いま、『ビッグコミックスピリッツ』で連載されている『路傍のフジイ』というマンガが面白くて、続けて読んでいる。 まさに本日、第一巻が発売されるのでオススメである。 べつだん、変わったところのある内容ではない。日本語を話すネコも闇の魔法使いもサイボーグ・テロリストも出て来ない「変哲のない日常」の物語なのだが、これがしみじみと良い。 そこでは、あたりまえの暮らしを活き活きと過ごす「フジイ」という人物を中心として、さまざまな形で生活に退屈を感じている周辺の人間たちが描かれている。 主に綴られるのは、かれらそれぞれがなぜ人生に倦怠を覚えるのかというストーリーである。 もちろん、平凡な暮らしにつまらなさを感じることはそうめずらしいことではないだろう。 あるいはむしろ、いまの人生が面白くてしかたないという人のほうがめずらしいかもしれない。 だが、「会社では空気のよう」と形容される凡人と見えるフジイはどう