙は民主主義の根幹を為す営みであるという認識がかなり深刻な崩れ方をしているという印象を受けた。選挙というのは有権者が自分たちの立場を代表する代議員を選ぶ貴重な機会であるという認識が日本からは失われつつあるようだ。 投票する人たちは「自分たちに利益をもたらす政策を実現してくれる人」を選ぶのではなく、「自分と同じ部族の属する人」に投票しているように私には見えた。自分と「ケミストリー」が似ている人間であるなら、その幼児性や性格の歪みも「込み」で受け入れようとしている。だから、仮に投票の結果、自分の生活が苦しくなっても、世の中がより住みにくくなっても、それは「自分の属する部族」が政治権力を行使したことの帰結だから、別に文句はない。 自分自身にとってこの社会がより住みよ
20年前と比較して、犯罪件数が大幅に減った日本。海外から来た観光客は、カフェのテーブルに置きっぱなしのスマートフォンや、道端の自動販売機に「平和」を感じ、日本に詳しい海外紙記者も、日本で流れるニュースの「のどかさ」に驚く。そして、仏紙「フィガロ」の記者は問う。「いったいなぜ、この国はこんなに犯罪が少ないのか」、「その理由は、どこにあるのか」と。 日本で1年間に押収された大麻の量は、フランスの320分の1、強盗の件数は37分の1、窃盗は13分の1。これが日仏の犯罪に関する主要統計の差だ。両国は多くのテーマに関して何かと比較したがるが、この興味深いテーマに関する研究は、あまりにも少ない。 日本のマスコミが報じる軽犯罪の数々は、この国の“のどかさ”を物語っている。「ぶどうが盗まれた」、「『ショート』のお金を払っておいて『ロング』のコーヒーを入れた」、「豆腐が盗まれた」……。ほんの些細な理由で逮捕
バスの廃止や減便が首都圏で広がっています。 この春、横浜市営バスは367便を減便。東京都足立区でも一部の路線が廃止になりました。 利用者が多い首都圏で、なぜこのようなことが起きているのでしょうか。 背景にある2024年問題とは?今後、バス路線はどうなっていく? バスの減便や廃止の影響に迫った「首都圏情報ネタドリ!」はNHKプラスで配信します↓ 減便しても運転手不足 深刻な2024年問題 1日およそ9000便を運行している横浜市営バスはこの春、全体の4パーセントほどにあたる367便を減便しました。 その背景にあるのが、時間外労働などの上限規制などがもたらす「2024年問題」です。 年間3380時間だった運転手の労働時間の上限が、4月から3300時間に引き下げられました。 さらに退勤から次の出勤までの休息時間、いわゆる勤務間インターバルの確保は8時間以上とされていましたが、11時間を基本に最低
人気お笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さん。 漫才師としてお笑いの第一線で活躍を続けるかたわら、実は10年前から子ども向けの「学習塾」を“密かに”経営してきました。 ただ、「ええことしている感が出たらやばい」と、最近まで公にしてきませんでした。 哲夫さんはなぜ塾を経営しているのか? 教育にかける思いを聞きました。 (大阪放送局 ディレクター 鍋田勇輔) M-1の優勝賞金 元手に“塾”開校 「笑い飯」は2010年の「M‐1グランプリ」のチャンピオン。 哲夫さんと相方の西田幸治さんが交互に連続してボケあう「Wボケ」というスタイルが人気で、「奈良県立歴史民俗博物館」や「鳥人」という独創的なネタは、お笑いファンの間で今でも語り草となっています。 そんな哲夫さんが2014年から経営する大阪・淀川区の学習塾を訪ねました。 開校資金には「M-1」の優勝賞金を充てたといいます。 哲夫さん 「(事務所の)社員さん
防衛白書は、12日の閣議で報告されました。 この中で中国については、日本列島から沖縄、そしてフィリピンを結ぶいわゆる「第一列島線」を越えて、伊豆諸島から小笠原諸島、グアムなどを結ぶ「第二列島線」まで活動を活発化させ、ロシアとの連携強化の動きを一層強めているとしています。 また、台湾周辺での軍事活動を活発化させ、中国軍が常態的に活動している既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を企図しているとみられ、台湾との間で軍事的緊張が高まる可能性も否定できないとしています。 一方、北朝鮮については、固体燃料式のICBM=大陸間弾道ミサイル級の発射や、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射などを実施し、装備体系の多様化や情報収集といった質的な意味での核・ミサイル能力の向上に注力しているとしています。 ▽中国については、沖縄県の尖閣諸島周辺を含む日本の周辺海空域における活動を拡大・活発化
