北海道占冠(しむかっぷ)村のJR石勝線で、特急「スーパーおおぞら14号」(6両編成、乗客・乗員248人)の乗客ら39人が負傷した列車事故。重要部品の脱落、脱線、トンネル内火災という想定を超えた連鎖的な事故に、避難誘導の不手際が重なり、大惨事になってもおかしくない事態だった。当時の状況を振り返りながら、事故原因と再発防止のあり方を探った。 ◇発端はつりピン 発端は、長さ19センチ、太さ6センチの「つりピン」だった。 5月27日午後10時前、釧路から札幌に向かっていた「スーパーおおぞら」は日高山脈の真ん中にある「第1ニニウトンネル」(685メートル)内で急停止。脱線していたため身動きが取れなくなり、そのまま炎上した。通過した線路上には車両底部の「推進軸」と呼ばれる装置の周辺部品が複数落ちており、「つりピン」は停止位置から約2キロ手前と最も遠い位置で見つかった。 推進軸はエンジンの隣にある変速機