毎日使うスマホに欠かせないバッテリー。 帰宅するときの電車内とか、電池残量は気になりますよね。 EVや太陽光発電の蓄電設備など、バッテリーの需要は今、急速に拡大。それをつくるためのリチウムや黒鉛などの重要鉱物、バッテリーメタルは世界各地で囲い込みや争奪戦が激しくなっています。 中国の存在感が高まり、米中対立も。争奪戦の現場を追いました。 (サンパウロ支局 木村隆介 / アメリカ総局 江崎大輔) バッテリーメタル争奪戦の現場を見ようと私たち取材班が向かったのは、チリ北部のアタカマ地方です。標高およそ2500メートル、見渡す限り荒涼とした大地が広がっています。 チリの首都サンティアゴから北におよそ1200キロ、空港から車でさらに3時間走ると車窓に飛び込んできたのは広大な塩の湖、「塩湖」です。 チリとアルゼンチン、ボリビアにまたがるアンデスの高地に点在する塩湖。表面は塩で覆われていて、その下にバ
大手企業のことし夏のボーナスは、従業員1人当たりの平均が98万3112円と、去年より4%余り増加し、今の方法で調査を始めた1981年以降で最も高くなりました。 経団連は、ことし夏のボーナスについて、従業員500人以上の大手企業97社の回答を1次集計としてとりまとめ、12日発表しました。 それによりますと、従業員1人当たりの平均額は98万3112円と去年より4.31%増えて、3年連続で増加しました。 支給額の平均は、1次集計としては今の方法で調査を始めた1981年以降で最も高くなりました。 業種別でみると、17業種のうち14業種でプラスとなり、増加率は「自動車」が17.83%、「セメント」が13.54%、「鉄道」が11.50%などとなりました。 一方で、業績の厳しかった「化学」など3業種はマイナスとなりました。 経団連の新田秀司労働政策本部長は「去年と比べると業績がよくなった企業が増えている
新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月7日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が8.07人で、前の週の1.39倍となっています。9週連続の増加で、すべての都道府県で増加となったほか、特に沖縄では平均の患者数がおよそ30人に上っています。 厚生労働省によりますと、7月7日までの1週間に、全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万4147人増えて、3万9874人となりました。 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は8.07人で、前の週の1.39倍となりました。 去年の同じ時期は9.14人でしたが、前の週からは9週連続で増加しています。 都道府県別では多い順に ▽沖縄県が29.92人 ▽鹿児島県が23.13人 ▽宮崎県が19.74人 ▽熊本県が18.24人 ▽佐賀県が16.31人などとなっていて、 すべての都道府県で前の週から増加となりま
沖縄県を含めた九州地方で、新型コロナの感染者数が急増しています。全国的にも、定点医療機関あたりの感染者数は8週連続で増加しています。「熱中症と自己判断していたら実は新型コロナだった」というケースも見かけるようになりました。 沖縄県の新型コロナが急増現在、新型コロナの流行が報道されるときに使用されているのが「定点医療機関あたりの感染者数」です。代表的な医療機関において、1週間あたりに診断された感染者数のことを指します。 新型コロナに関しては明確な警戒基準が浸透しておらず、インフルエンザと同様に10人を超えると「注意報レベル」、30人を超えると「警報レベル」という実感を持っています。 複数の県では、20~30人でかなり医療機関への負荷が大きくなることがわかっています(1)。 全国的には定点医療機関あたりの感染者数は5.79人とそこまで多くありませんが(図1)、沖縄県は29.91人と、1年ぶりに
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く